相手へのイライラ・モヤモヤはどこから? 夫婦円満のために知っておきたいこと
甘い新婚生活を夢見たものの、徐々に感じ始めるパートナーへの不満。仲良くラブラブで過ごせるに越したことはないのに、今までは許せたこともなぜか気になってしまう……。そんなイライラ、モヤモヤの理由を心理カウンセラー大門昌代さんが解説。これからもずっと円満であるための目からうろこなアドバイスも必見です!
先輩が証言!「こんなことでイライラ・モヤモヤしちゃいます!」
既婚男女の約7割がイラッ・モヤ~経験あり
結婚して3年以上同居している男女220名に実施したアンケート結果によると、パートナーに「イライラ・モヤモヤ」を感じたことがあると答えた人は、71.8%。
具体的には相手のどんな言動に対して、不快な気持ちになるのでしょうか?それは、生活習慣から価値観の違い、ライフプラン・スタイルの考え方など、さまざまなジャンルで起こり得るようです。先輩夫婦の声でチェックしてみましょう。
どんな時に不満を感じる?
トイレの便座のふたを開けっ放しにするのを注意しても直さない夫。ちょっとイラつきます。(すずさん)
ふたりとも家事をしますが、物のしまい方や扱い方の丁寧さが大きく違い、イライラすることがあります。(にらさん)
お金に対する価値観の違いを感じます。高い・安いと思うボーダーラインが違うので買い物でケンカになる時があります。(餃子さん)
妻はとても心配性で、こちらの帰りが遅くなったり、連絡が遅れたりすると機嫌が悪くなります。(あるふぉーとさん)
私は結婚してすぐに子どもが欲しかったのですが、夫はなかなか乗り気になってくれず不安でした。その後、話し合いで解決し、無事子どもを授かりましたが3年半かかりました。(あやくまさん)
カウンセラーが解説! 「なぜ相手にイライラ・モヤモヤするの?」
お話を伺ったのは……
心理カウンセラー 大門昌代さん
結婚や離婚、子育てなど自身の豊富な人生経験に裏打ちされた、日常ですぐに生かせるわかりやすい心理学のセミナーやカウンセリングが多くの支持を集める。夫婦問題の相談も多数手がけている。
関係性が変化するのは、パートナーシップにおける自然な心の現象
人は関係性が深まり、心の距離感が近くなることで、相手のリアルな姿を目の当たりにします。そして、親密になるほど、自分と相手の考えが同じであることを望み、「わかってほしい」という期待値が上がります。こういった心の仕組みから、パートナーシップの関係性は徐々に変化していきます。
心理学では、ラブラブな恋愛初期を「ロマンス期」と言います。この時、私たちは相手を「こうあってほしい」という理想のフィルター越しに見るため、「あばたもえくぼ」といったように、相手のどんな面も良く見ようとします。
しかし、交際が進み親しくなるにつれて、理想のフィルターは外れていきます。例えば、交際当初、部屋をあまり片付けない彼を「豪快!」「むしろすがすがしいくらい!」などと思って見ていたのが、付き合いが進むにつれて、「だらしない!」と思ってしまうようなケースです。
変わったのは相手ではなく、自分自身の見方。全てのカップルに当てはまるわけではありませんが、相手への期待外れが続くことによって、パートナーシップは「パワーストラグル期」といわれる、どちらが正しいか競争するステージへ移行します。
カウンセラーが解説!「モヤモヤ・イライラをどう乗り越える?」
コミュニケーションの仕方を変える
夫婦だからといって、全ての価値観が一致することは難しく、「パワーストラグル期」では、どちらの考えが正しいか、水面下で(人によっては表面的にも)争っている状態です。
理想のパートナーシップは、自己嫌悪しているような部分も含めてありのままの自分をお互いに受け入れ合い、愛し合うこと。そのために大切なのは、決して我慢をせず、自分の気持ちを伝え合い、尊重し合うこと。相手への不満を感じた時は、これまでのコミュニケーションを見直し、さらに関係性を深めるチャンスとも言えます。
イライラ・モヤモヤ、つまり「怒り」は二次感情。その下には、別の感情が隠れていることを知っておきましょう。主には「わかってほしい」「助けてほしい」「愛してほしい」の3つ。まずは自分の本来の気持ちに向き合ってみること。そして、できるだけ相手に素直に伝えられるように自己開示する努力をすること。
心がけるだけでも少しずつ変わっていきますが、次のような工夫をするのもおすすめです。
【Advice】関係を深めるコミュニケーション方法
●主語に気を付けた伝え方に
相手に何か伝える時は主語を「私は」にします。「あなたって……」と言うと、どうしても相手を責める言い方に聞こえがち。「私はこうしてほしい」「私はこう思う」だと、本来の気持ちが伝わりやすくなります。
●話し合う時は先に目的やテーマを伝える
「話し合おう」と言われると、特に男性は身構えてしまうよう。話し合いたい内容や時間制限、「途中で口を挟まない」などといったルールを決めてから行うと、争うモードになりにくいでしょう。
●自分の心の中を実況中継する
「わかってほしい」「助けてほしい」「愛してほしい」。本当の気持ちを伝えるのは恥ずかしくてハードルが高いもの。そんな時は「本当は助けてほしいけど、悔しくて言えないようです。ああ、うまく言葉にできない……」などと、自分の状況を客観的に実況中継してみると言いやすくなったりします。
ちょっとした変化を起こす
パートナーシップでは3年くらいで役割やポジションが固定化してくるようです。役割やポジションというのは、食卓の座る位置や家事の分担といったことから、どちらがいつも先に謝るかなどといったことまで含まれます。
固定化した関係性は、相手への見方も凝り固まったものにしてしまうよう。しかも、私たち人間は変化を怖がる性質があるため、変わることよりも、自分の正しさにこだわってしまうのだそう。それは対立構造をより強固なものにしてしまいます。
そこで、どんな小さなことでもいいので、ふたりの中に変化を起こすのがおすすめ。例えば、リビングで座る定位置を変えるといった物理的なことでも、心理的な変化のスイッチとなり、「彼にはこう見えているんだ!」など、相手の立場から見ることができたり、自分を客観視できたりすることで、違う価値観を受け入れやすくなります。
【Advice】夫婦の間の変化の起こし方の例
●自宅の食卓の席など定位置がある場合は変えてみる
●ふたりで出かける時、一緒に家を出るのではなく、外出先で待ち合わせをしてみる
●家事の分担を交換してみる
●旅行計画があれば、立てる人、予約する人など、いつもと違う役割にする
●習い事を始めたり、洋服の傾向を変えたり、どちらか片方だけでもこれまでと違ったことにチャレンジしてみる
先輩がアドバイス!「仲良しでいるために、こんな工夫してます!」
やっぱり感謝を忘れないのが一番!
既婚男女220名に「パートナーとの関係がうまくいくために、普段から心がけていることや大切にしていることはありますか?」と聞きました。
とても多かったのが、「感謝の気持ちを伝えるようにしている」という回答。そして、相手の意見を尊重するという姿勢をベースにした、丁寧な伝え方に気を配っているという声も目立ちました。
大門カウンセラーの解説にもリンクした、参考にしたいアドバイスをご紹介します。
夫婦間で大切にしていることは?
●信頼して任せる
常日頃、相手の行動に対して「ありがとう」を伝えると共にねぎらうことを心がけています。また、相手が担当する家事については、任せた後は余計な口出しをせず、信頼してゆだねています。(華さん)
●ふたりのベターを一緒に考える
あいさつや感謝の言葉は面倒がらず必ず伝えています。どんなに腹が立っても丁寧な言葉を選び、命令口調は避け、相手の意見を尊重。どちらかの我慢の上に成り立つ平和はまやかしだと思うので、とにかく話し合います。片方のベストではなくふたりにとってベターな着地点を模索するようにしています。(息子だいすきさん)
●ルールを越えて相手を思いやる
家事は分担していますが、手が空いている時や相手が疲れていると感じた時は代わりに行うようにしています。代わりにしてもらった時は「ありがとう」を忘れずに伝えることを心がけています。また、思ったことや不満はなるべく相手に伝え、対処を一緒に考えるようにしています。(87jjさん)
●早めに本音を丁寧に伝える
ケンカ腰で意見を言うのではなく、冷静に「自分はこう思っている」ということを伝えるよう努力はしています。それもイライラがピークになるとなかなかできないので、不満がある時はなるべく早いうちに伝えるようにしています。(YNさん)
●相手の気持ちもしっかり聴く
感謝と謝罪の気持ちはタイミングを逃さず伝えるようにしています。また、気になったことや、おかしいと思った時は自分の気持ちを伝え、夫の気持ちや考え方もしっかり聞かせてもらえるように努めています。(あやくまさん)
From 編集部
イライラ・モヤモヤを乗り越えた先に真のふたりの幸せが!
相手に不満や怒りを感じた時、ケンカするのを避けてつい我慢してしまうという人も多いようです。悲しみは半分に、幸せは倍に、感情を共有し合うのがパートナーシップの醍醐味。それは、お互いを心から受け入れ合っているからこそ到達できる関係性です。大門さんによると、ここまで解説してきた以外にも大切なポイントがあります。それは今の「ロマンス期」をとことん満喫すること。まずは、結婚式やハネムーンを思う存分楽しんでくださいね!
大門昌代さん 心理カウンセラー
カウンセリングサービス/神戸メンタルサービス所属。2005年から活動。講座、ワークショップを多数手がけ、100人規模のグループセラピーをリードするトレーナーでもある。恋愛や結婚、浮気をはじめ幅広いジャンルを得意とし、女性ならではの視点と懐の深さを使ってのカウンセリングには定評がある。著書『身近なあの人からの「攻撃」がピタッ! と止まる本』(PHP研究所)など。
構成・文/小松ななえ イラスト/沼田光太郎
※記事内のデータおよびコメントは2023年7月に「ゼクシィ花嫁会」のメンバー86人が回答したアンケートおよび、結婚してから3年以上生活を共にしている30~40代の男女220人が回答したマクロミル調査によるものです
※掲載されている情報は2023年9月時点のものです
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