「つきましては」の意味やビジネスメールでの使い方<例文付き>

仕事など、敬語でよく使う「つきましては」という言葉の使い方をおさらい!接続詞や敬語、丁寧語としての使い方を例文でご紹介します。また、目上の人や社外の人へのビジネスメールでの適切な使用法や類語での言い換え方、「おかれましては」との違いについて、ビジネスや私生活の人間関係やコミュニケーションに詳しい小日向るり子さんに詳しく伺いました。

接続詞としての「つきましては」の使用例



接続詞としての「つきましては」の使用例

接続詞としての「つきましては」は、先に述べた話の内容から、次の話題へ移るときの繋ぎの言葉として使います。

使い方のポイントは、まず結論を述べること。結論を伝えてから、「つきましては」で繋いで詳細を説明すると、より分かりやすく伝えることができます。

実際にどのように使うのか、使用シーンに合わせて例文を見ていきましょう。

相手にお願いをするときの使い方


■例文
「来月●日〜●日に、社外セミナーを予定しております。つきましては、以下の日程の中からご都合の良い日時をすべてお知らせいただけますと幸いです」

セミナーの予定を報告した後、「そのために」、参加者にお願いしたいことが続く使い方です。

「●●(ある事柄を報告)。つきましては、●●(依頼内容)をお願いします」と作成するイメージです。

新たな提案をするときの使い方


■例文
「こちらの商品は品切れとなっております。つきましては、次回入荷分の予約のご案内、もしくは、近くの店舗の在庫状況を確認することができますが、いかがいたしましょうか?」

在庫がないという現状を述べ、「それ故に」、予約や近隣店舗への在庫確認を案内する使い方です。

「●●(現状の報告)。つきましては、●●(新しい案内や解決策)ができますが、いかがでしょうか?」と提案します。

前に述べた内容を詳しく補足するときの使い方


■例文
「申請方法に分かりにくいところがございます。つきましては、補足情報を添付させていただきますのでファイルをご確認ください」

分かりにくいところがあるという問題を述べ、「よって」、添付ファイルに詳細があると説明をしている使い方です。

「●●(現状の問題点)。つきましては、●●(詳しい説明)しています」と補足しましょう。


敬語・丁寧語としての「つきましては」の使用例



敬語・丁寧語としての「つきましては」の使用例

「〜に関しては」の丁寧な表現として、「つきましては」を使う場合の具体的な使い方や例文をご紹介します。ポイントは、説明、案内、依頼をするときに使うことです。

説明をするときの例文


■例文
「本件につきましては、個人情報が含まれておりますため回答を控えております」

「その件に関しては」を丁寧語にしています。会議やプレゼンテーション、ビジネスメールなどで何かを説明するときに使用すると良いでしょう。

案内をするときの例文


■例文
「会議は本日13時から開始いたします。場所につきましては調整中のため、追ってご連絡させていただきます」

「場所については」を丁寧に表現しています。会議などの業務連絡をするときに、未定の項目がある場合は、「その件につきましては追って連絡します」と伝えると分かりやすいです。

依頼をするときの例文


■例文
「申請手順の詳細につきましては、下記のURLからご確認ください」

「その件に関しては」「その件については」を丁寧にした表現です。取り上げたい話題を先に述べて、「その件については、●●してほしい」と、相手に依頼するときに使いましょう。


目上の人や社外の人へのビジネスメールで使っても良い?



目上の人や社外の人へのビジネスメールで使っても良い?

「つきましては」は、ビジネスシーンでの使用に適した言葉です。

一般的な社内向けのメールや文書での使用はもちろん、上司や取引先との会話やメールで「つきましては」を使用すると、より丁寧な印象を与えることができます。


「つきましては」の類語は?言い換えられる言葉の例



「つきましては」の類語は?言い換えられる言葉の例

「つきましては」は使いやすい言葉ですが、文中に何度も出てくると読みづらくなってしまいます。迷ったときに、言い換えられる言葉と例文をご紹介します。

「そのため」


■例文
「この時間帯は満席が多く、ご案内が難しい状況です。そのため、事前のご予約をお願いしております」

「つきましては」の代わりに、「そのため」と言い換えることができます。ビジネスの場面での使用も問題ありません。

ただし、文脈や相手によっては、よりフォーマルな言い回しや表現が求められる場合があるため、その点は注意して使いましょう。

「よって」


■例文
「本日18時以降はサーバーの定期メンテナンスが入ります。よって、パソコンの電源は必ず落としてから退社してください」

「よって」は前文で述べた理由や根拠から、結論に続けるための接続詞として使います。

ただし「つきましては」と比べると無機質な印象を受けるため、部署から社内各自への告知文などの際に限定し、「人対人」への文章では避けた方が良いでしょう。

「従って」


■例文
「来月の健康診断では●歳以上を対象に●●の検診があります。従いまして、以下の時間内で各自ご予約をお願いしております」

前文の流れから、結論に繋ぐときに「従って」を使います。仕事で使用する場合は、「従って」よりもオフィシャルな印象になる「従いまして」を使うのがベターです。

「に関しましては」


■例文
「その件に関しましては、部長まで確認が済んでおります」

文中で「つきましては」を使う場合、「〜に関しては」と言い換えることができます。さらに丁寧に言いたい場合は、「〜に関しましては」を使います。


「つきましては」と「おかれましては」の違い



「つきましては」と「おかれましては」の違い

「つきましては」と、似たような印象のある言葉に「おかれましては」があります。

「つきましては」は、それまで話していた「物事」に対する丁寧な表現として使い、「おかれましては」は「人」や「企業」に対して敬意を示すときに使う表現です。人や企業に対して「つきましては」を使うと失礼な印象になるため、注意しましょう。

「おかれましては」を企業に使用する際は、相手先に対する丁寧語である「御社」、もしくは「貴社」とセットで使用します。話し言葉の場合に「御社」を使い、メールや文書の場合は「貴社」を使いましょう。また、人に対して使用する場合は、「●●(名前)さまにおかれましては」のように敬称を付けて表現します。

■例文
「●●(名前)さまにおかれましては、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます」
「皆さまにおかれましては、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます」


「おかれましては」は、ビジネス文書での定型的なあいさつ文として使用するフレーズとして覚えておくと便利です。


「つきましては」は、ビジネスシーンで使いこなしたい表現



「つきましては」は、ビジネスシーンで使いこなしたい表現

「つきましては」は、会議や文書、メールなどビジネスシーンで使用すると丁寧な印象を与えることができます。「つきましては、〜お願いいたします」「その件につきましては〜でございます」といった表現がスラスラ言えるようになると、社内外問わず、コミュニケーションがスムーズに進みますよ。この記事を参考に、ぜひ取り入れてみてください。


取材・文/高坂晴奈


【監修】
小日向るり子さん
「カウンセリングスペースフィールマインド」代表。心理カウンセラー。一般社団法人 日本産業カウンセラー協会認定産業カウンセラー。JAAアロマコーディネーター。恋愛、人間関係、メンタルヘルスなど多くの悩みにカウンセリングを行っている。恋愛や心理系コラムの執筆やメディア出演、監修も多数行っている。2024年4月までの相談件数は約6000件を超える。
オフィシャルサイト:http://feel-mind.net/