[心理学のプロがアドバイス]STOP!親あいさつの場の “無意識のクセ”
普段から気になっている話し方や行動(立ち居振る舞い)のいけないクセ。特に緊張MAXの「親あいさつ」の場面では、自覚していてもうっかり出てしまう恐れがあります。今回は、そんな“無意識のクセ”に潜む心理状態と、相手の親が受ける印象について、臨床心理士の石割美奈子さんに聞いてみました。
今回お話を聞いたのは……
<臨床心理士>石割美奈子さん
日頃の気になるクセは、まず自覚することが大事。お互いにフォローし合いながら、親あいさつを無事に乗り越えましょう!
石割先生のProfile
『えむ心理研究室』の室長として、結婚前のカップルや夫婦関係・家族関係に関するカウンセリングを行う心理学のプロフェッショナル。家庭教師カウンセラーやスポーツメンタルコーチ、心理学関連記事の執筆・監修なども行う。
【話し方のクセ】
冒頭の「え~」「あの」や、余計なひと言
「早く答えなきゃ」と、沈黙を避けたい心理の表れ
「え~」「あの」「えっと」という言葉を会話の初めに必ず付けてしまったり、語尾を「~じゃないですか」「けど」で締めくくってしまうクセ。一度気になり始めると、とことん耳に付いて離れなくなります。
また、日頃からつい余計なひと言を発したり、ネガティブな発言をしがちな人はいませんか?いずれも親あいさつの場で出てしまうと、相手の親を不快にさせてしまう恐れあり。
花嫁voice
<私のクセ>話し始めの「え~」
話し口調がゆっくりしているといわれる私。ついでに「え~」など、必要ない言葉を冒頭に付けてしまうクセもあり、ひそかに気にしていました。(まことさん)
<彼のクセ>自己主張強め!
彼は相手の話を聞く前に、「自分はこうだ!」と主張するところがあります。親あいさつの際にも出るんじゃないかとヒヤヒヤしました。(さちさん)
親voice
<彼のクセ>語尾に「よ~」が付く
娘のお相手が「○○ですよ~。」と、語尾に必ず「よ~」を付ける。いい人なのですが、結構気になりました。(65歳/新婦の父)
<彼のクセ>口調が否定的
話しグセだと思いますが、娘の彼の否定的で強気な口調は気分が悪かった。大声で話されると余計イライラしてしまいます。(63歳/新婦の母)
プロがズバッとアドバイス!
[心理状態1/沈黙が怖い]
会話の冒頭や合間に繰り返される「え~」「あの~」という意味のない言葉はフィラーと呼ばれ、次に何を話せばいいのかを探っていたり、沈黙を避けたいという心理状態のときに連発しがちです。親あいさつの際に、「聞かれていることに早く答えなくちゃ」と焦る気持ちは分かりますが、無理にスラスラしゃべる必要はないので、“自然体”を心掛けましょう。
[心理状態2/自信家に見えるが、実は逆]
余計なひと言を口走ってしまうのは、一般的には自慢や自信の表れ。でも、本当に自分に自信がある人は、マウントを取る必要なんてありませんよね。そう考えると、一周回って「本当は自信がない」という心理状態なのだと考えられます。人生経験が長い親にはすぐに見抜かれますので、余計なことはしゃべらない方が賢明です。(石割さん)
【話し方のクセ】
早口・小声・ごにょごにょ。気になる“発声”
早口は過度な緊張、小声は萎縮している状態
早口だったり声が大きすぎたり、逆に声が小さくて、自信なさげに見えてしまったり。そんな“声の出し方”のクセに悩む人は結構いるようです。さらに、会話のキャッチボールが苦手な人は、相手の親に誤解を与えてしまうこともあるので気を付けて。
花嫁voice
<私のクセ>緊張すると早口に
緊張すると早口になってしまうクセがあります。彼のご両親にせっかちな印象を与えないよう、ゆっくり話すことを意識しました。(ゆずさん)
<彼のクセ>緊張で声が小さくなる
仕事中はハキハキしている彼なのに、緊張のせいか、私の親への結婚あいさつの声がすごく小さくてびっくり!(kogaさん)
親voice
<彼女のクセ>間延びした話し方
お相手の女性のしゃべり方にクセあり。口をあまり開けずに話すので、少しだらしない印象でした。(63歳/新郎の母)
<彼女のクセ>息子を介して話そうとする
直接話をしたいのに、なぜか息子を通して受け答えする彼女。クセなのでしょうか。(56歳/新郎の母)
プロがズバッとアドバイス!
[心理状態1/気分の高揚が早口にさせる]
緊張して気持ちが高ぶると、いつもと違う口調やテンポになってしまう人がいます。つい早口になってしまうのは、前出のフィラーと同様「自分が思っていることを、早く、余すところなくしゃべらなくては」という焦りの表れ。親あいさつの場では、相手に認めてもらいたい、すごいと思われたいという心理状態になりがちなので、早口になっているなと感じたら、気持ちをクールダウンすることが必要です。
[心理状態2/緊張・萎縮すると小声に]
普段はそうでもないのに、緊張すると小声になってしまう人は、相手に対して萎縮している心理状態といえるでしょう。特に親あいさつの場面では、それが顕著に出てしまいます。気持ちが萎縮すると前かがみになり、内臓が圧迫されて声が出しづらくなるという悪循環に陥るので、合間を見て深呼吸してみましょう。(石割さん)
【行動のクセ】
無意識に出る貧乏揺すり、髪・顔いじり
緊張・退屈・よく見せたいetc.部位によって異なるメッセージ
緊張すると、無意識に貧乏揺すりをしてしまうクセ。今回のアンケートでも、「貧乏揺すりが気になった」と答えた親御さんが少なからずいました。ほかにも髪や顔に手をやったり、足を組んだりと、日頃のクセが親あいさつの場でうっかり出てしまうことが。落ち着きがないように見えたり、横柄な印象を与えることもあるので注意が必要です。
花嫁voice
<彼のクセ>ザ・貧乏揺すり!
リラックスしたときの貧乏揺すり。親が何か言いそうだったので、「もしかすると緊張して貧乏揺すりするかもしれないけど、最初だからつっこまないであげてね」と頼んでおきました。(ぽんさん)
<私のクセ>すぐ足を組んでしまう
気づかぬうちに足を組んでしまうクセがあります。緊張すると注意が散漫になり、無意識にこのクセが出てしまう可能性があるため、ごあいさつの日程が決まってからは、より一層意識して直すよう心掛けていました。(nanaさん)
親voice
<彼女のクセ>やたら髪を触る
四六時中、髪を触っていたのが気になりました。過剰なほど髪形が気になる人って、どんな心理状態なのかしらと……。(63歳/新郎の母)
<彼女のクセ>手で口元を覆いながら話す
口に手をかざしながら話すクセが気になりました。普通にしゃべった方がいいのに。(64歳/新郎の父)
プロがズバッとアドバイス!
[心理状態1.ストレスで出る貧乏揺すり]
親あいさつの場など、フラストレーションがたまる状況で無意味に繰り返してしまう動作を専門用語で固着反応と呼び、人はそれを行うことでストレスを解消しようとします。代表的なのは「貧乏揺すり」。揺れていることに気付いたら、まずは背筋を伸ばして深呼吸し、軽く座り直すだけでも効果的。パートナーに協力してもらい、震えてきたら肩にそっと手をかけてもらってもいいでしょう。
[心理状態2.触る部位に異なる深層心理]
髪や鼻など、手で触れる部位ごとに異なる深層心理が隠されています。例えば髪を頻繁に触るのは、話に飽きていたり、場の空気が重たくなったときに出がちな行為。口元を覆うのは自信のなさ、鼻を触るのは自慢や自信の表れです。相手の親の目にもそのように映る恐れがあるので、心当たりがある人は意識しておくことが肝心です。(石割さん)
【行動のクセ】
食事にまつわる悪いクセ
おおらかでマイペース。ただし受け入れ難い親も
結婚あいさつの際には、食事やお菓子を勧められることがあります。そんなとき、日頃からクチャクチャと音を立てて食べたり、口いっぱいに頬張ったり、口の中にものが入ったまま話したりするクセがある人は要注意。相手の親からしっかりチェックされていることをお忘れなく!
花嫁voice
<彼のクセ>食べ尽くす……
食べ物が出されたら、周囲の人と分け合うことをせず、1人で全部食べちゃうのが彼の悪いクセ。案の定、父が好きなおつまみを全部食べ尽くしていました。(ゆかりさん)
<彼のクセ>平気でゲップする
炭酸を飲むとゲップが出る彼。所構わず大きな音を立てるのがクセになっているため、親の前では一応控えるようお願いしておきました。(MINOさん)
親voice
<彼のクセ>クチャラー!?
クチャクチャと音を鳴らして食べる人は本当に苦手。娘の彼がまさにそのタイプだったので複雑な気持ちに。(56歳/新婦の母)
<彼のクセ>食器を乱暴に扱う
食事の際、カチャカチャと食器の音を立てるクセがある彼。お皿や箸などは静かにそっと置いてほしい。(51歳/新婦の父)
プロがズバッとアドバイス!
[心理状態1/幼稚+リラックスの混合状態]
口を閉じずにクチャクチャと音を立てて食べるなど、食事の際の目に余るクセは、一般的に「マナーが悪い」と片付けられがちですが、実はここにも心理状態が関わっています。日頃のクセとはいえ、そのまま顔合わせの場でもやってしまったら、それはかなりくつろいでいる状態。「天真爛漫(らんまん)でおおらか」ともいえますが、多くの親は「マナーが身に付いていない」と悪い方に取ってしまいます。
[心理状態2/早く行動しなくてはという心理]
口いっぱいに食べ物を頬張ったり、そのまましゃべるしぐさなどは、見ていて気持ちがよいものではありませんよね。これは心理的に「早く食べて会話に戻らなくては!」という焦りが原因であることが。もし自覚していないなら今がいい機会。家族や友人、彼など、きちんと指摘してくれる人の声を聞き、早めに直しておきましょう。(石割さん)
【行動のクセ】
ボディタッチやなれなれしい態度はNG
人との距離感の近さ=支配したい気持ちの表れ
ボディタッチやなれなれしい口調など、親しい相手には好ましく映る態度(クセ)でも、親から見るとモヤモヤ以外の何物でもありません。そんな「相手の親を不快にさせる行動」とは?具体的にどんな事例があるのか見てみましょう。
花嫁voice
<彼のクセ>過度なスキンシップ
緊張したら、私の腕などを無意識に触ってくる彼。親あいさつのときもうっかり悪いクセが出ていたようで、後から私の母に指摘されていました。(あるぱかさん)
親voice
<彼女のクセ>笑いながらたたく
笑いながら息子の腕や背中をバシバシたたく彼女。クセなんだろうけど、親の前でなぜ?と不快な気分に。(62歳/新郎の父)
<彼女のクセ>ひそひそ話をする
私たちが目の前にいるのに、息子とイチャつきながらひそひそ話をしないで。「何だろう?言いたいことがあればはっきり言ってよ」って思ってしまいます。(58歳/新郎の母)
プロがズバッとアドバイス!
[心理状態1/触れることで安心したい]
不安になると、つい彼の手を握ったり膝に触れたりするのは、日頃から他人との距離感が近い人によく見受けられる行為で、安心感を得たい気持ちの表れです。とはいえ、親あいさつの場では極力控えたいもの。ふたりだけならどれだけイチャイチャしても構いませんが、過度な親密感を見せつけられることを、不快に感じる親がいることも覚えておきましょう。
[心理状態2/相手を支配したい]
ずっと手を握っていたり、バシバシたたきながら話すクセには、「相手を支配したい」という心理が隠れていることがあります。親にしてみれば、笑いながらとはいえ、わが子がたたかれているのを見るのは嫌なもの。さらにそれを受け入れているわが子に対しても「共依存なのかな?」とモヤモヤしてしまうので、心当たりがある人は気を付けて。(石割さん)
From 編集部
日頃のクセを自覚するのが克服への第一歩!
「なくて七癖(くせ)」といわれるように、誰しも多少のクセは持っているものですが、大事な親あいさつの場では、なるべく出ないように気を付けたいですよね。まずは自分のクセに隠された心理状態を知り、上手に回避できるよう努力しましょう。
構成・文/南 慈子 イラスト/別府麻衣 監修/石割美奈子(えむ心理研究室)
※記事内のコメントは2024年4月に「ゼクシィ花嫁会」のメンバー36人が回答したアンケートおよび過去2年以内に「わが子の婚約者から結婚あいさつをされた経験のある」40代~60代の男女110人が回答したマクロミル調査によるものです
※掲載されている情報は2024年6月時点のものです
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