やくそく

「おおきくなったらけっこんしようね、やくそく」

小さい頃、幼馴染だった私たちは
そんなことを話していたらしい

幼稚園の頃仲が良かった私たちも
中学生からは部活も始めて
遊ぶことはなくなった

親同士、仲が良かったこともあり
家族ぐるみで集まることがたまにあるくらい

高校生になるころには家族ぐるみの集まりもなくなってしまった

そんな私たちが再開したのは偶然
社会人になってからの
街中にあるご飯屋さん

お互い知らない人とごはんを食べていて
先にお店にをでるところだった彼が私に気が付き
話しかけてくれた

いまはサラリーマンをしているみたいで
今度ゆっくりごはんでもという話になった

すぐに会う約束をして
ごはんを食べに行くと
学生時代からこれまでの事
お互いの家族の話
あれこれ話すと話は尽きず
あっという間に遅い時間になってしまった

もう帰ろうかとお店は出たものの
車の中でも話が盛り上がってしまって
いつの間にか明るくなってきてしまった

会うたび話が尽きなくて
いつしか自然とお付き合いが始まり
結婚をする運びになった

振り返ってみると
大人になったあの日偶然会わなかったら
きっと私たちが結婚することには
ならなかったと思うと
あの日あのご飯屋さんは私たちの思い出の場所になった

結婚式の日
花嫁姿花婿姿になったお互いをみて
なんだか照れくさい気持ちになりながら
また懐かしい小さい頃の話になった




ねぇ、小さい頃にした約束覚えてる？

うん、たぶん

じゃあ、合ってるか答えあわせね
せーのっ

「おおきくなったらけっこんしようね」