「“エシカルウエディング”って知っていますか?」Stylist.石井なお子[おしゃれで優しいエシカル]Vol.1
『ゼクシィ』シリーズをはじめ、ウエディングのコーディネートで大活躍の人気スタイリスト・石井なお子が提案する“エシカルウエディング”の新連載がスタート! 初回はごあいさつを兼ねて“エシカル”という言葉の持つ意味を、自身の思いを交えながらご紹介。あなたの結婚式がぐっとおしゃれで優しくなる、素敵なヒントがいっぱいです。
そもそも“エシカル”って、どういうこと?
初めまして! スタイリストの石井なお子です。皆さんは“エシカル(Ethical)”という言葉を聞いたことがありますか? 直訳すると「道徳的な」「倫理的な」という意味なのですが、近頃は人や社会、自然環境などに配慮した消費活動のことを総じて「エシカル」と呼んでいます。
「せっかく選ぶのなら、社会にとっていいものを」という考え方でもあり、エシカルファッション、エシカルコスメなどがその代表。でも、なんだか堅苦しそうでピンとこない? もっとかみ砕いて言えば「人に優しい、地球や環境に優しい、地域に優しい、ことやものを選ぶこと」。それなら、エシカルって、ちょっといいかも!と思えてきますよね? 実は私自身がそんなふうに教わってきたのです。
私がエシカルと出合ったきっかけは「母」でした
私がエシカルに興味を持ち始めたきっかけは、母でした。例えば、家の電気がつけっ放しになっていると、母は「たくさんの発電所を動かさなくちゃいけなくなるわね」と片っ端から消して回ったり……。何かにつけて、単なるムダやもったいない、だけではなく、そこにもっと深い配慮があることを、さりげなく気付かせてくれました。今思えば、子どものころから当たり前だと思っていた母の教えが、エシカルそのものだったんですよね。
Naoko’s photo
無理をせずいつも等身大だった母。誰かや何かのためになることは身近なところにたくさんあるという母の教えが、自分の子どもたちにも伝わっていればいいな、と切に願います。
エシカルは幸せの“連鎖”です
また、母には知らず知らずのうちに「本当に良いものを見極める力」も教わっていた気がします。選ぶときも、丁寧に作られたもの、作り手の思いが込められているものを好んでいました。そんな母が大事にしていたのが職人さんの手仕事が光る山ブドウやアケビのつるを編んだ籠バッグだったのです。
母が使っていたころは知らなかったものの、古くから山ブドウ細工は母娘3代、100年といわれるほど、とても丈夫。使うほどに美しくつやが増す、まさに一生物です。当然のように普段遣いをしていたので、当時は高価で希少なものだとは気付きませんでしたが、これが母の唯一の贅沢だったんだな、と思います。
作り手や環境に対する敬意や感謝の気持ちを、いつだって忘れなかった母。こんなにも豊かで温かく、幸せがつながっていく考え方があったのだと、自分が親になってつくづく気付かされました。
Naoko’s photo
母が長年愛用していた山ブドウとアケビのつるを編んだ籠バッグ。大好きだったクチナシの花と共に大切に育てています。母から学んだ、思いはつながり広がっていくという価値観と一緒に、いずれ娘へと受け継いでいけたら幸せです。
きっかけはおしゃれ。そこにさりげなく優しさをプラスするという考えもアリ
おしゃれから入る“エシカル”だって、いいのです。私自身も友人に頂いて以来、愛飲しているワインがあるのですが、開けたらまずラベルの素敵さに、きゅん! 飲んでみたらおいしくてさらにテンションが上がり、よく見たら実は安全性のあるオーガニックだと分かって大感激。喜びは3倍になりました。
私の身の回りに、ささやかだけれど掛け替えのない、何かに優しいことやものが溢れていたように、ちょっといいことはあなたの身近にもたくさんあります。エシカルは、まさにそう! 社会のために、が前提ではなく“おしゃれ”から入ったっていい!と私は思います。例えばギフト。おしゃれで質の良いものだったら、開けた瞬間から本当にうれしいですよね。そこに優しいストーリーが潜んでいたら、選んでくれた人の思いに、心まで温かくなるはずです。
幸せをシェアできる、エシカルウエディングへようこそ!
ウエディングだって、そう。決して難しく考える必要はないんです。家族や友人、大切な人たちへ、あらためてたくさんの感謝や愛を届けたいと思う結婚式で、丁寧に選んだギフトやアイテムが“それを選んだ自分の幸せ、それを贈った大切な人の幸せ、さらにそれを作った人の幸せ”へと広がっていけば、もっともっとHappy!
結婚式というHappyな消費を通して、世の中とも幸せをシェアする。それってとっても素敵なこと。きっかけは「おしゃれ」でもさりげない「優しさ」がそっと残るような、肩肘張らずに取り入れられるエシカルウエディングのアイデアを、これからどんどん提案していきますので、お楽しみに!
石井なお子 スタイリスト
ウエディングはもちろん、ファッションやインテリアなど幅広いジャンルで活躍するスタイリスト。「JUSTIN DAVIS BRIDAL」のイメージビジュアルのほか、全国のホテル・ゲストハウスの広告撮影等でもスタイリングを手掛け、一歩先を行く提案力で信頼を集めている。また、1999年に東京・恵比寿にセレクトショップ「naughty」をオープンし、自身のブランド「Pollin」を発表。2013年にはファッション×ウエディングの新しい可能性を追求したドレスブランド「Mariee Pollin」を立ち上げ、話題に。近年は社会貢献をファッションと絡めて発信していく新たな取り組みに力を注ぐため「THINKS」をスタート。
スタイリング・撮影ディレクション/石井なお子 撮影/角田明子 構成・文/大平美和
※掲載されている情報と商品の取り扱いおよび価格は2016年8月時点のものです
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