これで迷わない!【結婚式の受付】マニュアル~服装・言葉遣い・基本の流れ~
新郎新婦に代わってゲストを出迎える結婚式の受付係。中にはご祝儀の管理など、ふたりに信頼されているからこその大事な役割も担います。そんな「結婚式の顔」ともいえる受付係の具体的な仕事の中身を、服装や立ち居振る舞いも含めて見てみましょう。
- 受付係はゲストからご祝儀を預かり、記帳のご案内をするのが主な仕事
- 両家に代わってゲストをお出迎えするので、きちんとした装いを心掛けて
- 大金を預かる立場なので、事前の確認や準備をしっかりと行おう
#01|結婚式の受付係の役目とは?
両家に代わってゲストを出迎える大事な役
主な仕事は記帳の案内とご祝儀の受け取り
結婚式の受付係は、新郎新婦や家族に代わってゲストを出迎える役目。自分自身がゲストとして招かれていても、受付係をしているときにはホストの立場になります。主な仕事は以下の通りです。
<受付係の仕事内容>
- ゲストへ列席のお礼を伝える
- 芳名帳への記入やゲストカードの提出を依頼する
- ご祝儀を受け取る
- 席次表を渡す
- お車代を渡す
- 披露宴が始まるまでの案内をする
#02|受付の事前準備
前日と当日開始前の確認で
万全を期して
受付の仕事は、その場だけではなく準備が大事です。何も準備しないままだとアタフタするだけでなく、ゲストへの印象もよくありません。
▼前日までに確認しておくこと
##s##<Check!>##e##
・集合時間
・式の開始時間
・会場までのアクセス方法
・当日の天気や気温
受付係は他のゲストより早めに集合するよう新郎新婦から依頼されていることが多いです。前日までに必ず##s##集合時間と式の開始時間を確認##e##しておきましょう。
##s##会場までのアクセス方法も##e##チェックします。電車が止まることも考え、複数の経路を確かめておきましょう。当日の朝に服装で慌てないように、##s##天気や気温##e##も確認しておくと安心です。
▼受付の仕事を始める前にすること
##s##<Check!>##e##
・担当の割り振り
・テーブルに用意されているものの確認
・ゲスト名簿の確認
・会場内設備の確認
会場に着いたら、受付の仕方について会場スタッフが説明してくれることが多いです。
通常、受付係は新郎側、新婦側それぞれ2人1組で行います。担当する者同士が初対面なら、まず自己紹介をしましょう。複数人いるなら、##s##誰がどの役目をするか(ご祝儀を受け取る人、芳名帳を書いてもらう人など)を振り分け##e##ます。
次に##s##受付テーブルに用意されている物(芳名帳やご祝儀袋を置く台、席次表など)を確認##e##します。それから##s##招待しているゲストの名簿を見て、誰にお車代を渡すのか、ご祝儀を受け取らない相手などを、全員で確認##e##しておきます。
化粧室やゲストの控室、エレベーターやエスカレーターの場所など、##s##ゲストに聞かれそうな設備を確認##e##しておくと安心です。
#03|受付係の仕事の流れ
ゲストごとに臨機応変な対応が必要
分からないことは会場スタッフに聞く
受付の仕事は、ホスト側として失礼のない立ち居振る舞いが必要です。具体的な仕事の内容とその際の言葉遣いについて、流れを押さえておきましょう。
【1】出迎えのあいさつをする
ゲストが受付に来たら、##s##ホスト側の立場でお出迎えのあいさつ##e##をします。開始前の雑談は構いませんが、最初のゲストが来るころには私語を慎みます。
<あいさつのセリフ>
「本日は(ご多用の中)お越しいただきまして、ありがとうございます」
【2】ご祝儀を受け取る
ご祝儀は##s##ゲストが差し出してから両手を出して受け取り##e##ます。自分がもらったというような気持ちでありがたく丁寧に扱いましょう。ちなみにご祝儀は事前に新郎新婦に渡している人もいるので、##s##全員から受け取る必要がない##e##ことを頭に入れておきます。また、ご祝儀を受け取ったら##s##すぐにしまうのではなく、ご祝儀を置く台にしばらく置いて##e##おきます。
<ご祝儀を受け取るときのセリフ>
「ありがとうございます。お預かりいたします」
【3】芳名帳への記入をお願いする
芳名帳は、列席したゲストに住所と名前を手書きしてもらうリストのこと。##s##受付の順に前から詰めて書いて##e##もらいます。芳名帳を用意せず、招待状と一緒に送ったゲストカードを受付で回収するスタイルのこともあるので、##s##会場スタッフと事前に確認##e##しておきましょう。ゲストカードを忘れたゲストには、その場で書いてもらう案内をします。
<芳名帳の記入をお願いするセリフ>
基本のセリフ
「恐れ入りますが、こちらにお名前とご住所をお願いいたします」
お名前だけの場合
「恐れ入りますが、こちらにお名前をお願いいたします」
ゲストカードの場合
「恐れ入りますが、ゲストカードをお預かりいたします」
【4】遠方ゲストなどに、頼まれていた「お車代」を渡す
お車代を渡すように頼まれている人には、席次表と一緒に「○○から預かっております」と言って渡します。渡す人と渡さない人がいるので、##s##受け取る人が気兼ねしないようさりげなく渡す##e##のがポイントです。
<お車代を渡すときのセリフ>
「新郎新婦より、こちらをお預かりしております」
【5】ゲストに席次表を渡しながら、案内を行う
席次表を渡した後は、ゲストに開宴まで控室で待ってもらうのでその案内をします。化粧室や喫煙場所などを聞かれることもあるので、##s##一通り設備を事前に確認##e##しておきましょう。
<席次表を渡すときのセリフ>
「本日の席次表でございます」
「控室は右手通路奥にございますので、ご案内までそちらでしばらくお待ちくださいませ」
【6】自分たちの記帳をする
受付係を頼まれたときには、##s##自分たちの記帳は最後##e##に行います。自分が持ってきたご祝儀も合わせて、新郎側と新婦側でまとめます。
【7】あらかじめ指定された人にご祝儀と芳名帳を渡す
受付の一番大事な仕事は、##s##確実にご祝儀を指定された人(母親や親族など)に渡す##e##ことです。大金なので##s##指定の人以外が「預かります」と言ってきても、絶対に渡してはいけません##e##。会場スタッフであっても、同様です。渡すときには、指定された人に間違いがないかどうかを確認する意味でもきちんとあいさつをすることが大切です。
<ご祝儀を引き渡すときのセリフ>
「○○さんの友人の△△と申します。先ほど無事に受付が終了しましたので、ご祝儀と芳名帳をお持ちしました」
#04|受付テーブルに用意されているもの
受付開始前に足りないものがないか確認を
<受付テーブルに用意されているもの(一例)>
・芳名帳
・筆記用具
・トレー
・席次表
・お車代
・ゲストのリスト
多くの場合、受付係が到着した際にはすでに受付テーブルには上記のようにアイテムが並べられています。テーブルに##s##芳名帳と筆記用具、ご祝儀を置くトレー、ゲストに渡す席次表があることを確認##e##しましょう。お車代は、受付が始まる前に親や親族が持ってくることが多いです。受け取る際には##s##封筒の数や渡す相手についてその場で確認##e##するようにしましょう。
受付係の手元には、席次表を1部広げておきます。##s##出席の確認とお車代を渡す人にきちんと渡せたかどうかをチェック##e##するために使います。会場や新郎新婦が作った出席者リストがあるなら、そちらを使用します。
#05|受付係の服装と身だしなみで
気を付けること
清楚な中にも華やかさが感じられる服装に
全体の清潔感も大事なポイント
受付係は、両家を代表する顔と言っても過言ではありません。##s##ゲストが最初に出会う人であることを意識し、爽やかな第一印象を心掛けましょう##e##。
▼男性の服装
基本的には披露宴のドレスコードを主催者側が決めているのでそれに従います。フォーマルでということならば、ゲストをお迎えする側として格の高い服を選びます。昼は、ディレクタースーツかブラックスーツ。夜は、タキシードかブラックスーツが格の高い服装になります。
ただし新郎新婦より華やかにしないということも大切です。男性はフォーマルが基本ですが、##s##何より大事なのは清潔感。服や靴はもちろん、髪やひげなどもきちんとお手入れ##e##して臨みましょう。
ブラックスーツ/ダークスーツ
ブラックスーツは昼夜問わず着用できる準礼装。ややカジュアルな結婚式ならダークスーツでもOK。ネクタイを白系やシルバーグレーにしてきちんと感を出して。
ディレクタースーツ
昼の準礼服。黒のジャケットにストライプ(黒×グレーなど)のスラックス、ベストを組み合わせる。
▼女性の服装
どんな人にも違和感なく受け入れてもらえる##s##清楚で明るい服装##e##が望まれますが、できれば結婚式なので華やかさもプラスしたいところ。##s##受付に立つみんなが黒っぽい色や地味な装いにならないよう##e##に気を付けて。指先も清楚な感じがよいです。もし事前にネイルサロンに行くなら、あまり派手すぎないカラーや装飾を選びましょう。
洋装
女性の洋服ならば、昼の正装はなるべく肌を出さないアフタヌーンドレスを選びます。ワンピースかアンサンブル、ツーピースなども好ましいです。夜は袖なしのディナードレスで構いませんが、新婦よりも控えめなドレスを心掛けます。
和装
着物には、昼夜の区別はありません。ただし大振り袖は花嫁が着ることもあるので、控えます。大振り袖よりも袖丈が短い中振り袖がよいでしょう。
▼受付係体験談『こんな身だしなみを心掛けました』
VOICE こんな身だしなみを心掛けました
服は華やかなワンピースを。上に羽織るものはかっちりとしたジャケットを用意しました。(31歳女性/愛知県)
黒っぽい服は避け、上品で明るいピンクのワンピースに。髪もアップにして清楚な印象を心掛けました。(26歳女性/静岡県)
目立ちすぎてもいけないし、おしゃれより清潔さを優先。スーツに合わせるネクタイは、派手さを抑えたシルバーを選びました。(28歳男性/兵庫県)
新婦の友人として着物を着用。親族メインの式だったので、なるべく上品に見えるように気を配りました。(37歳女性/群馬県)
受付に立つので、事前に理容室で髪を整えておきました。身だしなみにはいつも以上に気を配ったつもりです。(32歳男性/千葉県男性)
VOICE ちょっぴり後悔……
一つ忘れていたのがネイル。ご祝儀を受け取る際に意外と手元を見られるので、きちんとネイルをしていけばよかったと後悔……。(30歳j女性/熊本県)
普通のスーツで行ってしまいました。特に受付はみんなに見られるし、この日のために高いスーツを買っておけばよかった!(27歳/大阪府男性)
#06|結婚式の受付係を務める上での
心得5カ条
「責任ある立場」ということを心得て
笑顔で礼儀正しい立ち居振る舞いを
【心得1】あくまでも新郎新婦側の人間として振る舞うこと
##s##本来なら新郎新婦や家族が務めるべき役割を、受付係が代わりに担っている##e##ということを覚えておきましょう。受付を訪れるゲストの第一声は「おめでとうございます」。それを受け、##s##新郎新婦側の立場で「ありがとうございます」と、笑顔で返す##e##ことを忘れずに。もちろん本物の親族に会ったら「本日はおめでとうございます」と、こちらからきちんとお祝いのごあいさつをするのがマナーです。
【心得2】笑顔で丁寧な対応を心掛ける
受付係の立ち居振る舞いで、結婚式の印象が決まってしまうこともあります。どんなに忙しくても##s##笑顔を忘れずに、一人一人に丁寧な対応をする##e##よう心掛けましょう。もちろん誰が見ているか分からないので私語は禁物。その場にいるゲストのうわさ話などもしないように。
【心得3】大金を預かっていることを意識する
受付の大事な仕事の一つは、ゲストからのご祝儀を預かること。途中でどうしても席を外さなくてはいけなくなっても、##s##必ず1人は持ち場に残って##e##いましょう。また、お車代など、頼まれたものはきちんと責任を持って渡さなくてはいけません。そのためには、名簿に自分で分かりやすく印を付けておくなど、準備や工夫も必要です。
受付終了後にご祝儀を渡す人を確認しておきましょう。##s##大金なので、どんな事情があっても指定された人以外に預けるのは厳禁##e##です。例えば相手を見失った場合は会場の人の手を借りますが、その際もお金を預けるのではなく、相手を探してもらうことが原則です。
【心得4】遅刻しないよう、早めに自宅を出る
受付係は一般のゲストよりも早く来て待機しておく必要があります。もちろん遅刻は禁物。電車が止まったりすることも十分考えられるので、##s##何があっても対応できるよう、早めに行動##e##しましょう。広い会場の場合は、館内で迷わないよう、会場の案内図などで集合場所の確認をしておくと安心です。
【心得5】イレギュラーな対応は会場スタッフに委ねる
中には写真撮影や預かり物など、イレギュラーな頼まれ事をされることも。持ち場を離れられない受付の立場としては、##s##なるべく自分で引き受けず、会場スタッフに任せましょう##e##。もちろん「できません」とむげに断るのではなく、「申し訳ありませんが、あちらの会場の方にお願いできますか?」と丁寧な受け答えを心掛けて。
さらに、悩ましいのが遅刻してきた人への対応。式が始まっているのにいつまでも待ち続けるわけにはいかないので、受付開始前に会場へ対応策の確認をしておくとよいでしょう。
▼受付係体験談『こんな振る舞いを心掛けました』
特にご祝儀を受け取る際には、失礼のないよう丁寧に対応を。新郎側の受付係の方とも連携を取り、スムーズにいくように心掛けました。(29歳女性/秋田県)
受付時の立ち居振る舞いは意外と見られていると思います。意識して背筋を伸ばすようにしていました。(31歳女性/大阪府)
新婦の友人や親族の中には初対面の方がたくさんいましたが、どんな人にも笑顔で気持ちのよい対応ができるよう心掛けました。(30歳女性/広島県)
ゲストに尋ねられてもすぐに案内できるよう早めに会場に入り、トイレや更衣室、クロークの場所などを確認しました。(26歳女性/静岡県)
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岩下宣子 マナーデザイナー
「現代礼法研究所」主催。NPOマナー教育サポート協会理事長。全日本作法会の故内田宗輝氏、小笠原流・故小笠原清信氏のもとでマナーや作法を学び、マナーデザイナーとして独立。企業、学校、公共団体などで指導や講演会を行うほか、多数の著作を手掛ける。