リテラシーとは?意味やリテラシーが低い人の特徴、高め方を紹介

ニュースや日常会話などでよく見聞きするようになった「リテラシー」という言葉。「リテラシーが低い」「リテラシーがある」などといわれますが、意味や使い方をイマイチ理解できていないという人もいるかもしれません。言葉の意味からリテラシーを高める方法まで、日本サービスマナー協会認定講師の江頭美鈴さんにお話を伺いました。

リテラシーとは?言葉の意味



リテラシーとは?言葉の意味

リテラシーとは、ある特定の分野に対する理解や知識、それを応用するための能力のこと。元は、読み書きなど識字の能力を指していましたが、現在ではより広い意義で使われています。

専門分野に関するリテラシーを指す場合は「ITリテラシー」のように言葉の前にその分野名が付き、リテラシーの程度は「ある/ない」や「低い/高い」と表されます。また、学習していくものなので、「リテラシーが身に付いている」「リテラシーが必要」などと表現します。


リテラシーの種類と使い方の例



リテラシーの種類と使い方の例

リテラシーにもさまざまな種類があります。主要なものを例文と共に見ていきましょう。

ITリテラシー


ITを活用する能力を表す言葉です。インターネット情報の扱い方に関する「ネットリテラシー」や、IT機器を使いこなす「コンピューターリテラシー」なども含まれています。

【例】
個人情報をSNSに投稿するなんて、ネットリテラシーが低いね。

【例】
コンピューターリテラシーのアップデートのためにも新しいソフトウエアが必要だ。

情報リテラシー


膨大な情報の中から正確な情報と、間違っている情報を整理し、必要な情報を正しく選び取って活用する能力のことです。

【例】
情報リテラシーが不足している人は、フェイクニュースにだまされやすいよ。

メディアリテラシー


情報の発信源となる新聞やテレビ、インターネットなどの各種メディアの視点が入った情報を読み解く能力や、メディアを利用する能力のことを指します。

【例】
低年齢からインターネットを使うことが増えたため、メディアリテラシーの教育が必要だ。

金融リテラシー


金融の仕組みや情報を理解し、お金を適切に管理・運用する能力のことです。

【例】
資産運用を始める前に自分で調べるなど、投資には金融リテラシーが欠かせない。

ヘルスリテラシー


健康維持のための取り組みや、ヘルスケアの適切な情報やサービスを理解する能力のことです。「健康リテラシー」とも言います。

【例】
姉はヘルスリテラシーが高く、日常に運動をバランス良く取り入れている。


リテラシーが低い人ってどんな人?



リテラシーが低い人ってどんな人?

リテラシーは、情報社会を生き抜くために必要な能力です。ここでは、リテラシーが低いとされる人にどのような特徴があるかを解説します。

自ら情報を集めない


ITリテラシーが低いといわれる人は、苦手意識からIT機器との関わりを避けようとする傾向があります。業務での生産性の向上やコスト削減が求められる場合は、時代の変化に合わせて少しずつでも学ぼうとする姿勢が必要です。

また、個人視点で発信されるSNSや動画では、注目されるために不適切な行動を取ってしまうケースもあります。善悪を判断する基準を養わなければ、その間違いにも気が付かないかもしれません。

情報をうのみにする


インターネット上には無数の情報がありますが、それらがすべて真実とは限りません。

情報リテラシーが低いと、出典元や真偽を確認せずに不確かな情報を信じてしまう恐れがあります。そうすると、無自覚にSNSで拡散して人を傷つけてしまったり、フェイクニュースにだまされたり、特殊詐欺に巻き込まれてしまうリスクも考えられます。

また、テレビ、ラジオ、インターネット、新聞、雑誌などのメディアには、視点の癖や事実の切り取り方の特徴があります。特定のメディアの情報だけしか見ないという人は、自分では気が付かなくても偏りが出ている可能性があります。

自己判断しがち


生活していく上で必要不可欠なお金を正しく扱うためには、金融リテラシーを学び、必要な知識や情報を身に付けることが大切です。ローン契約や資産運用も、自分に合っているかをよく考えて見極める力を養う必要があります。

また、新しい医療の知識を学ぼうとせず、薬の飲み合わせを独自で判断したり、体調が良くなくても「寝ていれば治る」「気のせいだ」などと言って放置したりすると、病状を悪化させてしまう心配があります。


ビジネスシーンでリテラシーの高さが求められる理由



ビジネスシーンでリテラシーの高さが求められる理由

情報の更新スピードの早い現代では、日頃からさまざまなリテラシーを学習していく必要があります。ここでは、仕事や私生活において特に必要とされるリテラシーの重要性を見ていきましょう。

効率化や生産性を向上させる


仕事でもプライベートでも、私たちはさまざまなIT機器を使っています。新しいテクノロジーを積極的に取り入れ、関連する知識を理解し活用することにより、便利で豊かな生活に繋がります。

個人情報や企業情報の漏えいを防ぐなど、セキュリティー強化の観点でもITリテラシーは重要と言えるでしょう。

効果的なコミュニケーションやグローバルなコミュニケーションにも対応できる


現代はIT化だけでなく国際化が浸透しています。情報リテラシー、メディアリテラシーを高めることで、最新のニュースやコンプライアンスに対する理解が深まります。また、さまざまな世代や、異なる文化・言語の人とコミュニケーションを取る際に、相手を理解するためにも役立ちます。

トレンドの把握や世間の潮流を読むのに役立つ


ITを活用して世の中のトレンドをリサーチする能力は、効果的なマーケティング戦略に活用できます。
また、就職や転職を考える場合、企業が発信する活動を積極的に情報収集することによって、自分が希望する仕事とのマッチングが目指せます。

働き続けるためにも健康であることが大切


仕事や私生活を充実させるために大切にしたいのがヘルスリテラシーです。心身共に健康であると幸福を感じやすいため、生産性の高い仕事に繋がり、モチベーションがアップします。


リテラシーを高めるためにできること



リテラシーを高めるためにできること

リテラシーを高く保つために、日常生活でできるアドバイスを紹介します。

最新のIT機器を積極的に取り入れる


世の中のツールはどんどんアップデートされていきます。新しいソフトウエアやアプリケーションを学ぶことに臆せず、効果的に活用しましょう。

情報の扱いについて、信頼性を確認する


一つの情報だけに左右されず、複数の情報源を比較し情報の引用元を確認するなど、フェイクニュースを見抜く力を養うことが大切です。積極的に真偽を確かめることで、情報を正しく扱うことができます。

話題になっていることの意見交換を積極的にする


メディアの視点をそのまま受け止め過ぎず、自分の頭でも考えることが重要です。そのために、話題のテーマやニュースなどを周りの人と正直な気持ちで語り合う場を生活に取り入れましょう。

家族や友人などに、「○○のニュースどう思う?」など、会話することで自分では気付けなかった新たな視点を獲得できます。

ニュースなどで世界情勢や企業動向などの情報を常に取り入れる努力をする


世の中の動きに対していつもアンテナを高く持ち、情報を取りに行く姿勢を持ちましょう。近づいて見る「虫の目」、俯瞰(ふかん)して見る「鳥の目」、潮流を見る「魚の目」を持てるようになると、リテラシーが高まります。

食生活の見直し、適切な運動を生活に取り入れ、夢中になれる趣味を持つ


心身の健康を維持できるよう栄養バランスを意識して、適切な運動習慣を身に付けることが大切です。また、ストレスを回避するためにも夢中になれる趣味を持つとよいでしょう。


これからの未来のためにリテラシーを高めよう



これからの未来のためにリテラシーを高めよう

医療の進歩や国際情勢の変化、さまざまなテクノロジーの向上など、昔と比べてはるかに多くの情報が頻繁に移ろう時代だからこそ、各リテラシーのアップデートがとても重要になります。日々の仕事の取り組み方や、見聞きする視点を少し変えるだけでもリテラシーを身に付けることはできます。変化を伴う複雑な現代社会を生き抜くために、しっかりとリテラシーを高めていきましょう!


取材・文/ペパーミント


【監修】
江頭美鈴さん
NPO法人 日本サービスマナー協会認定講師/一般社団法人 エグゼクティブ・イメージコンサルタント代表理事/M.E.プロダクション代表
日本サービスマナー協会認定講師として、企業・団体から個人向けに、「ビジネスマナー研修」「傾聴スキル研修」など幅広く担当し、「和やかで明るく分かりやすい」と受講者から好評。マナー講師の仕事を中心に、自社事業の経営、企業などの人材育成に携わる。また、心理カウンセラーとして、モチベーションアップやメンタル強化のサポートをしている。
日本サービスマナー協会:https://www.japan-service.org/