家計簿ズバリ診断[vol.14]愛知県・MHさんの場合「実家を建て替え二世帯住宅に」
結婚したら、夫婦でどのように協力して家計を管理していけるかが、未来の明暗を分けるカギ。そこでこの連載では、新婚カップルの「夢」と「リアル家計簿」から、ファイナンシャルプランナー(以下FP)の丸山晴美先生が一家の未来をズバリ診断。今の生活でふたりの夢はかなうのでしょうか。
「夫の退職後、実家を二世帯住宅に建て替えたい」
15年後、夫が定年退職したら、親と祖父母が住む実家を二世帯住宅に建て替えて暮らしたい……という愛知県・MHさんの家計簿を診断してもらいました。
相談者:愛知県・MHさん
夫が15年後に定年退職。その後は実家を建て替えて帰りたいと思っています。今は妊娠6カ月で3年後にはもう1人希望。おむつ代などの子育て費、習い事や学習塾などの教育費がどれくらいかかるのか不安だし、夫の定年が早いので老後も心配です。よろしくお願いいたします!
【MHさん家族のプロフィール】
・夫37歳(公務員)
・妻31歳(パート)※妊娠6カ月
・子どもは3年後の2024年にもう1人の計2人希望。
・夫は15年後に定年退職予定。
・妻のパートは在宅でできるので出産後2カ月くらいで復帰を検討中。
MHさんの平均的な月の家計簿がこちら!
【MHさんの夢と現実memo】※金額はすべて「約」
●将来の夢
・現在妊娠6カ月、子どもは3年後にもう1人希望
・学習塾、習い事は2つ3つやらせてあげたい
・夫が定年退職する15年後、実家をリフォームまたは建て替えて住みたい(現在築30年の木造2階建て。約60坪。父母と祖父母が居住)
●月収とボーナス(手取り)
夫:35万円、ボーナス年間150万円
妻:4万円
●年収(手取り)
夫:570万円
妻:48万円
●借入金・ローン
なし
●貯蓄総額(現在)
夫:普通預金240万円、定期預金345万円
妻:普通預金35万円、定期預金50万円
●貯蓄以外の金融資産(現在)
妻:株式32万円、投資信託13万円
●保険/月
3万6000円
●家計管理
生活費はすべて夫が負担。資産管理はそれぞれ
FP丸山先生が診断
MHさんの家計簿の採点結果は……
from 丸山先生
第1子がまだ中学生!
子どもを大学に入れるなら
費用は倍速で積み立てを!
やりくりは上手。通信費がやや高めというくらいで、次回の更新時に格安スマホにすれば抑えられるでしょう。
貯蓄が月16万6000円、保険も金額的に貯蓄性のあるものとして、月20万2000円。月収の半分以上を貯蓄できているので、このペースを崩さず、とにかく貯蓄を増やす努力を。
というのも、心配なのが、夫の定年退職まで先が短いこと。退職が15年後、あと4カ月で出産となると、第1子がまだ中学生のうちに退職を迎えます。再就職後、今以上の収入が見込めるかわからないところへ、子どもの教育費がのしかかってきます。
大学進学希望であれば、子どもが1人生まれたら月3万円ずつ18年間貯めていき、入学までに600万円用意するのが標準コース。MHさんの場合は、これを倍速で貯めていきます。
第1子は3万6000円ずつ14年間、第2子は4万5000円ずつ11年間などと調整し、夫の退職までに大学費用を貯めましょう。
from 丸山先生
住宅ローンは組めない可能性も?
二世帯住宅への建て替え費用は
ボーナスを充てれば捻出できる
子どもの進学費用を貯めると同時に、実家の建て替え費用も貯める必要があります。というのも、定年退職が目前だと、住宅ローンが組めない可能性が高いからです。
現在の実家の土地に二世帯住宅を建てるには、解体費用、親・祖父母の仮住まい費用、引っ越し代などを含め、4000万~5000万円はみておきたいもの。
夫の財形貯蓄に月10万円、ボーナス時50万円で年間170万円、さらにボーナス100万円をまるまる住宅用に回せると、年間270万円ずつ、つまり退職までの15年で4050万円、これで建て替え費用のほとんどを貯めることができそうですね。
あとは親がどれだけ負担してくれるかによっても資金計画は大きく変わってきます。早めに相談しましょう。
from 丸山先生
老後のお金も不安ですよね?
定年退職までの15年が勝負!
優先順位を考えながら節約を
MHさんもおっしゃるように、定年退職が早いとなると、やはり老後の不安があると思います。
退職までに子どもの進学費用、実家の建て替え費用をキャッシュで用意しつつ、老後の資金も貯めていく必要があります。
金利が高めの共済預金をメインに、株式、投資信託と資産運用もしているとのことなので、これを継続しつつ、夫はiDeCo(個人型確定拠出年金。掛け金が全額所得控除になるなど節税効果の高い個人年金制度)、妻は外貨預金などをプラスすれば、上手にリスク分散できると思います。
とにかく、夫の定年退職までの15年が勝負。子どもの教育費、二世帯住宅、老後の備え……優先順位をしっかりと見極めて、節約できるところは節約し、倍速で貯蓄を進めていきましょう。
診断を終えて
相談者さんからひと言
MHさんより
今までは、今後のことに対してただ漠然と「将来のためにとりあえず貯めておこう」という感じでしたが、先生がそれぞれの不安点、問題点を明確にして下さったので、「これからはこうしなくちゃいけないな」と新たな気付きがたくさんありました。先生のアドバイスを基にできる限り貯蓄・節約・資産運用をしていきたいと思います。
今回の結果を夫と話し合い、ふたりで頑張っていけるように努力します。ありがとうございました。
From 編集部
まずは子ども。将来のことはゆっくり話し合って
15年後の建て替えのこと、さらに先の老後のことと、考えるべきことはたくさんありますが、今はもうすぐ生まれてくる子どものことが大事。将来のことはゆっくり話し合いを重ねて、夢をかなえてくださいね!
丸山晴美 節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナー
旅行会社、コンビニ店長などを経て2001年節約アドバイザーとして独立。節約アドバイザー、ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー。食費はもちろん生活全般の節約術・ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどさまざまなメディアで活動中。
URL:http://www.maruyama-harumi.com/index.html
構成・文/前川ミチコ イラスト/Sachicafe 監修/丸山晴美
※掲載されている情報は2020年10月時点のものです
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