【5分でわかる】国際結婚の手続きって?必要書類と流れをやさしく解説
外国人の彼との結婚が決まったばかり。「お互いの国の法律にのっとって正式に結婚するにはどんな手続きが必要なの?」と気になりはじめた花嫁さんへ。国際結婚の手続きの専門家・行政書士の先生のアドバイス付きで、必要書類と流れをわかりやすくお届けします!
今回教えてくれるのは……
自身も国際結婚の行政書士・オリ香先生
from オリ先生
国際結婚の手続きは、実は彼の国籍により難易度がバラバラです。また同じ国籍でも、婚姻届を提出する役所により必要書類が若干異なることも。そのためある程度定型はありますが、これ!と言えないのが現状。私たち専門家でも、受任したら必ず役所や大使館に確認するようにしているので、気になる点や不安点があれば、役所や大使館・領事館に確認を取るといいですね
オリ行政書士事務所代表。国際結婚の結婚手続きやビザの申請などを、出入国在留管理局申請取次行政書士として支援している。自身もネパール人の配偶者と国際結婚をして16年。
日本で「国際結婚をするのに必要な書類」は計3点
婚姻届やパスポート、婚姻要件具備証明書が必要に
「日本人同士の結婚と異なるため、用意する書類は通常の『婚姻届』の他、『パスポートとその日本語訳』『婚姻要件具備証明書とその日本語訳』と、かなりあります。また彼の国籍や提出する役所によっては、他にも必要な書類があることも。事前に確認しておきましょう」(オリ先生)
書類1.日本人と同じ用紙でOK!「婚姻届」
「婚姻届は、日本人と同じ用紙を使用します。外国人の彼の氏名や父母名は、アルファベットなどではなくカタカナ(または漢字)で記入します。彼の生年月日は西暦で、本籍欄は国名を記入します。氏の選択欄はチェック不要。最後の署名欄だけは、必ず彼が自筆で行いましょう。その他の部分は代筆しても構いません。また婚姻届に必要な証人2名は日本人でも、日本に住民票がある外国人でも構いません」(オリ先生)
書類2.外国人の方のみ必要「パスポート」
「『国籍証明』となる外国人の彼のパスポート。顔写真があるページのコピーとその『日本語訳』を提出します。また日本語訳には翻訳者の氏名、住所を文末に記入する必要があります。翻訳は自分たちで行っても大丈夫です」(オリ先生)
書類3.外国人の方の独身証明となる「婚姻要件具備証明書」
「彼が自分の国の法律で結婚できる(独身である/結婚年齢に達している)ことを証明する書面。日本にある彼の国の大使館・領事館に足を運び、発行してもらいます。しかしこの書類を発行しない大使館があり、その場合は代用となる書類として『宣誓書』や『本国で発行し、日本に取り寄せた出生証明書/独身証明書』などを用意します。また『申述書*』にその旨の記載が必要。外国語で発行されたときは、すべての書類に必ず日本語訳が必要になります」(オリ先生)
*申述書とは、婚姻要件具備証明書もしくはそれに代わる婚姻要件を満たしていることを証明する書類が、在日大使館・領事館から取得できない場合に、その具体的な理由と本国において婚姻要件を備えている旨を本人が書いて宣誓したもの
必要書類の準備は早めが◎!
公的書類は有効期限が決まっています。日本の書類は発行後3カ月以内、外国の書類は発行後6カ月以内。外国から書類を取り寄せる場合は、入手に時間がかかることがあるので早めに準備しておきましょう(オリ先生)
日本での「国際結婚の手続きや流れ」は必要書類を揃えて役所に提出して成立
手続きや流れとしては、
【STEP1】婚姻届を提出する役所に連絡し、彼の国籍を伝え「必要な書類」を確認。また婚姻届を入手
【STEP2】婚姻届を記入、パスポートの日本語訳を準備
【STEP3】「婚姻要件具備証明書」が発行される場合は、大使館に連絡をして、発行に必要な書類を確認。その後、大使館に足を運び発行してもらう。またその日本語訳も準備
【STEP4】書類をすべて整え、婚姻届とともに役所に提出して、婚姻成立!
「日本の役所に婚姻届と書類一式を提出すると、確認、問題がなければその場で受理してもらえます。その後戸籍が作られますが、これには数日掛かります」(オリ先生)
*「婚姻要件具備証明書」が発行されない場合は、本国の書類を取り寄せる必要があります。本国に住む彼の家族などに必要書類を伝え、取得、送付してもらいましょう。こちらの場合は日本語訳とともに申述書も必要
受理には審査が必要な場合も!
婚姻届を提出した際、役所で判断できないときや書類審査が必要な場合は、婚姻が「受理照会」となります。最終的な判断は役所ではなく法務省が行いますので、結果が出るまでしばらく待つことになります(オリ先生)
国際結婚の手続きに関するQ&A
~先生に聞いてみました!~
Q.提出はふたり揃ってする必要はある?
A.婚姻届を提出するときには、必ずふたりで行きましょう。外国人の彼は、パスポートにより本人確認を行います。日本人女性も本人確認がありますので、運転免許証や写真付きのマイナンバーカードなどを必ず持参しましょう。
Q.婚姻成立後の姓はどうなるの?
A.国際結婚の場合、婚姻が成立しても互いの姓はそのままで変更にはなりません。夫の姓に変更したい場合は婚姻届と同時、または婚姻成立から6カ月以内に「氏の変更届」の提出を。婚姻届提出後6カ月を過ぎての変更や、混合姓を名乗りたい場合は家庭裁判所に出向く必要があります。
Q.戸籍はどうなる?
A.新しく作られる女性の戸籍の婚姻欄に、彼の名前や婚姻日が記載されます。彼の国籍は変わらないので、彼自身の戸籍ができることはありません。
Q.婚姻届は両国に出す必要があるの?
A.日本での結婚手続きを先に行った場合、中国、アメリカ、ロシアなどの国では改めて結婚手続きを行う必要はありません。その他の国では日本で結婚をしても自国の政府に後からきちんと結婚を届け出なければなりません。国によって異なるので、事前に大使館・領事館に確認しておきましょう。
【+アドバイス】結婚して日本に住むための在留資格「結婚ビザ」は別申請に
「結婚が成立したからといって、自動的に彼が日本に住めるわけではありません。彼とこのまま日本に住む場合は、『日本人の配偶者等』という在留資格(通称結婚ビザ)に変更するのが一般的です。これは、ふたりが居住している地域の出入国在留管理局に書類を提出し申請しますが、現在偽装結婚などを防ぐために審査が非常に厳しくなっています。ふたりの愛が確実に育まれてきたことを証明するために、どのようにして出会い、交際を続け、結婚したのかを詳細に記入する必要があります。丁寧に、慎重に行いましょう」(オリ先生)
【+アドバイス】「結婚ビザ」取得のために、今から心掛けてほしいこと
「彼とデートや旅行した時、彼の親にあいさつに行った時、友人に結婚を伝えた時、婚姻届を提出する時などは、必ずふたりや親、友人といっしょの写真を撮っておきましょう。彼との交際を証明する大切な資料になります。また彼が海外にいる場合などは、SNSでのやり取りなども提出することがあります。写真やデータをなくさないように、きちんと保管しておきましょう。またささやかでも結婚式や披露宴を行うことは、ふたりの真摯な結婚を立証することに繋がりますよ」(オリ先生)
【実例】国際結婚カップルの「婚姻届の手続き」事情
ふたりの「婚姻届の手続き」はどうでしたか?
実際に国際結婚をした花嫁に、ふたりの婚姻届の手続き時のエピソードを聞いてみました。リアル卒花さんのコメント&アドバイス、ぜひ参考に!
オーストラリア×日本カップル・がりみさんの場合……
花嫁VOICE
手続きは、ふたりの居住国の日本から先に。オーストラリア側では、各種書類の英訳が必要で思ったより費用がかさみました。手続きにあたっては事前に周囲の外国籍の人と結婚された方にヒアリングし、戸籍やビザはどうするのか、どちらの国が先かなどについて確認。悩むポイントはたくさんありますが、今後の生活を見据えてさまざまな人にアドバイスをもらい、ふたりにもっとも合う進め方を選ぶとよいかと思います(がりみさん)
韓国×日本カップル・ひろみんさんの場合……
花嫁VOICE
韓国人の彼が日本企業勤務なので日本から先に手続きを。区役所で婚姻届が無事受理された後、日本にある韓国領事館で手続きをしようとしたら、書類に不備があり再提出に。列に何度も並び直して教えてもらいました。役所や領事館のサイトに手続き方法が丁寧に書かれているので、事前にしっかり調べることをおすすめします。ふたりで有給を取って提出したことは今でも心に残るいい思い出です(ひろみんさん)
イタリア×日本カップル・Akariさんの場合……
花嫁VOICE
居住地の金沢ではなく、地元の名古屋で提出することに。イタリア側の手続きで東京のイタリア大使館に電話をしたら、外務省でアポスティーユ(公印確認)の手続き→翌日、発行書類を大使館へという手順が必要だとわかり、1泊2日で東京へ。2日間でうまくいくかヒヤヒヤしましたが、名古屋での婚姻届受理証明書の受け取りを親に頼み、東京の宿泊先に送ってもらい無事手続きできて達成感がありました(Akariさん)
【最後に】国際結婚予定の花嫁さんへ from オリ先生
「外国人の彼と国際結婚をするための手続きは大変ですが、一つ一つの過程がふたりを結びつける絆だと思って頑張りましょう。彼や彼の国の制度をよく知る、とてもいい機会です。また国際結婚の手続きでどうしても行き詰ってしまったときや、結婚ビザの申請で困難が予想されるときなどは、専門家の手を借りることもできますよ!」
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From 編集部
早めに準備を整えて、スムーズな手続き、国際結婚のスタートを!
日本人同士の結婚の手続きより複雑そうだけど、事前に大まかな必要書類や流れをつかみ、役所や彼の国の大使館・領事館、専門家などから情報を集めておけば心に余裕ができます。わからないことを一つずつ乗り越えることで、国境を越えて愛を実らせる喜びが増すはず。ぜひ楽しみながら準備して!
取材・文/笠原恭子 イラスト/徳丸ゆう 取材協力/オリ行政書士事務所(https://kokusaikekkon-renai-shien.com TEL:080-5025-5021) 構成/松隈草子(編集部)
※記事内のコメントは2019年8 月に実施した「ゼクシィ花嫁1000人委員会」のメンバー31人が回答したアンケートによるものです
※掲載されている情報は2019年10月時点のものです(2024年5月21日更新)
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