特別な日

始まりは、新郎様のお母様からのお電話でした。

「息子夫婦に子供が産まれ、落ち着いたので結婚式だけでもしてやりたいんです。」

その後、ご予約をいただき打合せが始まりました。

新郎新婦様は、そのお母様と同居されていたので、いつもお世話になっている感謝の気持ちを

お手紙とプレゼントにして伝えることをご提案致しました。

当日まで、サプライズのセレモニーを成功させるために色々なことを打合せし、私もお母様の笑顔が見れることをとても楽しみにしていました。

そして迎えた挙式の日の朝、「お母様がこないことになりました。」と新婦様からお電話がありました。

原因は・・・新郎様とささいなことで喧嘩になってしまったようで、参列しないのならと、用意していたプレゼントも渡してしまったようでした。

私はどうしても来ていただきたかったのでお母様に電話をかけました。

20分ほどいろいろなお話をお聞きしましたが私の力ではお母様の心は動かせませんでした。

式の２時間前に来館された新郎様に結婚式という特別な日は今日しかないこと、そんな今日があるのはお母様からの電話が始まりだったこと、

お節介な事を承知の上でお話させていただきました。

普段からよく親子喧嘩をするとお聞きしていましたが本当はお互いに感謝し、思い合っていることを私はとても感じていましたし、

大好きなお二人に後悔してほしくなかったのでつい熱い気持ちになってしまいました。


後悔したくないと、新郎様がお母様に電話してくださり、開式20分前に到着され、無事結婚式が執り行われました。

挙式後、楽しそうに皆様と写真撮影をされている中で新郎様がお母様へ「来てくれてありがとう」と言っていました。涙が出そうになりました。

サプライズのセレモニーはなくなりましたが、何よりもお二人の晴れの日をお母様に見ていただけた事、嬉しかったです。

「子供の幸せを願わない親はいない」といつかどこかで聞いたことがありましたが、それを感じた結婚式でした。


ウェディングコーディネーター
渡邊　佳代子