「いつか」のために、今から準備♪花嫁さんの“プレ妊活”【医師監修】
近い将来、子どもを持ちたいと考えている花嫁さんへ。結婚準備中はあれこれ忙しいけれど、結婚後に子どもを持ちたいと考えているなら、体の状態をチェックし、整えることはとっても大切なんです!「すぐに妊活は……」と思っているなら、その一歩手前の”プレ妊活”から始めてみませんか?産婦人科医の清水なほみ先生に、プレ妊活として今から準備できることをお伺いしました。
お伺いしたのは……
ポートサイド女性総合クリニック ビバリータ院長。
2001年広島大学医学部医学科卒業。虎の門病院産婦人科などを経て、現クリニックを開設。女性の悩みに寄り添い、心と体の健康を維持していくための診療を心掛けている。
そもそも“プレ妊活”って?
いつか赤ちゃんを授かりたい!と考えているカップルの「体と心の準備期間」
近い将来、赤ちゃんが欲しいと思っているなら、今行動することは決して早すぎることはないんです。実は生物学的な妊娠適齢期は25~26歳とされており、若ければよいというものではなく、この年齢が「最適」といえます。また、20代のうちは保たれている妊娠率も、年齢とともに少しずつ下がっていく傾向に。(※)
でも、不安になることはありません。プレ妊活を始めることで、妊活の前に心と体を「整え」「知る」ことができ、いざ妊活を始める際も安心してスタートすることができます。今からしっかりと準備をしていきましょう!
まずは、心の準備から!
ふたりが“プレ妊活”で話しておくべきこと
<こんなことを話してみよう>
●子どもはいつ頃、何人欲しいのか
●「なぜ子どもが欲しい」と考えているのか
●子どもが生まれた後、経済的な計画をどう考えているか
●子どもが生まれた後、仕事・家事の配分をどうするか
●タイミング法で何カ月妊娠しなかったら病院へ行くのか
いざ「子どもを授かりたい」と思ったとき、ふたりの間でストレスなく、妊活をスタートするためにも話し合いはとても大切なんです!デリケートな話題だからこそ、妊活が始まって「そんなふうに思っていたの!?」とぶつかることのないように、お互いの気持ちや考えを伝えておきましょう。
体の状態を「整える」ための準備
1.食習慣→栄養バランスを考えよう!
男女ともに規則正しい生活に加え、食事の栄養バランスが大事です。食事内容は「バランス良く」「低糖高タンパク質」「カップ麺やファストフードは控える」を意識!また、葉酸や亜鉛も積極的に摂取したいですね。
結婚準備中はやることが多く、忙しくなりがちですが、「甘いものばかり食べ続ける」「毎食ファストフードで済ませる」といった極端な食事は避けましょう。
【疑問を解消】
葉酸・亜鉛はなぜ大事?どう摂取する?
葉酸が母体に不足していると、赤ちゃんの先天異常の可能性が高くなるといわれています。また、亜鉛は男女共に必要なミネラル。妊娠中であれば胎児を守ることにもつながります。
女性は妊娠3カ月前から妊娠12週まで葉酸を、検査してもし不足しているなら鉄や亜鉛を摂取しましょう。男性も検査で亜鉛不足とわかったら、摂取するとよいです。食事で取り入れるのが理想ですが、難しい場合はサプリで用量を守って摂取しましょう。(清水先生)
2.運動習慣→継続的に行うことが大切!
運動は基礎代謝の向上やストレス解消など、さまざまな効果があります。そのため、「妊娠してから運動」ではなく、プレ妊活のタイミングから運動を習慣化して、筋力をつけることが大切です。1回30分以上、週3回以上、軽い負荷(ハード過ぎない)の運動を継続的に行いましょう。
【疑問を解消】
冷え性は妊活には良くない?改善方法は?
冷え性の原因の多くは、筋肉不足・血行不良・食事の偏り・過緊張(自律神経が交感神経優位の状態)です。体の冷えにより、さまざまな不調が起こることもあり、ぜひ改善したいところ。
バランス良く食べて、筋トレ&運動をする、また、ストレスフリーな生活を意識しましょう。例えば、「ため込まずに言いたいことを言う、“べき”思考や“ゼロか百か”思考をやめる、嫌なことを嫌々せずしたいことをする」など運動習慣に加えて、ストレスの原因になりやすい思考を変えていくことも大事ですよ。(清水先生)
体の状態を「知る」ための準備
1.歯科検診を受ける→口内環境を整え、治療が必要な箇所は早めに治そう
妊娠すると女性ホルモンが変化して唾液が減少し、虫歯ができやすくなるといわれています。虫歯の治療内容によっては母体に負担がかかる可能性もあり、出産後は赤ちゃんがいるので治療の時間を取ることが難しくなることも。また、妊娠している女性が歯周病にかかると、早産や低体重児の出生の危険性が高くなるので注意して。プレ妊活としてまず歯科検診を受け、虫歯や歯周病の治療を終えておくとよいでしょう。
チェックポイントはここ!
●定期的に歯科検診を受けているか
●虫歯や歯周病になっていないか
2.婦人科を受診する→強い症状出ていなくても相談してみよう
月経痛が重い、月経周期が乱れているなど、気になることがあってもそのままにしていませんか?“プレ妊活”を考え始めたタイミングで、気になることを婦人科で相談してみましょう。また、子宮がん検診や乳がん検診などを定期的に検査していない場合はぜひ検査を!自治体によっては補助が出る場合もあります。かかりつけの婦人科があると、これから妊活を始める際も安心です。
チェックポイントはここ!
●月経痛や月経不順があれば、内膜症の有無やホルモン異常の有無を確認
●症状がなくても、子宮筋腫や卵巣嚢腫(のうしゅ)の有無、子宮頸(けい)がん&子宮体がんの有無を確認
●症状がなくても、一通りの性感染症の有無を確認(妊娠を望むならコンドームを外すことになるのでお互いに検査が必要)
3.基礎体温を記録する→毎日同じ時間に、目が覚めたらすぐ測ろう
月経や排卵の影響で変化する「基礎体温」は、女性の体のリズムと大きな関係があります。そのリズムを把握することで、排卵日の予測もできるため、妊娠しやすい時期がわかってきます。基礎体温を測る際は、一般的な体温計ではなく、小数点第2位まで測れる「婦人体温計」を使い、目覚めたら体を起こさず横になったまま、婦人体温計を舌の下に入れて測りましょう。
1カ月分の基礎体温をグラフにすると、月経が始まってから排卵日までは「低温期」、排卵日以降は「高温期」に分かれます。排卵日の3日前~排卵日の翌日までの5日間が妊娠しやすいタイミングで、特に排卵日の1~2日前が妊娠しやすい日とされています。
チェックポイントはここ!
●月経の始まりとともに基礎体温が下がり、低温期があるか
●高温期に速やかに上がっているか(低温期との差が0.3度以上あるか)
●高温期が10日以上持続しているか
4.ブライダルチェックを受ける→内診や採血など、さまざまな項目を検査
主に結婚を控えた女性を対象にした婦人科検診のことで、妊娠や出産に影響を与える可能性のある疾患の有無を、結婚前にあらかじめチェックすることを目的に行われています。子宮内膜症検査、性感染症検査(梅毒、クラミジア、淋菌(りんきん)、HIV)、風疹抗体検査、各種がん検査(子宮がん、乳がん、卵巣がん)など妊娠・出産する上で、体に問題はないか、性病がないかを調べます。彼と一緒に受けられるところもあるので、結婚・妊娠前に受診を検討するとよいでしょう。
チェックポイントはここ!
●糖尿病ではないか
(妊娠すると血糖値が高くなりやすく、お母さんにも赤ちゃんにも合併症が起こりやすくなる)
●高脂血症、高血圧、甲状腺機能異常はないか
●鉄や亜鉛の不足がないか
【疑問を解消】
男性が体の状態を知る方法は?
“プレ妊活”は女性だけの話ではありません。男性も、自分の体の状態を知ることが大切。男性の代表的な検査は以下になります。
■一般的な健康診断
→基礎疾患の有無
■(年齢によって)がん検診
→彼が40歳以上なら、胃がん・大腸がん・肺がんのチェック
■精液検査
→精子の数・運動率の確認
■性感染症検査・風疹抗体検査
→性感染症・風疹抗体の有無の確認
(特に、クラミジア・淋菌・梅毒は妊活を始める前に確認した方がベター)
From 編集部
今から早速“プレ妊活”を始めよう♪
「いつか子どもを持ちたい」と思っているなら、結婚というライフイベントはちょうどいいきっかけです。妊活より気軽な“プレ妊活”から始めて、心と体の準備を始めていきましょう。夫婦で「子ども」「将来の家族」について話す機会にもなり、絆が深まります。
取材・文/竹本紗梨 イラスト/murayoko 構成/間宮 愛(編集部)
(※)参考データ:2019年ARTデータブック 日本産婦人科学会より
※掲載されている情報は2022年9月時点のものです
- 新婚生活
- 妊娠・妊活
- 結婚準備全体
- 安心したい
- じっくり読む