[プロが指南] 緊張しやすい彼でも大丈夫な【新郎謝辞】のコツ
披露宴の締めくくりとして行われる新郎謝辞。ふたりを代表して、来てくださったゲストの方々へ感謝の気持ちを伝える大切なあいさつです。でも、緊張しやすい彼にとってはかなり気の重いものでもあるはず。この記事では、緊張せずにスピーチする方法はもちろん、通り一遍になってしまいがちな新郎謝辞に自分らしさを盛り込むコツなどを、スピーチデザイナーとして活躍する塩沼亜紀さんにお伺いしました。
新郎謝辞の基本構成と長さは?
3部構成が基本。短過ぎず長過ぎず。緊張しにくい2分がベスト
新郎謝辞の構成は以下の3部と考えるといいでしょう。
(1)冒頭のあいさつ
(2)本文
(3)結び
スピーチの長さはゆっくり話して2分くらいがベスト。短いとそっけない印象を与えますし、長過ぎてもゲストは飽きてしまいます。緊張しやすい人も、「2分くらいならイケるかも!」と思えるのではないでしょうか?
文章量としては、A4サイズの紙にゆったりと書いて1枚以内に収めるのが目安。600~800字くらいと考えるといいでしょう。
新郎謝辞に盛り込みたい内容は?
緊張しやすくても当日は自分の思いを自分の言葉で伝えて
新郎謝辞に盛り込みたい内容について、先に紹介した構成に沿ってご説明します。
(1)冒頭のあいさつ
ゲストへの感謝の気持ちを真っ先に。また、スピーチや余興をしてくれた人、スタッフなど結婚式に関わってくれた人への感謝も忘れずに。さらに、自分の親や彼女の親への思いを伝えてもいいでしょう。
(2)本文
ここでは結婚式に至るまでのエピソードを紹介します。また、これから始まるふたりの人生に対する抱負を述べ、結婚式当日に感じた思いを付け加えるといいでしょう。
(3)結び
締めくくりとして、新生活への決意をゲストに伝え、今後ともよろしくお願いしたい旨を述べます。
塩沼さんからのアドバイス
当日感じた思いをその場でいきなり言うのはなかなか難しいことです。特に緊張しやすい人にとっては「頭が真っ白になってしまうのでは?」と不安になるかもしれません。そうならないために、事前に結婚式のことを想像して、自分がどんな気持ちになるのかをイメージしておくとまとめやすいでしょう。
どうやって自分らしさを出せばいい?
できるだけ具体的なエビソードを添えて
自分らしさを表現できるのは、構成で言うと(2)の本文の部分となります。
例えば、どういうプロセスで結婚式を迎えたのかを具体的に話すのもお勧め。具体的に話すことでその人らしさが生まれるし、ゲストからの共感も得られやすいでしょう。話のネタを探すために、結婚式の準備であったことや結婚に至るまでにあった出来事などを振り返ってみましょう。
なお、新郎謝辞は新郎新婦ふたりを代表してのスピーチとなるので、エピソードは基本的にはふたり共通のものの方がお勧めです。
塩沼さんからのアドバイス
これまでの写真を見返すと、いろいろと思い出すこともあるはずです。プロフィールビデオなどを作る際には、新郎謝辞も念頭において、謝辞のネタ探しをする気持ちで!
先輩花婿Voice
【出会いとプロポーズについて】
おそらく披露宴の後でみんなに聞かれるだろうと思い、最初の出会いとプロポーズの時の自分の心境を話しました。(きってっとさん)
【準備中のエピソード】
結婚式準備をする時期にちょうど連日の深夜残業が重なって、準備のほとんどを妻に任せてしまった話をし、今後はふたりで力を合わせてより良い家庭を築いていきたいと続けました。職場の上司は済まなそうに笑ってましたね。(ハルさん)
【ふたりの性格の違い】
妻と僕とは全く性格が違うことを具体的なエピソードを交えて話した後で、お互い補い合って今後の人生を歩んでいきたいという決意を述べました。そして、それでも足りない部分はあると思うので、ゲストに向かってこれからも変わらぬ支援をとお願いしました。(竜の夫さん)
【お気に入りの映画のせりふ】
学生の頃に見た小津安二郎の『晩春』という映画。その中で、「結婚をしたから幸せになるのではなく、幸せはふたりでつくっていくものだ」というようなせりふがあり、とても気に入っていたのでそれをスピーチに入れました。(雪経さん)
緊張しないために事前に準備しておきたいことは?
緊張する、しないにかかわらず、原稿作成は必須!
原稿を作るのは必須です。特に、緊張しやすい人はその場で自分の言葉で話すのはなかなか難しいので、事前に原稿を作ってください。
原稿が出来上がったら声に出して読んでみましょう。何度も読み上げて、自分の言葉にするまで内容を頭の中にたたき込みます。読むときにはできるだけゆっくりを心掛けて。なお、原稿を作るときは忌み言葉を使わないように注意しますが、話しているときはそれほど意識しなくても大丈夫。
ある程度形になったら、本番を意識して彼女の前でスピーチしてみましょう。ちゃんと話が伝わっているのかどうかチェックしてもらいます。
塩沼さんのアドバイス
原稿の内容は一字一句間違えないように暗記するのではなく、内容を覚えるようにします。原稿を見ながらのスピーチは、緊張すると文字を追えなくなる可能性も。原稿ではなく、内容を箇条書きにしたものを参考にしながら、自分の言葉で話すようにするのがお勧めです。また、「ありがとう」などの言葉には、気持ちを乗せるように意識してみるといいでしょう。
先輩花婿Voice
【本番をイメージして練習】
事前に何度も練習あるのみ!なるべく本番に近い状況にしたかったので、マイクの代わりに紙を丸めて手に持ち、立って動かずに練習しました。(たぬきんぐさん)
【丸暗記はしない】
言いたいことをあらかじめ整理して原稿を作りましたが、丸暗記しないように気を付けました。丸暗記すると、棒読みになってしまうような気がしたので……。(イタチさん)
【ボイスレコーダーや動画で確認】
緊張すると自分が思っている以上に早口になってしまい、聞き取りにくいことがあるかなと思い、ボイスレコーダーや動画で撮影して確認をしました。(tnさん)
【カンペなしで出来るまで練習】
彼女の前で声に出して練習をし、カンペを見ずに話せるようになるまでに仕上げたことで、自信を持って新郎謝辞に臨めました。(stnr36さん)
新郎謝辞の際の緊張を和らげるコツは?
緊張していることをあえて認めることで開き直れる
緊張しやすい人は、緊張しないようにと考えると余計に緊張するという負のループに陥りがちです。緊張しないためには、それを素直に認めるのが意外にも効果的。例えば、「緊張している」とあえて声に出し、花嫁やプランナーさんなどに伝えると、緊張から解き放たれるはずです。
また、スピーチするときには、いろいろな人の顔を見ると緊張してしまうもの。気心が知れた友人など誰か1人に意識を集中して、その人に語り掛けるようにして話すのも緊張しないで話す一つの方法です。
塩沼さんのアドバイス
もし緊張で頭が真っ白になってしまったら、「いろいろ考えてきたけれど、忘れてしまいました」と素直に言うといいでしょう。そして、「結びになりますが」という言葉を言って、「本日はありがとうございました」や「今後ともどうぞよろしくお願いします」などとつなげれば、どうにか格好がつきます。
先輩花婿Voice
【笑顔を作る】
一人一人の顔はあまり見ずに、とにかく笑顔を作って話すようにしたら、緊張がほぐれました。(かかしさん)
【お守りとしてのカンペ】
カンペは見ないでスピーチしましたが、念のためにお守りとして持っておくと、緊張が和らぎますよ。(ハルさん)
【ゲストはみんな自分の味方】
結婚式では自分が主役であり、集まっている人たちは、自分のどんな姿でも受け止めてくれるはずと思うと、緊張して失敗しても大丈夫だと思えます。後は自分に集中して話せばOK!(たいまるさん)
【全集中と深呼吸】
わざとオーバーリアクションにしました。「全集中!」と心の中で唱え、深呼吸したら、ちょっと落ち着いたかな。(よっすぃさん)
緊張しやすい彼のために花嫁がサポートできることは?
新郎謝辞は話すのが新郎というだけであって、基本的にはふたりからのメッセージという位置付け。新郎に丸投げしないで、どんな内容を話すかなどは一緒に考えましょう。また、スピーチの練習などにもしっかり付き合ってあげて。
From 編集部
緊張しやすくたってしっかり準備すれば、新郎謝辞は怖くない!
結婚式はふたりに好感を持っている人ばかりが出席しています。いわば全員がふたりの味方。味方の前でのスピーチですから、肩の力を抜きましょう。緊張しやすくてもしっかり準備すれば大丈夫だし、ちょっとくらい失敗したって気にすることはありません。どうぞふたりの感謝や思いをゲストに伝えて。
塩沼亜紀 スピーチデザイナー・ウエディング司会者
ウエディング司会者をしながら、結婚式に特化したスピーチのレッスンや提案をするスピーチデザイナーとして活動。司会者として700組を超えるカップルを担当し、その現場で培った経験を生かして、各人の個性に合った話術スタイルでウエディングのスピーチを成功に導くサポートをしている。
マリアージュ スピーチ
https://marriagespeech.com
構成・文/粂 美奈子 イラスト/ユリコフ カワヒロ D/mashroom design
※記事内のデータおよびコメントは2022年1月に、結婚式で新郎謝辞を行った20~30代の既婚男性110人が回答したマクロミル調査によるものです
※掲載されている情報は2022年3月時点のものです
- 式直前1カ月前
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