家計簿ズバリ診断[vol.5]東京都・Y.Aさんの場合「20年後にまた家を建てたい」
結婚したら、夫婦でどのように協力して家計を管理していけるかが、未来の明暗を分けるカギ。そこでこの連載では、新婚カップルの「夢」と「リアル家計簿」から、ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんが一家の未来をズバリ診断。今の生活でふたりの夢はかなうのでしょうか。
「昨年家を建てたけど20年後にまた建てたいんです」
もうすぐ出産で、あと1人希望。1年前に家を建てたけれど、20年でローンを完済してもう一度建てたい……という東京都のY.Aさんの家計簿を診断してもらいました。
相談者:東京都 Y.Aさん
31歳のとき35年ローンを組んで家を建てましたが、できれば20年くらいで完済し、また家を建てたいと思っています。もうすぐ出産予定。普段からあまりお金を使わないので(お肉はふるさと納税の返礼品、野菜は農業をしている彼の祖母からいただいて食費を抑えるなど工夫)、節約よりも運用・積み立てについて聞きたいです。よろしくお願いいたします!
【Y.Aさん家族のプロフィール】
・夫32歳(会社員)
・妻32歳(会社員)※妊娠6カ月
第2子を、2~3歳差で希望。
Y.Aさんの平均的な月の家計簿がこちら!
【Y.Aさんの夢と現実memo】
●将来の夢
・現在第1子妊娠中(6カ月)、2~3歳差で第2子希望
・31歳のときに35年ローンを組んで家を建てたが、20年くらいで完済し、また家を建てたい(夫の親に「家は3回建てないと思い通りにならない」と言われ、とても納得したので)
●月収(手取り)
夫:30万円、ボーナス100万円
妻:35万円、ボーナス160万円
※1年ほど産休・育休取得予定
●年収(手取り)
夫:500万円
妻:600万円
●借金
夫・妻:住宅ローン3500万円ずつ
●貯蓄/月
夫妻で:約30万円
●貯蓄総額(現在)
夫:普通預金200万円、投資口座(株、積み立て、運用など)240万円
妻:普通預金400万円、投資口座(株、積み立て、運用など)500万円、外貨預金200万円
●保険/月
夫:医療保険1万円、がん保険3万円
妻:医療保険1万円、がん保険2万円
●家計管理
基本的にすべて折半(個別の飲み会や洋服代などはそれぞれで)
FP丸山先生が診断
Y.Aさんの家計簿の採点結果は……
from 丸山先生
家計簿上は何の問題もなく
理想的に見えます。ただし!
20年後には教育資金もかかる!
ということを意識することが大事
家計簿上は、何の問題もないように見えます。保険が少し高めなのが気になりますが、収入も多く、無駄遣いらしき点も見当たらず、現状は理想的です。
このままいけば、20年後にまた家を、という夢もかなえられそうなのですが……少し怖いのが、これから第1子・第2子の育児に入っていくという段階で、夫婦で抱えている住宅ローンの負担の大きさ。
今の時点では住宅ローンを支払っても30万円の貯蓄ができているけれど、これから育児休暇もあり、かつお子さんの教育資金も貯めていく必要が。
20年後また家を、というときには、ちょうど第1子・第2子が大学に入って教育資金が一番かかる時期と重なる……それを認識して、今の住宅ローンの返済を早められるかどうかがカギとなります。
from 丸山先生
今の住宅ローンは
20年より早く完済する必要が!
資金づくりは
「教育」「住宅購入」「老後」の3本立てに
これから数年間、妻の収入は減り、食費や光熱費は増え、おむつ代などもかかるようになり、毎月の貯蓄額が減る一方、出費が増えていきます。
また、住宅ローンを20年で完済できたとしても、その頃には50歳を超え、次の家の住宅ローンを組むのは難しいかもしれません。今の土地で建て替えるにも、解体費や仮住まい費で数百万円かかります。今の家を売れば、土地代はそのときの資産価値分、取り戻せますが、建物の価値はほとんどなくなるのが一般的です。
つまり、20年後に次の家を建てるには、さらに数年前に完済しておく必要があります。
20年後にもう一度家をという夢をかなえるには、
1. 子どもの教育資金を貯めつつ
2. 次の住宅購入資金を貯めつつ
3. 自分たちの老後の資金を貯める
……この3本立てで考えていく必要があります。
from 丸山先生
優先順位をはっきりさせることがカギ!
毎年200万円の繰り上げ返済で
15年後の完済を目指して
具体的な返済プランとしては、子どもは中学校までは公立を大前提とし、毎年200万円の繰り上げ返済を目標としてみては。
15年後には月々の返済が20万円×15年で3600万円、繰り上げ返済で3000万円。このペースでいけば、47歳くらいで完済できる計算となります。
「節約より運用のアイデアを」とのことでしたが、それよりもとにかく、今のローンの繰り上げ返済を。運用するなら、iDeCoで老後の資金を貯めるのがおすすめ。資金を運用しつつ、所得税や住民税の負担を軽くできます。
この家の家計は、優先順位をはっきりさせることがカギ。子どもの成長の段階などで、教育、家、老後……何に重きを置くかを話し合っていけば、このまま理想的な家計を築いていくことができますよ。
診断を終えて
相談者さんからひと言
Y.Aさんより
実際に子どもを育てていくと優先順位も変わってくると思うので、都度主人と話し合っていく必要があるなと感じました。
あまり節約を心がけすぎると窮屈になるので、無駄使いはしないですが、たまには贅沢したりして家計をうまくやりくりしていきたいと思います。
アドバイスをありがとうございました。
From 編集部
優先順位をはっきりさせて
これからは子どものための出費、自分たちの老後のための備えなど、考えることがいっぱい。丸山先生のアドバイスを参考に、まずは毎年200万円の繰り上げ返済をがんばって、夢をかなえてくださいね!
丸山晴美 節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナー
旅行会社、コンビニ店長などを経て2001年節約アドバイザーとして独立。節約アドバイザー、ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー。食費はもちろん生活全般の節約術・ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどさまざまなメディアで活動中。
http://www.maruyama-harumi.com/index.html
構成・文/前川ミチコ イラスト/Sachicafe 監修/丸山晴美
※掲載されている情報は2020年5月時点のものです
※記事内のデータ・コメントは2019年12月に「ゼクシィ花嫁会」のメンバー44人が回答したアンケートを基にしたものです
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