“統一感”でもっと魅力的に!雰囲気別<和装カップルコーデ>実例
和婚や前撮りで和装を検討中のプレ花嫁さんに提案したいのが、「ふたりの統一感」。統一感やリンク感などがあることで、お互いを引き立て合いより魅力的に。また見る人に仲むつまじさまでも感じさせる効果があるんです。そこで今回は、ふたりが醸し出す3つの雰囲気別に、素敵な和装のふたりコーデの実例をご紹介。和装専門ショップさんのアドバイスも要チェックです!
新郎新婦和装の「統一感」での魅力って?
プロが解説
[Q1]和装の新郎新婦リンクコーデにはどんな効果が?
「衣裳は主役のおふたりを輝かせる大切なアイテム。個々で輝くのではなく、お互いがお互いを引き立て合うことで、仲の良さやゲストに伝えたいメッセージにも説得力が増します。また、色彩心理学的にもトーンを合わせるだけで、人間の脳はまとまりや調和を感じるといいます。そのため、色調が合っている場合は、見る人にしっくり感じさせる効果もありそうです」
[Q2]リンク感、統一感を出すためのポイントは?
「例えば、花嫁は伊達襟に紋服のカラーを取り入れたり、花婿は羽織ひもを花嫁の着物に合わせたり。同じ色や柄をポイントに使って、その色や柄行きの意味に思いを込めるのも素敵。同じ色で合わせるのがむずかしい場合は、色彩チャートの中から同じグループのものを選ぶだけでも、統一感を出すことができます」
以上、新郎新婦和装専門ショップ「CUCURU」ディレクター加納紘美さん
それではここからは、プロの解説も参考に3つの雰囲気別に実例でその魅力を見ていきましょう。
<STYLE1 ふんわり>
柔らかな雰囲気をもまとう淡色和装
最近じわじわ人気上昇中のふんわり淡色の和装スタイル。「明度の高いカラーで穏やかで優しいイメージから、明るい未来を連想させます」(加納さん)。
花嫁衣裳では、白無垢の掛け下や半襟などでパステルカラーを取り入れたり、花婿衣裳ではアースカラーのような羽織も増えていたり。洋服のカラーリングにも通じる和に振りすぎないナチュラルさと、自然体で着こなせることも人気の理由のようです。
ピュアホワイトの白無垢×白羽織
<ビビッドな背景に浮かび上がるようなホワイトリンク>
真っ白で揃えたふたりの姿は初々しさに満ち、ピュアな印象に。花嫁のネイルや筥迫(はこせこ)、懐剣といった胸元を飾る小物は、目立ちすぎない淡いイエローでまとめて白無垢を際立たせた。
花婿は上半身に色を入れず真っ白な装いにし、袴も白となじむ淡めのしま模様で一体感を。揃えることで、華やかな背景にもしっかり引き立つふたりに。
一方、自然光の下では、白無垢のあでやかな花柄や波模様、羽織の格子や質感もクリアに浮かび上がり、また違った魅力を見せてくれるのもホワイト和装コーデの魅力。
ふんわりリンクVOICE
背景となるビビッドなピンクのふすまを生かしたくて、衣裳の色や柄とけんかしないようふたりとも白で統一。彼の衣裳も真っ白な羽織と相性のいいグレー系のしま模様の袴を合わせて、主張しすぎないコーディネートにしました。(眞邊光保さん)
着用タイミング/前撮り
オフホワイトにバーガンディ掛け下×グレー紋付き
<ニュアンスカラーでトーンを揃えて>
白鳥柄のクリーム色の白無垢の下に合わせたのは、現代的なバーガンディカラー(濃い赤紫色)で総絞りの掛け下。花婿はグレージュの紋付きに、遠目にはグレーにも見える白黒のしま模様の袴を合わせた、同系色でまとめたワンカラーのような印象に。
お互いに同系色にも見えるくすみカラーを基調にし、かつ淡色にして色の明度を揃えることで、ふたりが溶け合うような優しい色調に。京都の自然にもしっくりなじんで、まるで絵画のよう。
ふんわりリンクVOICE
シックな雰囲気で統一したいと思い、私の掛け下と彼の和装全体の色調を柔らかい色みで揃えました。帯締めなどの小物もパープルやネイビーにして、和装そのものの色合いを生かしたのもポイントです。(みーちゃんさん)
着用シーン/前撮り
白無垢に黄緑の掛け下×幅広しまの黒の紋付き袴
<新緑にマッチした掛け下の淡いグリーンに、白場多めのしま袴で>
キラキラと輝く新緑のイメージを掛け下に取り入れて、ブーケや小物も淡い黄緑で揃えた花嫁衣裳は、表情までもふんわり優しく。
新郎の黒の紋付きは、袴のしま模様の幅が広めで白の分量が多めのものをセレクト。黒の分量を抑えたことで、新婦の新緑カラーとのコントラストが強くなりすぎない仕上がりに。爽やかかつ軽やかにまとまった。
ふんわりリンクVOICE
新緑のキレイな寺院での撮影だったので、外でもしっかり映える爽やかなコーディネートにしたいなと思いました。掛け下は、パーソナルカラー診断で似合う色だったのも決め手になりました。(中村紗世さん)
着用シーン/前撮り
<STYLE2 スタイリッシュ>
ハッキリとした色柄を旬のムードで装う
ビビッドな色柄や色に深みのある和装は見る人にハッとしたインパクトを与え、思わず目が離せなくなる吸引力があるのが、スタイリッシュスタイル。
「濃い色やビビッドな色、織りに特徴のあるものを選べば粋な印象でゲストを楽しませようというお気持ち、またふたりで力を合わせて生きていくという強い意志を感じさせます」と加納さん。ヘアメイクやスタイリングによって、さらに個性やオリジナリティを表現している人も増えています。
モダン色合わせ打ち掛け×紺羽織+グレー袴
<多色使いにまとまりを生む、ゴールドの差し色合わせで>
オレンジ、赤、ゴールド、緑など多種多彩なカラーを織り交ぜた絶妙な配色と古典柄の刺しゅうが、伝統的でありながら個性も放つ色打ち掛け。ふきや懐剣などの小物の赤とコントラストを効かせ、また半襟にはゴールド刺しゅう入り、草履もゴールドに。
新郎の羽織は、華やかな新婦の和装に負けない明るめの紺色をセレクト。家紋は新婦のポイントカラーとなったゴールドとリンクさせてさりげないお揃い感を漂わせて。上半身が華やかな分、細身の縦しま柄のグレーの袴を合わせて全身バランスも整えた。
スタイリッシュリンクVOICE
ふたりでカラフルな和装にしましたが、基本は打ち掛けに使われている色だけ取り入れることで自然な統一感が出て、華やかな背景ともぶつからずに映えるペアコーデになったと思います。彼の羽織ひもは白を選んだのも、リンク感アップにつながったと感じています。(YuKiNaさん)
着用シーン/前撮り
黒引き振り袖+白無垢×グラデーション袴
<レトロな料亭で、懐かしくも新しい黒と白のツートーンコーデ>
登録有形文化財の老舗料亭で“祝言挙式”などオリジナル感のある結婚式を行ったため、ふたりともレトロでありながらモードなニュアンスのある和装スタイルに。
お引きずりスタイルにひかれて選んだ黒引き振り袖は、鹿の子や牡丹柄にビビッドな色の小物や帯、そしてフィンガーウェーブのヘアを合わせることでよりモダンな印象に。挙式では、上にしだれ桜の金刺しゅうを施した個性のある白無垢を羽織った。
新郎は黒紋付きに、白から黒へグラデーションを描く袴を合わせたことで今っぽい個性をプラス。モノトーンにすることで、黒引き振り袖と白無垢どちらのスタイルにも合うツートーンのペアコーデに。
スタイリッシュリンクVOICE
ふたり並んだ時の収まりの良さを意識しました。紋付き袴を引き振り袖と同じ黒を基調にすることで、引き振り袖と白無垢どちらともしっくりきたと思います。伝統とオリジナリティを両立させることができ、また、ふたりで揃えたモノクロのコントラストが和の会場に映えて良かったです(Kiraraさん)
着用シーン/挙式では白無垢+引き振り袖、披露宴では引き振り袖
単色色打ち掛け+黒小物×アレンジ黒紋付き
<正統派の和の差し色に黒、アクセント付き黒紋付きで現代的なスタイリング>
七宝菊文という古典柄を華やかな唐織で仕上げた色打ち掛けは、柄そのものも製法も正統派でありながら、珍しいオレンジ系の単色かつ、格子と菊柄を繰り返すシンプルな柄行きで、不思議とモダンな雰囲気に。さらに伊達襟や帯揚げ、ヘアのベロアリボンに黒を効かせることで、今っぽい個性もオン。
花婿は一見王道の黒紋付きながら、実は羽織ひもが定番の単色ではなく、白と黒のしま模様で個性的なアクセントに。さりげなくデザイン性を加えることで、ふたりのエッジの効かせ方にリンク感が。ふたりともヘアをタイトにまとめ、和のムードを高めたことも統一感に一役。
スタイリッシュリンクVOICE
会場の京都らしい雰囲気と、友人から譲り受けた黒いツノリボンを生かした和装にしたいと思いました。ふたりで黒を取り入れたことで、統一感とトレンド感も表現。どの時代に振り返ってみても上品さを感じさせる和モダンな和装に仕上がりました。(生盛舞香さん)
着用シーン/披露宴
<STYLE3 キリッと>
いつの時代にも美しく、揺るぎない佇まい
「王道の白無垢、古典柄や赤色の色打ち掛けに黒紋付き袴を選べば、大人の落ち着きを感じさせます。また、格式を重んじた晴れ姿は、ご年配のゲストもお喜びになることでしょう」(加納さん)。
結婚した今だからこそ、あえて王道がいいという人も多数。時代が変わっても美しさが色あせない、ふたりの衣裳の格が自然と揃い、テクニック不要で統一感のある着こなしとなるのもキリッと正統派の魅力。花婿や花嫁になった実感を存分に味わえる装いです。
朱色打ち掛け×黒紋付き
<王道の朱色の鮮やかな色打ち掛けと引き立て合うノーブルな黒紋付き>
“THE日本”といえるような京都の風景とも相性ぴったりの正統派の和装をセレクト。格を揃えることで、しっくりとしたペアコーデを実現したふたり。
色打ち掛けが朱色に近い鮮やかな赤い地色のものだったため、花婿側もバランスよく引き立て合うように、淡い色ではなくはっきりとした黒の紋付きをセレクト。レトロな街並みになじむ、王道ならではのまとまりも花もあるスタイルに。
キリッとリンクVOICE
鶴や孔雀のような鳥が描かれた華やかな色打ち掛けは、水色や紫の差し色がお気に入りで選びました。紋付き袴は黒からセレクト。できるだけ王道であることにこだわり、調和したスタイルになりました。(ちょこまるさん)
着用シーン/前撮り
純白の白無垢×黒紋付き
<白一色の装いと黒の対比で潔く、凛として>
花柄がさりげなくあしらわれたほんのりと光沢のある白無垢は、小物もすべて白で統一。新郎は黒紋付きに、しま模様のコントラストが効いた正統派袴という王道中の王道スタイルに。
花婿も白無垢と伝統性と格を合わせたことで、ふたりの調和もしっくりとした印象に。華やかな背景に白×黒という明暗のハッキリとしたふたりの対照的な色合いコーデがしっかり引き立った。
キリッとリンクVOICE
お互いに派手すぎず、キレイなイメージに仕上げたいと思いました。白無垢は光沢も花柄も控えめなものに、また彼の袴もあまり主張しすぎず、かつすっきりとした印象になるようにストライプの定番柄を選びました。(rinさん)
着用シーン/前撮り
金&緑古典柄色打ち掛け×グラデーション袴
<遠目にも伝わる華やかさを色や柄で存分に表現>
広い空間での披露宴のためにと、ふたりとも華やかな和装をセレクト。色打ち掛けは深い緑を基調にした色鮮やかな一着でありながら、柄行きの細やかさと金の繊細な刺しゅうによって派手すぎず上品な印象に。
新郎も王道和装でありつつ、袴は光沢感のある素材。照明が当たることでさりげない輝きを放ち、花嫁の色打ち掛けを立てつつもさりげない主役感を感じさせた。さらに白からグレーへとグラデーションがかった様子も、遠目で見てこそ伝わる粋なおしゃれに。
キリッとリンクVOICE
色打ち掛けは、最初は赤で探していましたが、金糸の刺しゅうがとても気に入りひと目ぼれ。「上品であること」をお互いに心掛けることで、ふたりの雰囲気が整ったと思います。(佐藤亜寿香さん)
着用シーン/前撮り、披露宴
【プロに聞く】最近の新郎新婦和装の人気傾向は?
全体的にミニマムにされる方が増えているように思います。ヘアスタイルは、盛り盛りよりも、つや感や質感を大事にしたスタイリッシュなシルエットに。スタイリングにもたくさんの色を詰め込むよりも色数は控えめにして、その分素材にこだわるなど……。
伝えたい部分、注目してほしい部分がより際立つように、ショップでもあまり盛り込みすぎないよう“引き算”することを常に意識しています。(加納さん)
From 編集部
ふたりで「軸」を決めて、統一感のある和装選びを
和装で統一感のあるスタイルとするには、色、柄、トーン、格……どこかで共通するポイントを決めると効果的なようです。
加納さんによると、「まずは、おふたりでご結婚式や衣裳をどうしたいのかをお話しください。大切なのはおふたりが納得して、同じ軸を持ってスタートすること。理想を理解し合い、尊重し合うことで、自然とまとまりのあるコーディネートが出来上がっていきます」とのこと。ふたりの思いを重ねれば、きっとまとう雰囲気に見る人をも幸せにする“統一感”が漂うことでしょう。
CUCURU
花嫁和装に特化した専門店。独自の世界観で「着物をコーディネートする」楽しみを提案。着物のレンタルにとどまらず、フォトプランやヘアメイクプラン、オリジナルアイテムの販売も手掛ける。
https://cucu-ru.com/
取材・文/小松ななえ D/mashroom design 構成/松隈草子(編集部)
※掲載されている情報は2023年1月時点のものです
- 挙式・披露宴
- ドレス・衣裳
- 前撮り
- ドレス選び・試着
- アイテム検討期
- 個性的
- おしゃれ
- 定番
- 和風
- テンションあげたい
- 白無垢
- 色打ち掛け
- 引き振り袖・振り袖・黒引き