結婚式をしなくても、一生の記念に。4組の「フォトウエディング」レポート
結婚式をせず、ウエディングフォトだけ撮影することを「フォトウエディング」と言いますが、新型コロナウイルス下においての新たな選択肢の一つとして実施する人も増えているようです。中にはもともと結婚式をする予定だった人も多く、写真を残すだけにとどまらない、撮影の時間そのものが充実したものになることも多いよう。4組のとっておきの実例、そして、知っておきたい知識についてご紹介します!
[Case01]大切な場所、大好きな人の元を巡り、いとおしむ一日
逸持治貴大さん&ありささん
●まずは新婦実家が営む飲食店へ!
挙げようと思っていた結婚式でも、音楽やファッション、お酒、お花、こだわりや「好き」をいっぱい詰め込みたいと思っていたふたり。残念ながら新型コロナウイルスの影響で断念することになったけれど、フォトウエディングは結婚式に勝るとも劣らない、こだわりいっぱい、そして大切な人たちとの気持ちを交わした一日に!
まずは、新婦ありささんの家族が営む飲食店へ。両家家族はもちろん、彼女が幼い頃から家族のように関わってきた従業員さんも交えて、記念撮影。
●家族への思いをしっかり届けて
撮影中に、それぞれの父と母にはお手製のめおと茶わんを贈呈。気持ちがあふれて、みんな涙、涙。「ありがとう」と伝えるのがやっとだったけれど、親に晴れ姿を見せられてホッとした。
いつもはシャイで前に出ないタイプの新郎祖母が、一生懸命写真を撮っていた姿にも、その喜びを感じ取って心が和んだ。
●ふたりの大切な居場所へ!
趣味も多彩で愛されキャラのふたりは地元にたくさんのお気に入りスポットが。たくさんの人と出会ったクラフトビールのバー、プロポーズをはじめふたりの記念日や日常を彩るフラワーショップで、お花やビールといった「好き」にあふれた写真を残せた。
●クライマックスは友人が待つバーへ!
月に2度は訪れる地元のバーで、小さなパーティを兼ねて締めのフォトタイム。地元の友人はもとより、この素敵な空間を知ってほしいという思いを込めて、学生時代や仕事仲間なども招いて、大切な人との思い出を残せた。さらに、その後は再びフラワーショップで二次会も!
お手製のウエルカムボードをプレゼントされたのも、とっておきの思い出。
フォトウエディングをやってみて
欲を言えば、やっぱり結婚式を挙げたかったですし、遠方の友人も呼びたかったです。でも、気取らないフォトウエディングという形を取ったからこそ、家族も自分たちも、そして友人たちも、ありのままの姿を残せたと思います。最高に贅沢な一日でした!(逸持治貴大さん、ありささん)
タイムスケジュール
7:00 お支度スタート
9:30 新婦実家の店舗で撮影
12:00 クラフトビールのお店で撮影
15:30 フラワーショップで撮影
16:00 バーで撮影&パーティ
17:00 撮影終了、二次会
※プロデュース/Wedding produce *Chayuka*
※撮影/坂上命
[Case02] 生まれ育った街で、たくさんのおめでとうを受け取って
@takamoe_viewさんカップル
●家族との思い出を残すために……
結婚を機に東京から地元岐阜に戻ることにしたふたり。5月に結婚式を予定していたものの、新型コロナウイルスの影響で東京から快く友人を招待できないと判断して、タイミングを優先。結婚式ではなく、フォトウエディングを行うことに決めた。
撮影は同じ県内のそれぞれの地元で。2回目の撮影となった新婦地元では、自宅でのお支度からスタート。孫の晴れ姿に、「キレイやな、キレイやな」と祖父はメロメロ。両家の祖父母揃って、神社で撮影したのも嬉しい思い出。
●街への感謝を込めて、風情ある背景で撮影
萌絵さんの地元は、国の伝統的建造物群保存地区に選定された“うだつの街並み”が有名な美濃市。春は花みこしが名物で、祭りで結ばれた地域の人たちの絆も固い。大好きな街での撮影は、東京から戻って地元で送る新生活への決意を改めて実感する時間に。
●集まった地元の人たちの「おめでとう!」
撮影のうわさを聞き付けた街の人たちが表に出てきて、「おめでとう!」「大きくなったね」「キレイ!」と声を掛けてくれた。ちょっと恥ずかしかったけれど、嬉しかった。近くの古民家での撮影も、その場で声を掛けられ実現。
●地元の友人との記念もパチリ
たまたま地元にいた友人も駆け付けてくれて、一緒に写真を残せたのも嬉しい驚き。「地元で頑張りたいね」、そんな気持ちを写真に収められたよう。
フォトウエディングをやってみて
ちょっと恥ずかしいと思ったけれど、思い出いっぱいの場所で撮影したことで、思いがけず、多くの人に祝福され、街が「お帰り」と言ってくれているかのような温かい気持ちになりました。撮影した写真は宝物。今も自宅のさまざまな所に飾って、眺めています。(@takamoe_viewさん)
タイムスケジュール
[1日目]彼の地元で洋装の撮影
10:30 お支度スタート
12:00 撮影スタート
16:30 撮影終了
[2日目]彼女の地元で和装の撮影
10:30 お支度スタート
12:00 撮影スタート
16:30 撮影終了
※撮影/pureartis(ピュアアーティス株式会社)
[Case03] 美術館と海を舞台に。セレモニーも取り入れて思い出深く
阿部力也さん&千帆さん
●家族の前で誓う姿を形に残したい
本当は、大勢ゲストを招いて結婚式がしたかったというふたり。新型コロナウイルスの状況を見て、時期を決めようと考えていたけれど、家族が体調を崩したことをきっかけに、急きょフォトウエディングを選択。
写真を残すだけでなく、特別な日にしたいという思いがあり、SNSで見つけたフリープランナーに相談。人前式と撮影を行うことに。セレモニーには両家家族も参列した。スタートは、お支度をしたドレスサロンでの撮影から。
●雰囲気のいいギャラリーで人前式
たくさんの絵画が彩るギャラリーを舞台に、宣誓や指輪交換、そしてケーキカットなどのセレモニーを行った。入場すると、迎え入れた家族が泣いているのが目に飛び込んできて、ふたりもぽろぽろと涙をこぼした。
●ドレスコードを揃えて、両家で一体感
家族には白シャツと黒いパンツで参加してもらい、プロポーズにちなんだバラの花を手にしてもらった。お揃いの装いで仲良く撮影した写真は、温かい雰囲気いっぱい。背景の絵画や柔らかい照明も写真に優しい趣をプラスしてくれた。
●プロポーズの舞台である、海へ!
セレモニーの後は、デートで何度も訪れ、プロポーズをされた場所でもある地元の海辺へ。ここで撮影するために、ドレスもマーメイドラインをセレクト。それまで小雨が降っていたのが奇跡的に晴れ、雨つゆがキラキラしていてとってもキレイだったのも、忘れられない思い出に。
フォトウエディングをやってみて
スタッフさんたちが盛り上げてくれて、ちょっと恥ずかしかったけれど自然な表情を残すことができましたし、とっても楽しかったです!何よりも、家族に参加してもらい、形に残せたことが良かったです。結婚したんだなぁと、しみじみ感じられました(阿部力也さん、千帆さん)
タイムスケジュール
9:00 お支度スタート
11:30 ドレスサロンで撮影
12:30 ドレスチェンジ
14:00 ギャラリーで人前式・撮影
16:30 海辺で撮影
17:30 撮影終了
※プロデュース/marrydesigns(マリーデザイン)
※撮影/Derek Yamashita
[Case04] 今のふたりの思いをポエムのような写真にのせて
吉田晃也さん&さくらさん
●温泉宿に宿泊し、森とカフェで撮影
森の中のカフェで結婚式を行う予定だったけれど、2度の延期を余儀なくされたふたり。式の雰囲気はそのままに、フォトウエディングにシフト。たくさんの撮影イメージを収集し、アートのような写真を形にした。
前日から素敵な温泉宿に宿泊し、朝イチから森とその中にあるカフェを舞台に撮影がスタート!
●大自然が主役!自分たちは風景の一部に
緑いっぱいの写真を撮りたくて、ふたりにフォーカスするよりも、その中に自然になじむような、さりげないふたりの姿を残してもらった。フォトグラファーの撮影する様子や指示に、どんな写真になるのかずっとワクワク!
●大切に選んだアイテムたちも、被写体に
シルクのリボンを合わせたクラッチブーケ、草木と相性の良いナチュラルなタンクトップドレス、バレエシューズ……。一つ一つこだわって選んだアイテムも、詩的な雰囲気で撮影。自分たちがその場で撮影していたインスタント写真まで、収めてくれていて感激したそう。
●お互いへの思いを綴った手紙を届ける時間
前日の夜にお互いへの手紙を綴っていたふたり。プランナーの提案で撮影の合間に読むことになり、思いがあふれて彼女はホロリ。さらには撮影アイテムだと思っていたケーキにも入刀することに。スタッフみんなが、一緒に盛り上げて泣いてくれて、花婿花嫁になった特別感と祝福される喜びで胸いっぱいに。
フォトウエディングをやってみて
もともとはフォトウエディングには興味がなかったのですが、プランナーさん、フォトグラファーさん、ヘアメイクさんみんなが本当に、温かく盛り上げてくださって、感謝でいっぱいです。限られた人数だったからこそ、お互いへの思いも真っすぐ届けられました。仕上がった写真も本当に素晴らしくて、見るたびにこのときの気持ちがよみがえってきます。(吉田晃也さん、さくらさん)
タイムスケジュール
[前日]
18:00 宿にチェックイン
[当日]
8:00 お支度スタート
10:00 撮影スタート
12:30 撮影終了
(撮影後はピクニック)
※プロデュース/Wedding produce *Chayuka*
※撮影/act photography Tase
フォトウエディングについて知っておきたい4つのこと
[1] 撮影する場所は「どこ?」
フォトウエディングを行う場合、場所はスタジオか、スタジオ以外のロケーションから選ぶことになります。スタジオの場合はセットや小物、照明などが整った環境の中で、天候に左右されず撮影ができます。
また、ロケーション撮影では、スタジオを飛び出し、基本的にはどんな場所でも撮影が可能。最近は、海や森の中といった大自然や、街中での撮影も人気。ゆかりのあるお店など、バリエーションはますます増えているようです。
場所を選ぶ際のCHECK POINT
●スタジオ撮影の場合
スタジオの雰囲気やどんな設備が用意されているかとともに、どんな写真が撮影できるのか、バリエーションも事前に確認。
●ロケーション撮影の場合
撮影場所の許可が必要かどうか、ヘアメイクや着替えについてはどうするかといった、対応を確認。天候が崩れた場合の場所の検討も。
[2] 撮影時期は「いつ?」
スタジオ撮影は、それほど時期に左右されないけれど、ロケーション撮影は季節や天候を重視して選ぶ人が多いようです。人気シーズンは、「春」と「秋」。また、お気に入りの花の咲くシーズンや、思い出のイルミネーションの時期など、思い入れのあるタイミングを選ぶ人も。
スケジュールを考える際のCHECK POINT
●申し込みのタイミングに注意
空き状況のほか、申請が必要な場所なら許可にかかる日数を考慮する必要があります。物理的には1カ月前などでも可能だけれど、希望のシーズンやこだわりがある場合は、半年前、遅くても3カ月前くらいには問い合わせを。
●当日までの流れは?
打ち合わせはメールや電話での打ち合わせも兼ねながら1回でOKな場合も多いよう。撮影の内容によっては、3、4回とじっくり進めるケースも!
●納期も確認を
年賀状などで使用したい場合は、納期までどのくらいの期間がかかるかも確認しましょう。ちなみに、アルバムも依頼すると、数カ月かかる場合もあるようです。
[3]衣裳は「何を着る?」
どんな衣裳を何着着たいかも考えなければなりません。まずは洋装か和装か、どちらも着用したいか。それによって、撮影する場所も変わります。最近は、特にロケーション撮影においては、雰囲気や背景も大切にする傾向も強く、世界観に合わせて衣裳を選ぶという人もいるようです。
衣裳を選ぶ際のCHECK POINT
●衣裳か写真か、どちらを軸にする?
撮影するシチュエーションとの相性も考えて選ぶのがベスト。衣裳にこだわりのある人は、衣裳を軸に場所や撮影のテイストを考えるのもあり。また、場所やシチュエーション、写真の雰囲気にこだわりがある場合は、そこに合わせて衣裳を選ぶというのもあり。優先順位がどちらになるか、決めておきましょう。
[4]撮影にかかる費用は「いくら?」
フォトウエディングにかかる費用の相場は、着用する衣裳や着数、場所にもよりますが、10万~20万円くらいが多いよう。スタジオ撮影を選ぶかロケーション撮影を選ぶかによっても、金額は変わるので、条件を決めて、比較検討してみましょう。
予算を考える際のCHECK POINT
●プランに含まれている内容を確認
撮影料のほかに、衣裳やヘアメイクなどをパッケージ化しているケースが多いです。料金を比較検討する上では、プランに何が含まれていて、何を依頼すると追加料金がかかるかも要チェック。
From 編集部
撮影の時間そのものも宝物に
セレモニーを行ったり、家族や友人も参加したりするなど、お互いの思いを確認し合って、撮影そのものを満喫する実例をお届けしました。プランナーさんやフォトグラファーさんたちも「撮影をより思い出深いものにしたい」「おふたりのお気持ちを大切にした写真を残したい」と口々にお話ししていたのが印象的でした。写真はもちろん、撮影も楽しめるフォトウエディング、ぜひ検討してみてくださいね。
Shop list
Wedding produce *Chayuka*
URL:https://www.chayuka-w.com/
pureartis(ピュアアーティス株式会社)
URL:https://www.pureartis.com/
marrydesigns(マリーデザイン)
URL:https://www.marrydesigns9.com/
構成・文/小松ななえ イラスト/moeko
※掲載されている情報は2021年7月時点のものです
- 披露宴予定なし
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- 思い出の場所で撮影
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