【連載】立原綾乃のOne&Onlyウエディングvol.5「ずっと引き継がれていくもの」
結婚式には大切にしたいことがいろいろあります。「テーマを決めること」もその一つ。テーマといっても色や形といった目に見えるものだけでなく、「想いの込め方」が鍵なのです。
今回は、立原綾乃さんが手掛けた素敵なウエディングの中から、古き良きものにこだわり、「ずっと変わらない想い」をゲストと分かち合ったカップルの実例をご紹介します。
ビンテージや、外国の貴族のような結婚式に憧れていた花嫁
まだ彼と出会うずっと前から、結婚式への憧れを強く胸に抱いていた花嫁のYukikoさん。「どうしてもここで挙げたい」という場所へのこだわりや、ビンテージに興味をお持ちだったこと、「ずっと引き継がれていくものを大事にしたい」という想いを受けて、私もふたりの結婚式のイメージを徐々に膨らませていきました。
今回のカップル「Akiraさん&Yukikoさん」
学生時代のテニスサークルがふたりの出会い。大切な人たちに囲まれながら爽やかな夏の軽井沢で結婚式を挙げました。
【会場】ルゼ・ヴィラ(軽井沢)
http://www.villa-ruze.jp/
豊かなロケーションを生かした空間づくり
AkiraさんとYukikoさんが選んだ「ルゼ・ヴィラ」は、アンティークの薫り漂うラグジュアリーホテル。季節の花々や緑に彩られたガーデンも心を落ち着かせてくれます。まずは大事なゲストがゆったりとくつろげるような空間づくりを考えました。皆さんが周囲に気を使うことなくのびのびと過ごせるよう、会場はすべて貸し切りに。せっかく素敵なロケーションですから、挙式もパーティもガーデンで行うことにしました。
ガーデンに作られたパーティスペースは、新郎新婦とゲスト全員で一つのテーブルを囲めるようレイアウト
ワンポイントadvice「屋内外の敷居をなくすと行動の幅が広がる」
式当日はおふたりだけの貸し切りでしたから、ガーデンをメイン会場として使いましたが、お開きの前には一旦室内へ。みんなが部屋に集まり、仲良く肩を寄せ合える時間をあえて設けました。屋内と屋外を自由に行ったり来たりできると、ゲストも思い思いの場所でくつろげるので、行動の幅も広がり、楽しんでいただけると思います。
「ずっと引き継がれていくもの」をアイテムとして取り入れる
AkiraさんとYukikoさんが思い描く結婚式のイメージは「古き良き時代の外国ウエディング」。ビンテージだけど決して古ぼけて暗い感じではない、そんな上品なアイテムをいくつか取り入れることにしました。ドレスやハットはアンティークショップを回って見つけたもの。さらにYukikoさんがおばあさまやお母さまから譲り受けたアクセサリーも身に着けて、「ずっと引き継がれていくものを大切に思う気持ち」を込めました。
【1枚目】イメージは外国の貴婦人。ビンテージドレスにハットを合わせて
【2枚目】譲り受けた「サムシング・オールド」のイヤリング
【3枚目】クラシカルなフォトフレームにセピア色の写真を
ワンポイントadvice「写真をビンテージに見せるコツ」
コンセプトに合わせて会場に飾る写真にも一工夫。ビンテージ調のおしゃれなフォトフレームを用意するだけでも十分素敵ですが、さらにおしゃれに仕上げたいなら、写真をモノクロやセピア色に加工するだけでグッと雰囲気が出ます。
「ずっと引き継がれていくもの」を演出として取り入れる
ずっと引き継がれていくものはビンテージアイテムだけとは限りません。家族との大切な思い出もその一つ。ふたりの挙式シーンでは、Yukikoさんのお姉さんと妹さんがバイオリンで思い出の曲、パッヘルベルの『カノン』を奏でてくれました。親御さんはきっと感慨深いものがあったでしょう。もちろん花嫁のご家族だけでなく、そこに集まったすべてのゲストの胸にジーンと響いたことと思います。
【1枚目】挙式中、家族の思い出の曲を演奏する花嫁の姉妹
【2枚目】お父さんと腕を組み、緑に囲まれたガーデンを進むYukikoさん
【3枚目】ふたりのヒストリーを年表にしてゲストにプレゼント
ワンポイントadvice「ふたりのヒストリーをプロフィール表で紹介」
もう一つ、ふたりの生い立ちとなれそめをプロフィール表にして、ゲスト一人一人にお渡ししました。家族に愛されて育ってきたことや、大事な人たちとの出会い、そしてふたりが築いていく未来……。そうやって引き継がれていく時間の尊さを皆さんにも感じてもらえたと思います。
「引き継がれるもの」をゲストとも分かち合う
ゲストに今までの感謝と「これから先もずっと親しくお付き合いをしてください」という変わらない想いを伝えることも、結婚式の大きなテーマ。仲の良い学生時代のご友人たちにブライズメイドをお願いしたり、ゲスト一人一人の似顔絵をプロのイラストレーターに描いてもらったりと、そこに集まった皆さんとの思い出までもが引き継がれていく、そんな豊かな時間を過ごしてもらいました。
【1枚目】ブライズメイドは花嫁の大学時代の友人たちが務めてくれた。おそろいのピンクのドレスが素敵
【2枚目】ゲストからふたりへ贈る愛の「アドバイスカード」
【3枚目】プロのイラストレーターにお願いし、パーティ中、ゲストの似顔絵を描いてもらった
ワンポイントadvice「ゲストから渡すアドバイスカードはいかが?」
「こんな夫婦になってください」「家族からふたりへ」など、ゲストから新郎新婦への想いを伝える「アドバイスカード」。よくあるふたりからゲストへ宛てたメッセージカードの逆バージョンですね。ずっと手元に残しておきたい素敵な宝物になるはずです。
From 編集部
From綾乃「ふたりの想いを感じてもらう、それが一番大切なこと」
今回のように目に見えるテーマがある場合、あえてゲストにアナウンスする必要はないように思います。「こうしたい」というふたりの想いが明確なら、それは結婚式という流れの中に自然と取り込まれていくので、言葉にしなくてもゲストに必ず伝わります。大事なのは「感じてもらうこと」。そうすることでお互いへの想いや絆が一層深まるのではないでしょうか。
立原綾乃 TRUEwedding代表/ディレクター
「結婚式という時間そのものをデザインする」という新しい発想で、日本のウエディングデザイナー第一人者として活動。特定の会場を持たず軽井沢・ハワイに特化した1日1組のオーダーメイドウエディングプロデュース「TRUEwedding」を手掛ける。
相手の想いを形にする抜群のセンスと彼女にしかつくれない温かな時間は、ウエディングにとどまらず、ライフスタイルにおいても多くの女性から人気を集めている。
TRUEwedding TEL03-6450-6363(11:00~19:00)
http://truewedding.jp/
企画・監修・写真提供/立原綾乃 構成・文/南 慈子
※掲載されている情報は2017年2月時点のものです
- 結婚準備全体