「薬指にエシカルジュエリーを」Stylist 石井なお子[おしゃれで優しいエシカル]Vol.3
“おしゃれ”な中に、さりげない“優しさ”がそっと残る。そんな、肩肘張らずに取り入れられるエシカルウエディングのアイデアを、スタイリスト・石井なお子がお届けします。今回はまず、マリッジリングにおすすめしたいエシカルジュエリーをご紹介。女性ゲストや親へのギフトにもぴったりの、エシカルなアクセサリーも必見です!
“モールス信号”がモチーフのエシカルマリッジ
モールス信号って、ご存じですか? 点(短点)と線(長点)を組み合わせて作った符号なのですが、このたった2つのシグナルを音や光で表すことで相手にメッセージを伝えられるという、通信手段の一つです。
点と線が混ざり合って初めて意味を成すモールス信号に“互いに欠かせない存在”であるという思いを託したペアリング。ふたりの誓いの証しとなるマリッジリングにぜひ。
一方は水玉風のドット柄、もう一方はストライプ柄で、メレダイヤはありかなしの選択が可能。採掘や生産の過程で紛争などがなく、産地の特定ができるエシカルなゴールドが使われています。
モールス信号ペアリング(18K)12万円~/ramunecafe
Naoko’s eye
一つ一つはシンプルなドット(点)とストライプ(線)なのに、2つが揃うとより絆が深まるようで、素敵ですよね。マリッジリングにふたりだけの暗号のような、秘かなストーリーを忍ばせたい。そんなカップルにもおすすめです。
トレンドのブローチは親や女性ゲストへ
服に付けることはもちろん、帽子やバッグにチャーム風に添えたり、ストールを留めるなど、用途も幅広いブローチは今、ファッションのトレンドとしても注目を集めています。年齢層も問わずに身に着けられるブローチは、親世代のゲストにも喜ばれることでしょう。
ブライズメイドの友人たちにお揃いで身に着けてもらうのもグッドアイデア。ブローチの素材となる真鍮(しんちゅう)は、カンボジアの内戦で使われていた銃弾の薬莢(やっきょう)を溶かし、アップサイクルしたものです。
エシカルブローチ各5000円~/ramunecafe
Naoko’s eye
ウエディングのギフトとして選ぶなら「思いの輪や、幸せの輪がつながりますように……」そんな願いも込めた“輪”をモチーフにしたデザインも、いいですね。
ドレスをまとった花嫁の胸元にさりげないアクセントを
ここ最近、ドレス姿でも気負わず飾り過ぎず、自分らしいおしゃれを楽しみたいと望む花嫁が増えてきました。私がドレスのスタイリングをするときも、どこかに“抜け感”のある引き算のコーディネートを心掛けていますが、その大事な一つがアクセサリー。
中でも胸元は、顔周りの印象を決定付け、ゲストの目にも留まりやすいため、花嫁のセンスの見せどころです。
写真左:一筆書きの星は、スタートとゴールが重なることから、願いが叶うという意味を持つともいわれています。星に願いをペンダント(チェーン10K、トップ10K&ロジウムコーティング)
写真中:花が咲いたような立体的なデザインは、ドレスとも好相性。ソーサーペンダント(チェーン、トップ共に10K)
写真右:実物のコーヒー豆よりも小ぶりなので、きゃしゃで上品。コーヒー豆ペンダント(チェーン10K、トップ10K&ロジウムコーティング)
チェーンはいずれも品質が確かな100%国内生産のものを使用しています。ペンダント各1万9800円/全てramunecafe
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例えば、ナチュラルな質感のドレスに普段遣いができそうなさりげないネックレスを合わせてみたり。デザイン自体はシンプルでも、願いや思いを込められるアクセサリーだったら、それだけであなたの特別な一つになるはず。結婚式で身に着ければ、お守りみたいにリラックスできるかもしれませんね。
「ramunecafe」のデザイナー・田中千鶴さんに聞きました!
「エシカルジュエリー」って、どんなもの?
今回紹介したジュエリーやアクセサリーのブランド「ramunecafe(ラムネカフェ)」を立ち上げたディレクター兼デザイナーの田中千鶴さんに、エシカルジュエリーについてのお話を伺いました。
石井なお子(以下、石井)「まずはエシカルジュエリーとはどういうものか、教えていただけますか?」
田中千鶴さん(以下、田中)「人や社会、自然環境に配慮をして作られるジュエリーのことで、紛争や不当な児童労働が存在していない素材を使うなど“材料”を追求して配慮されることが多いです」
石井「ブローチに使われている素材が薬莢だったとは、驚きました。捨てられるはずのものを価値があるものに生まれ変わらせるという“アップサイクル”の仕組みを、まさに象徴していますよね」
田中「そうなんです。内戦からもう何十年もたつのに、カンボジアにはいまだに薬莢が落ちているんです。また、地雷の問題も深刻で、何か関われたらと思っています。例えば、地雷で脚を失った方にジュエリー製作の職業訓練の機会を提供し、将来的には雇い、お給料をあげられたらとか、できることはいろいろあるのではないかと考えています」
“1ブローチ、1ミール”でいいことをもっと身近なものに
石井「田中さんは、カンボジアの孤児院でアクセサリーの作り方を教える活動もされていますよね」
田中「はい。高校生になった子どもたちへ、手に職をつけるための指導をしながらエシカルブローチを作製しています。将来的には『一つのブローチで、孤児院の子どもたちに1食』をコンセプトに、購入してくれた方へは何らかの形で子どもたちからの“ありがとう”の声をダイレクトに届けたいと考えています」
石井「大賛成です! 決して大げさではないけれど“ちょっといいこと”は、より具体的に気持ちが通じ合うことで、ぐっと身近に感じられると思います」
ずっと身に着けるものだからこそ結婚指輪にエシカルという選択を
田中「エシカルなジュエリーやアクセサリーは、もっと身近であってほしい、より多くの方に着けてもらいたいと日々願いながら作っています。エシカルは活動からではなく、おしゃれから入っていいと思うし、敷居が高くては逆に意味がないなって」
石井「そうそう! ストーリーや活動に興味がある人は自分で知識を深めればいいと、私も思います。身に着けるだけで世界にHappyが広がるなど、身近なことで社会に貢献できるのは自分にとっても幸せですよね」
結婚式の誓いのリングにエシカルジュエリーという選択。目にするたびに、優しさや大事な気持ちを、ほんの少しでも感じてくれたらうれしいです。
What is Ethical Wedding?
“エシカル(Ethical)”とは人や社会、自然環境などに配慮した消費活動のこと。「人に優しい、地球や環境に優しい、地域に優しい、ことやものを選んで取り入れる」という発想から生まれた結婚式の新たなスタイルが“エシカルウエディング”です。結婚式というHappyな消費をきっかけに、大切なゲストとはもちろん、世の中ともちょっぴり幸せをシェアする。そんな思いは、ふたりの未来の幸せへときっとつながるはずです。
石井なお子 スタイリスト
ウエディングをはじめ、ファッションやインテリアなど幅広いジャンルで活躍。「JUSTIN DAVIS BRIDAL」のイメージビジュアルのほか、全国のホテル・ゲストハウスの広告撮影などでもスタイリングを手掛け、一歩先を行く提案力の高さで信頼を集めている。
また、1999年にはセレクトショップ「naughty」をオープン。自身のブランド「Pollin」に続き、2013年にはファッション×ウエディングの新しい可能性を追求したドレスブランド「Mariee Pollin」を立ち上げる。
近年は社会貢献をファッションと絡めて発信していく新たな取り組みに力を注ぐため「THINKS」をスタート。
http://www.thinksthinks.com
Shop list
ramunecafe
http://ramunecafe.jp
スタイリング・撮影ディレクション/石井なお子 撮影/角田明子 構成・文/大平美和
※掲載されている情報と商品の取り扱いおよび価格は2016年9月時点のものです
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