【前撮り撮影】成功のカギは、Notガチガチな「指示書」にあり!
「前撮りはあんな写真にしたい」「こんなポーズもしてみたい」の花嫁心、よく分かります。でも一から十までフォトグラファーに指示して、欲張った盛り盛りの注文では「前撮り指示書」以上の写真は望めないことも……。せっかくプロの撮影、自然体の一瞬を捉えたショットも欲しいですよね。そこでフォトグラファー・山辺 優さんが指南。「花嫁の希望も叶う」×「フォトグラファーの持ち味も生かせる」指示のコツをインプットして。
“希望通り”も“想像以上”も生まれる「指示書」の極意
【POINT1】ふたりの好き・嫌いを伝える
前撮り指示ではまず、「性格」「趣味」「好みのテイスト」「苦手なこと」など“ふたりの好き・嫌い”を伝えよう。「どんなおふたりなのか、事前に教えてもらえると撮影のイメージが膨らみます」と山辺さん。例えばキャンプを楽しむアクティブなふたりなら「自然の中ではじけた写真を撮ろう」とイメージ。また恥ずかしがり屋のふたりなら「空気が暖まってきた撮影後半にハグするポーズをやってみようかな」と、現場をコントロールすることも。
■性格の指示例:「明るくおしゃべり大好きなふたりらしく自然体の写真に」「彼は写真が苦手で固まってしまいそう。ぜひ盛り立ててください」etc.
■趣味の指示例:「習っているバレエのポーズをしたい」「野球部員とマネジャーだったその雰囲気が伝わると嬉しい」etc.
■テイストの指示例:画像を見せて「好きなインテリアの世界観のように撮れたら」「ふたりのお気に入りの洋服みたいにカジュアルな雰囲気に」etc.
フォトグラファーのテイストを知ってから依頼しよう
複数のフォトグラファーのSNSを見比べると、それぞれにテイストが異なることが分かってくるはず。例えばふんわり柔らかい世界観を得意とするフォトグラファーに、「シャープな雰囲気でかっこよく」と依頼しても、せっかくの持ち味を生かせません。「この写真好き!」とビビッときたフォトグラファーとは相性がいいはずなので、まずはフォトグラファーのテイストを見極めて。また規模の大きなスタジオは大勢のフォトグラファーがいて、ニュートラルな撮影が多い傾向だから、オーダー次第で好みのテイストに持っていける可能性も高くなります。
【POINT2】外せないものを伝える
どこで撮りたいのか、何と撮りたいのか、写真をアイテムに加工する予定はあるのかなど、“これだけは外せない”という希望は、しっかり伝えよう。「例えば緑の背景でも、森の中と、山の上の開けた感じでは、背景が全く異なります。おふたりのイメージになるべく近付けたいので、言葉で伝えるのが難しいときは『こんな景色の中で』とサンプルを見せてください」(山辺さん)
■被写体の指示例:「ペットと撮りたい」「家族と撮りたい」「思い出の品と撮りたい」「趣味のアイテムと撮りたい」etc.
■ロケーションの指示例:「水辺がある所で撮りたい」「背景が抜けている所で撮りたい」「都会の夜景をバックに撮りたい」etc.
■用途の指示例:「年賀状に使いたいので目線ありのショットが欲しい」etc.
【POINT3】小道具やポーズは欲張りすぎない
指示書にたくさんの決めポーズを盛り込み過ぎると、フォトグラファーは頭の中がそれでいっぱいになり、所要時間全てを使って、ただこなしていく撮影に……。「そういう時は、新しいインスピレーションが生まれたはずなのに……と残念な気持ちになることもあります」と山辺さん。また小道具も多すぎると、時間を取られてしまいがち。ガーランドをきれいに写すために、風がやむのを待つのはよくあること。
“ポーズや小道具は欲張り過ぎない”が最大のポイント!写真は一瞬の光、一瞬のしぐさを切り取るところに醍醐味があるので、指示書にはフォトグラファーの想像をかき立てる“余白”が必要。
【実例】ベストショットはNotガチガチな指示書から誕生した!
目指したのはパリで暮らしてるような写真。ロケ地を伝え「写真苦手」も共有
「彼はフランスに留学経験があり、私も旅行で訪れたことが。そんなことから意気投合したふたりはアートも好きなので、パリで前撮りをしました。どこを切り取っても絵になる街ですし、撮られることに慣れていないので、『パリの景色をメインに』と依頼しました(笑)。ロケ地は具体的な希望を伝えましたが、時間の制限もあるので『もし大丈夫であれば』と添えて。構図やポーズはほとんどお任せでした」(慎太郎さん・美咲さん)
[写真上]モンマルトルを歩いて撮影中、観光バスのプチトランが通って「初めて見た!可愛い、乗ってみたい!」と盛り上がっている一瞬のワクワクショット
[写真下]オープンしたばかりの新現代美術館の前で。「ここに座っておしゃべりしてて」と言われ、しばらく話しているとこんな素敵なショットに!
出会った母校に帰って撮影。撮りたいショットを厳選して伝え、後はお任せ♪
「ロケ地はふたりが出会った高校。その頃の写真をスマホに取り込んだショットや、黒板にふたりの軌跡を書くショットはSNSで見つけて、ぜひやりたいと思ったことです。当時は擦れ違うだけでドキドキしていた、廊下でのショットも依頼してたくさん撮ってもらいました。外せないことは具体的に指示しましたが、『後はその場の雰囲気にお任せします』『ありのままの自然なふたりを撮ってほしい』とお願いしました」(Lioさん)
[写真上]チャペルでの撮影。彼が「プロポーズを再現した写真を撮ろう」とふざけていたひとコマも、逃さず撮ってくれていた
[写真下]16時ごろ、夕日がきれいで窓辺でふたりで話していたところを、後ろから撮影。こんな幻想的な光に包まれていたなんて!
From 編集部
余白のある前撮り指示書を用意したら、当日は自由に遊ぶ感覚で撮影を♪
理想のフォトグラファーやスタジオに依頼できたら、後は大船に乗った気分である程度フォトグラファーにお任せしましょう。そして伝えないと分からないことは、画像や言葉を用いて具体的に相談してみて。「ふたりはこんな出会いをして、こんな暮らし方をしています」とプロフィールを伝えることも大事。ちょっと余白を意識した「前撮り指示書」を用意したら、遊ぶように撮影を楽しんで♪きっと、最高のショットが生まれますよ。
山辺 優 フォトグラファー
軽井沢を含む長野県の東北信地域をメイン拠点に撮影。「光と色と空気を捕らえる」自然を生かした優しい世界観は、ファンが多い。国内外を問わず出張も可能。
Instagram ID:yuyamabe
構成・文/千谷文子 イラスト/moeko D/ロンディーネ
※掲載されている情報は2023年1月時点のものです。
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