料理長のこだわり ２

「とにかく美味しいものを作りたい。

そこにたどり着くまでの手間は惜しまないよ、喜んで貰いたいからね」

 
美味しいものは食す側にも作り手にも、忘れられない感動を生み出す。

長年の経験から、食事の大切さを良く理解している料理長の言葉は

とてもとても重みのあるものでした。

『和食は引き算の料理である』
 

その１つ１つの素材が持つ良い部分、旨みだけを丁寧に引き出す・・・

素材そのものの質も問われるが、それを生かしきる技術と強い信念が重要

料理長が目指すのは、素材を存分に生かした『ほっとする』癒しの味。

こちらが昆布のエキスを８時間水出しで抽出したもの。
透き通った琥珀色の中に、海の恵みがぎっしり凝縮されているのです
 
昨日、少しご紹介させて頂いた利尻昆布とは、

北海道の利尻地方でとれる上質な昆布。

道北の利尻で取れる昆布は、その極寒の地ならではの低い水温、さらに

塩の流れの特徴から磯が大変粗く、厚みのある昆布が採れることで有名です。

強いこだわりを持つ料亭でも、この昆布なしで出汁を語ることは出来ません。

のちのち、鰹や煮干で出汁に深みを増しても良い味は出るのですが

魚には無い粘りや甘味、栄養素、香りは他に代えることが出来ないのです。

そんな昆布から、水で旨みを引き出すことにも理由があります。

一度火にかけて旨みを出すと、沸騰した時点で昆布を取り出さなければ

せっかくの昆布から、苦味や雑味が出てしまい上品さが損なわれるのです。

そしてさらに高温でグツグツ煮てしまうと、香りがパッと飛んでしまう・・・

「お客様の前にお出しするまで、極力、火にかけたくない」

丁寧に水から抽出された繊細な１番出汁に、鰹節・鮪節・醤油を加え完成するのが

この地域に伝わる伝統的な婚礼料理『おちつき餅』

 ふたをあけた時にフワリと立ち上がる湯気。

披露宴会場に、一気に出汁の香りが広がります

『うわぁ、いいにおい』

思わず顔を近付けると、透き通っただしから

明らかに手をかけたと分かる上質な香りが立ち上ぼり、食欲をかき立てます

熱いな、と冷まそうとフーと息を吹き掛けると

ますますフワッと良い香りが顔前に立ちこめ、その勢いでスッと一口。

『・・・おいしい。』

香りから想像する味を、決して裏切らない。

顔がほころぶ、ほっとする味・・・うーん、食べたくなってきた！！(*´艸｀)

ちなみに・・・

１番出汁は、お吸い物やおちつき餅に使い

２番出汁は、お蕎麦の出汁、煮物、付け合わせの炊きもの、蒸し物、

さらには和風ステーキのソースの源にもなっています。

お食事にこだわりがある新郎新婦さま

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