シンプル＋ちょいデザイン。「小ワザ」の効いた結婚指輪

シンプルで素敵！と思う結婚指輪も、実は一つ一つきちんとデザインが施されています。ここでは、シンプルなリングをより魅力的にしてくれる加工技法（小ワザ）の、代表する５つをご紹介します。ジュエリーブランド「シンティランテ」のデザイナー・松下さんにも、プロの目から見た魅力を語っていただきました。

結婚指輪を魅力的にする小ワザ１：ミル打ち

ミル打ち＝ミルグレインとも呼ばれ、連なる小さな丸い粒の模様のことをいいます。ラテン語の「千の粒」が名前の由来になります。千の粒は「永遠」や「子宝」といった意味合いを持つとされ、ブライダルリングに多用されてきました。職人の手による加工が美しい技法の一つで、粒の大きさによってもニュアンスが異なり、粒が細かいほど繊細なイメージになります。ミル打ちは指輪の両縁に施されることが多いですが、斜めや中央、石の周囲に入れたりなど、バリエーションも豊かです。

結婚指輪を魅力的にする小ワザ２：マット加工

素材の表面を研磨して、ザラっとした手触りに仕上げる加工です。目が粗くザラっとした手触りだけど光沢が残るのが特徴の「ダイヤモンドポイント」。すりガラスのようなイメージで落ち着いた風合いが特徴の「梨地」。髪の毛のような極細のラインの傷を金属に施す、絶妙な光沢が特徴の「ヘアライン」などいくつかの種類があり、仕上がりの印象も変わってきます。

結婚指輪を魅力的にする小ワザ３：槌目（つちめ）加工

専用の金づちで金属の表面をたたいて、槌の模様を施す伝統的な技法です。多面的に凹凸をつけることで、手仕事の温かみを感じられるデザインです。たたき方や、円や四角などの模様によってもデザインが変わり、ブランドによっても技法が異なるので、デザインの種類は無限にあります。また、たたくことで金属が鍛えられ、耐久性の強い指輪になります。

結婚指輪を魅力的にする小ワザ４：杢目（もくめ）加工

江戸時代より続く伝統的な技法で、金属の色の違いを利用して杢目模様を作り出す加工技術です。一般的な技法としては、違う金属の板を重ねてねじり、たたいて伸ばすことによって杢目模様を生み出す方法がありますが、独自の技法を編み出しているブランドも多いようです。色の組み合わせや金属の配合によって模様が異なるので、いろいろなブランドを見てみるのがおすすめ。

結婚指輪を魅力的にする小ワザ５：スターダスト加工

マット加工の一種で、ダイヤモンドバイトと呼ばれる特殊な工具で金属の表面を細かくカットする技法です。細かな凹凸が、星くずのようにキラキラと輝くことからスターダスト（星くず）と呼ばれ、鏡面とは違った繊細な輝きが特徴。指輪全体に施したり、部分的に施したりと、加工の入れ方によって印象が変わります。

では、実際に小ワザが聞いた結婚指輪がどんなデザインなのかをご紹介します。一つ一つ、ていねいに作られている結婚指輪の魅力をチェックしてください。

Type1：両縁のミル打ちデザインがスタイリッシュ

「千の粒」という意味を持ち、幸せな時を積み重ねていくように、リングの両縁にていねいにミル打ちを施した結婚指輪。連なる粒が、シンプルな指輪にアクセントを加え、クラシックなデザインながらもスタイリッシュな雰囲気も感じさせます。女性用には、きらりと光る一粒ダイヤモンドをさりげなく添えて。

Type２：中央に配した繊細なドット模様が優美でモダン

「永遠の愛」の意味を持つデザイン。柔らかなカーブが美しいアームのセンターにクラシカルなミル打ちの装飾を施した結婚指輪。アームの中央にミル打ちを施すことで、シンプルなリングに優美さとモダンな印象を与えます。ミル打ちが中央のメレダイヤモンドも引き立てています。

Type３：ダイヤモンド＋ミル打ちがエレガント

リングの縁ではなく、ダイヤモンドの周囲にミル打ちを施したデザインが、まるで光がちりばめられたように輝いて見える結婚指輪。マットなアームとミル打ち＋ダイヤの埋め込み技法が、エレガントでモダンな手元を演出してくれます。

Type1：ダイヤモンドポイント加工で温かみ＆光沢感を

先端にダイヤの粒子が付いた専用の工具で金属の表面を研磨する、ダイヤモンドポイント加工で仕上げた、“旋律”を意味する結婚指輪。マットの質感の温かみと華やかな光沢感を併せ持ちます。弧を描くような美しい曲線と、表と内側の２つの異なる仕上げが美しいリングです。

Type２：表面の極細の線が指輪に優しさとニュアンスを与える

天と地をつなぐように、しとやかに降り注ぐ冬雨。その風情をデザインした結婚指輪。表面に施した絶妙な光沢感を出すヘアライン加工が、リングの表面にニュアンスを与え、やわらかな時雨の様子を表現している。対照的に配色された２本のリングを並べると、ふたりの強い絆を思わせる一直線のラインが浮かび上がります。

Type1：自然の美しさが感じられる鎚目リング

鎚の一打一打が大きく、計算された不規則性が美しさを引き立たせる結婚指輪。職人が金づちを一打ずつ正確に振り下ろし、ひと目ずつ的確な位置と深さに打ち込むことで、メリハリのある凹凸を生み出している。打ち込まれた角度が美しく光を反射し、強く鍛えられた素材は一生を共にするのにふさわしいリングとなります。

Type２：マット＆槌目のコンビネーションでナチュラルな印象

シンプルなアームに“槌目”模様の加工が施された、スタイリッシュな結婚指輪。不規則な槌目に、マット加工を施すことで、つやを抑えて、クールだけど優しい印象に仕上げています。表のマット感と内側の鏡面の仕上げの違いも楽しんで。

Type３：角度によって表情を変えるきらめく槌目模様

ストレートリングの表面に、凹凸のテクスチャーが特徴的な結婚指輪。有機的でやわらかな槌目の模様が、角度によって表情を変え、柔らかい面の変化が多彩な陰影を生み、豊かにきらめきます。中央に並ぶ３粒のダイヤモンドの輝きとアームのきらめきが重なり合い、華やかな印象にしてくれます。

Type１：大きく伸び広がる未来を木目模様に重ねて

“苗木”をイメージした結婚指輪。伝統的な技法で作られる「木目金」を使用。複数の金属を何層にも重ね合わせることで生まれる木目模様が魅力のシンプルなリングです。全て職人の手作業で作り出すため、同じ模様は一つとして生まれません。そんな自然な風合いのある木目模様の結婚指輪は “ふたりだけ”の特別な宝物になるはずです。

Type２：杢目で寄り添い共存していく人生を表現

３色のゴールドが交わり融合することによって生まれる芸術的なぼかし模様が美しい結婚指輪。３種類の色の異なる金を職人が型に流し込んだその瞬間に生まれる偶然の色の混ざり具合を模様にしているため、二度と同じ模様は作れない唯一無二のリング。シンプルな中にも個性を求めるふたりにおすすめ。

Type1：スターダスト加工のさりげないきらめきが華やか

水の女神『アーパス』の名を持つ結婚指輪。細身のストレートリングに施されたスターダスト加工は光を浴びて輝く水面を表現。メレダイヤがその輝きをより華麗に引き立てます。細身のアームはシンプルでありがなら、きらめく光を放つ、華やかさも併せ持つリングです。

Type２：スターダスト加工と鏡面加工のMIXがクール

星くずをちりばめたようなスターダスト仕上げと、つやっとした鏡面仕上げの絶妙なバランスとバゲットダイヤの輝きがシャープな印象の結婚指輪。リングの縁部分の鏡面仕上げが、スターダスト仕上げの光沢感を引き立てます。また、中央に配したバゲットカットのダイヤモンドが洗練された大人の印象を与えます。

Type３：程良いキラキラ感で和モダンを実現

シンプルなフォルムに和モダンの仕上げが美しい結婚指輪。キラキラと輝くスターダスト加工にプラスして、マット加工のダイヤモンドポイントを施し、あえてキラキラ感を抑えた仕上がりに。程良いきらめきの太めのアームにセッティングされたブラウンダイヤが美しく輝き、存在感を放ちます。

構成・文／富谷留美子　D/ロンディーネ
※文中の略語は以下の意味となります。W＝女性用、M＝男性用、Pt＝プラチナ、PG＝ピンクゴールド、YG＝イエローゴールド、WG＝ホワイトゴールド、GG＝グリーンゴールド、SV＝シルバー
※指輪の価格は2021年5月取材時のものです。価格はダイヤモンドの質や大きさ、指輪のサイズ、地金の相場によって変動することがあります。また、「※」印の価格は参考価格です。ダイヤモンドの質や大きさ、指輪のサイズ、地金の相場によって異なります
※掲載されている情報は2021年5月時点のものです

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