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結婚式の【主賓あいさつ】
Wedding Manual

そのまま使える文例付き!結婚式の【主賓あいさつ】完全マニュアル

主賓あいさつは、新郎新婦を「とことん褒める」のが鉄則。もちろん美辞麗句だけを並べた言葉だと白々しく感じさせてしまうので、きちんとエピソードを交えて語ることが大切。短すぎず、長すぎず、ふたりやゲストの心に残るスピーチを心掛けましょう。

#01|そもそも、主賓とは

ゲストの代表としてスピーチを行う
結婚式の主たる招待客のこと

主賓とは、その言葉の通り「主たる招待客」のことで、ゲストの代表として新郎新婦にお祝いのスピーチを行う大事な役割を担っています。職場で言えば取締役や部長クラスなど、職位が高い人がお願いされるケースが多く、両家1名ずつ立てるのが一般的です。
主賓からの祝福の言葉一つで披露宴にグッと深みが増すこともあるので、頼まれたらぜひ快く引き受けてください。

#02|主賓あいさつの基本構成
&長さの目安

ふたりの人となりなどを紹介しながら
5分程度にまとめましょう

主賓あいさつイメージ

主賓スピーチ(祝辞)の基本構成

1.あいさつ(目安/30秒)

ふたりへの祝福の言葉からスタート。

文例:
「○○君(新郎)、△△さん(新婦)、このたびはご結婚おめでとうございます。両家のご家族やご親族の皆さまにも、心よりお喜び申し上げます」

2.自己紹介(目安/30秒)

新郎(または新婦)との間柄などを簡潔に述べる。

文例:
「私、ただ今ご紹介にあずかりました、△△さんの勤務先の上司の●●と申します。
はなはだ僭越(せんえつ)ではございますが、ひと言ごあいさつさせていただきます」

3.エピソードを交えた新郎新婦の紹介(目安/2分半)

ふたりの人柄や長所が伝わる話を、具体的なエピソードを交えて。

文例:
「△△さんが入社し、総務部へ配属になったのは今から5年前のことでございます。
その頃より細やかな気配りに定評があり、さまざまな部署から絶大な信頼を得ておりました。(具体的なエピソードを交えながら、新婦の人柄を語る)」

4.はなむけの言葉(目安/1分半)

「人生の先輩ならでは」の言葉で、ふたりにエールを贈って締めくくる。

文例:
「これから、仕事と家庭の両立に悩むことがあるかもしれませんが、何事にも前向きな△△さんならきっと大丈夫。私たちも精いっぱいサポートさせていただきます。
長くなりましたが、おふたりの輝かしい未来をお祈りしまして、お祝いのあいさつとさせていただきます。末永くお幸せに」

#03|主賓あいさつで気を付けること
&忌み言葉

お祝いの場に
ふさわしい内容であることが大前提
忌み言葉が含まれていないかもチェック

主賓あいさつイメージ

スピーチのタブー「こんな内容になっていませんか?」

タブー1 誰かを傷つけたりおとしめる内容になっていませんか?

立場上、入社後の新郎・新婦の成長物語をスピーチに盛り込むことも多いと思いますが、控えたいのが最初はこんなにダメ社員だった!」というようなぶしつけトーク。「親の顔が見たいと思った」なんて口走ってしまうと、親御さんも複雑な気持ちに。話を面白くするための毒舌は不要です。

タブー2 新郎・新婦の失敗談や短所に触れる内容ではありませんか?

例えば「引っ込み思案で営業職には正直向いていない○○君」と言うと角が立ちますが、「思慮深く、控えめな性格で信頼が厚い○○君」と言い換えると、新郎の長所をアピールする言葉に早変わり! あくまでも新郎新婦を褒めることを前提に、スピーチ原稿を考えましょう。

タブー3 自分自身や職場の自慢話が中心になっていませんか?

祝辞を贈る相手が部下の場合、どうしても職場の話が中心になってしまいがちです。ただしここはあくまでも新郎新婦を祝う場。会社自慢や自らの手柄話に終始しないよう、気を付けましょう。

タブー4 高圧的な内容や言葉遣いではありませんか?

上司だからと言って命令口調や高圧的な物言いは避けたいところ。普段のノリで名字を呼び捨てにするのもやめましょう。本人だけでなく、親御さんや親族などふたりの大切な人たちがその場にいることをお忘れなく。

結婚式でタブーとされる“忌み言葉”

おめでたい結婚式では、縁起が悪い「忌み言葉」を避けるのが常識です。
うっかりスピーチで使わないよう気を付けつつ、原稿を作成しましょう。

Caution! 再婚を連想させる言葉

【重ね言葉】重ね重ね/重々/次々/たびたび/しばしば/くれぐれも
【再婚を連想】繰り返し/再び/戻る

Caution! 不幸を連想させる言葉

苦しい、悲しい、忘れる、負ける、衰える、色あせる、病気、亡くなる、涙、泣く、滅びる、しめやかに、悪い

Caution! 夫婦の別れを連想させる言葉

別れる、離れる、終わる、切れる、割れる、破れる、壊れる、捨てる、去る、消える、なくす、流れる、ほどける

#04|事前に確認しておくことは?

名前の読み方や「話してほしくないこと」を本人に確認しておきましょう

確認ポイント1 新郎新婦の名前や会社名、所属部署などの基本情報を確認する

スピーチに盛り込むなら絶対に間違えてはいけないところ。入念に確認した上で臨みましょう。
中でも名前の読み方については、周囲に聞いて済ませずに必ず本人に確認しましょう。

確認ポイント2 「話してほしくないこと」を確認する

どんな立場でどんな話をしてほしいのかを、依頼されたときに聞いておくと安心です。
その際、スピーチに盛り込んでほしい内容だけでなく、触れられたくない話の有無なども尋ねましょう。

確認ポイント3 お相手の情報を資料としてもらっておく

主賓あいさつでは、部下である新郎(または新婦)だけでなく、お相手についても軽く触れるのが普通です。名前や勤め先、出会いのきっかけなどの基本情報は、文字にしてもらっておきましょう。

#05|いざ本番、スピーチのポイント

話の間(ま)と緩急を意識しながら
心に響くスピーチを心掛けましょう

主賓スピーチイメージ

主賓スピーチに求められるものは「深み」です。文面だけでなく、みんなが思わず聞き入ってしまうようなスピーチを心掛けましょう。

Point1 話す姿勢は?

姿勢を正して話しましょう。背筋を伸ばすと堂々と見え、声も出しやすくなります。

Point2 視線はどこに?

同じ職場の人たちのテーブルだけでなく、会場全体に目を向けるよう心掛けたいものです。
さらに新郎新婦に呼び掛けたり、親御さんの方を向いたりと、話の内容に合わせて視線を動かしましょう。

Point3 物腰や表情は?

堂々と穏やかに。「この方が上司でよかった」と親御さんに思ってもらえるような物腰が理想です。

Point4 話し方のコツは?

一定のスピードで話すよりも、内容に合わせて緩急を付け適度な間を取ることを意識しましょう。
聞く側も、思わず話に引き込まれるはずです。

Point5 カンペを見てもいい?

一字一句間違えず読むことよりも、思いを伝えることを優先させ、時々目を落とす程度に。
そのためにも、全体を「起・承・転・結」で頭に入れておくと安心です。

#06|そのまま使える主賓あいさつ文例

新郎新婦との関係によって変わる
主賓スピーチ
立場ごとの文例をチェック

文例1 職場の上司としてスピーチする場合

○○君は真面目に仕事に取り組むだけでなく、面倒見が良く、同僚や上司から頼りにされる存在です。
取引先からの信頼も厚く、今年は各部署の精鋭が集まる新規プロジェクトのリーダーも任されました。
△△さんという良き伴侶を得て、ますます仕事にもまい進してくれることと期待しています。

文例2 一人で両方の主賓を兼ねる場合

○○君と△△さんが結婚するという話を聞いたとき、嬉しさ半分、寂しさ半分の複雑な気持ちになりました。
なぜならわが社の規定で、結婚するとどちらかが別の部署に異動する必要があるからです。
どちらも優秀で手放したくない大事な部下なので悩みましたが、△△さんがかねてより希望されていた広報部へと移ることとなり、この春からはそちらで元気に活躍されています。
お互いに激務のため帰宅が遅くなることもあるかと思いますが、たまには仕事を忘れてふたりでゆっくり夕食を楽しむ日もつくってください。

文例3 学生時代の恩師としてスピーチする場合

○○君は研究熱心で非常にまじめな学生でしたが、同時に優しくて面倒見の良い性格だったことをよく覚えています。ゼミ合宿の際にも率先して幹事役を引き受け、みんなをまとめてくれました。
そのときに培ったリーダーシップは、社会に出た今でもきっと役に立っていることでしょう。
これからもその持ち前の面倒見の良さで、△△さんを優しくリードし、温かな家庭を築いていってください。

文例4 親戚としてスピーチする場合

新婦の△△は、幼いころよりわが子のようにいつくしんできた、大事なめいです。
近所に住んでいたこともあり、△△の両親が仕事で遅くなるときは、いつもわが家で預かっていました。
当然、いとこ同士の仲も良く、大人になっても実の姉妹のようにお互いの家を行き来する仲でございます。
結婚して遠くへ行ってしまうのが寂しくもありますが、優しく頼もしい○○君になら、安心して△△をお任せすることができます。○○君のお父さま、お母さま、△△をどうぞよろしくお願いいたします。

岩下宣子
[監修]

岩下宣子 マナーデザイナー

「現代礼法研究所」主催。NPOマナー教育サポート協会理事長。全日本作法会の故内田宗輝氏、小笠原流・故小笠原清信氏のもとでマナーや作法を学び、マナーデザイナーとして独立。企業、学校、公共団体などで指導や講演会を行うほか、多数の著作を手掛ける。

構成・文/南 慈子 イラスト/moko. 監修/岩下宣子(現代礼法研究所)

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