ご指導ご鞭撻の意味!ビジネスや結婚式などシーン別の使用例も

2023/3/9 11:00

ビジネスや結婚式など、さまざまなシーンで使われる「ご指導ご鞭撻」という言葉。正しい使い方や注意点を知っていますか?言葉の意味を知って自然に使うことができるようになれば、フォーマルなシーンでとても役立つ言葉です。そこで、日本サービスマナー協会認定マナー講師の江頭美鈴さんに、言葉の意味や使い方、NG例などを教えていただきました!

ご指導ご鞭撻とは?読み方や言葉の意味



ご指導ご鞭撻とは?読み方や言葉の意味

「ご指導ご鞭撻」は、「ごしどうごべんたつ」と読みます。「指導」と「鞭撻」の2つの言葉が合わさり、それぞれに尊敬の意を表す接頭語の「ご」を付け、慣用句のように使います。

「指導」は、指で導くと書きますが、まさにそのように「教え導く」ことをいいます。「鞭撻」は、「鞭(むち)+撻(たつ)」で構成されていますが、「撻」は一文字でも「むちを打つ・打ちのめす」という意味を持ちます。まるで鞭を打つかのように厳しくすることの意味ですが、これはあくまでも例えです。

「未熟で足らない自分に対して叱咤‘(しった)激励し、甘やかさずに厳しく成長へのお導きをお願いします」という相手の立場を敬いつつ教えを願う気持ちを表現しています。

「ご指導ご鞭撻」はセットで使いますが、一般的には目上の人に対して、自分や自分より年下または役職などが下の身内のことを厳しく導いてほしいとお願いするときに使う言葉です。短期的な場面やスポット的な場面ではなく、中長期的、幅広いイメージでお願いする意味合いで使われます。

結婚式では、新郎新婦や両家代表謝辞の場面で必ずと言っていいほど使われています。ビジネスでは、一般的なメールや結果を出したときや異動の際のあいさつ、上司やお世話になった人にあいさつする場面で使われます。また、企業が顧客に送るメール、消費者や世間に向けて発表する文書などにもよく書かれます。

「ご指導ご鞭撻」は、とても便利な大人の言い回しです。具体的に指導してもらうというよりは、社交辞令や締めの常とう句として多く使われます。周りや相手を立てて自分はへりくだり、謙虚に振る舞う日本人らしい言葉の一つといえるでしょう。

例としては「今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。」というシンプルな使い方から、「これもひとえに皆様さまからのご指導ご鞭撻の賜物と、心から御礼申し上げます。」「今後とも変わらぬご指導ご鞭撻をいただけますと幸いに存じます。」と、より丁寧な使い方もあります。

また、これまでの感謝を示す場合は「公私にわたるご指導ご鞭撻のおかげで、このような結果を出すことができました。」という使い方もあります。


【シーン別】ご指導ご鞭撻の使用例&NG例



【シーン別】ご指導ご鞭撻の使用例&NG例

では、実際の使い方をシーン別にご紹介します。

ビジネスでの使い方


●目標を達成した際のあいさつ
「社長をはじめ、諸先輩方のご指導ご鞭撻のおかげで、このような結果を出すことができました。」

●異動する際のあいさつ
「異動先でも精進してまいりますので、今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。」

●異動先でのあいさつ
「まだまだ若輩者でございますが、やる気と元気だけは誰にも負けません。ぜひご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。」

「当社の利益に貢献できるよう、粉骨砕身の努力を傾注してまいります。何とぞ、ご指導ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。」

●上司への報告メール
「今後も期待に応えるべく邁進してまいりますので、変わらぬご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。」

「○○さまのお力になれますよう、努力してまいる所存でございます。今後ともご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。」

「今後も尽力してまいりますので、変わらぬご指導ご鞭撻をいただけましたら幸いに存じます。」

●顧客へのメールや消費者に向けた書面
「これからも皆さまから必要とされる企業として成長してまいります。何とぞご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。」

結婚式での使い方


●新郎新婦のスピーチ
「ふたりで力を合わせて温かい家庭をつくってまいりますので、今後とも末永いご指導ご鞭撻をお願いします。」

●両家代表謝辞で両親からゲストへ
「まだ若いふたりでございます。どうか末永くご指導ご鞭撻をいただきますよう、お願い申し上げます。」

パーティでの使い方


●感謝のスピーチ
「皆さまからいただきました貴重なご指導ご鞭撻を今後も大切にしてまいる所存でございます。誠にありがとうございました。」

●主役のスピーチ
「本日、ご臨席くださいました温かい皆さまのご期待を決して裏切ることのないよう、なお一層精進してまいります。今後とも変わらぬご指導ご鞭撻をいただけましたら幸いでございます。」

年始のあいさつでの使い方


●ビジネスシーン
「昨年以上に一層の努力をし、ご期待に沿えるよう精進してまいります。引き続きご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。」

●プライベートシーン
「今年も仕事にゴルフにレベルアップを目指します。どちらもご指導ご鞭撻をお願いします。」

NGな使い方


「ご指導ご鞭撻」は目上の人に対して、自分や自分より年下または役職などが下の身内のことを厳しく導いてほしいときに使う言葉なので、自分が主語の場合や自社であっても自分よりも役職が上の人が主語の場合には使えません。また、カジュアルな言葉と一緒に使うのも避けるようにしましょう。

●NGの文例
「この機会にご指導ご鞭撻いたしますので、共に頑張りましょう。」

「私がご指導ご鞭撻しましたが、皆さまの努力も素晴らしかったです。」

「このたびは、ご指導ご鞭撻する立場を任されましたので、よろしくお願いいたします。」

「どうぞ弊社の専務○○(役職が上)にご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。」

「おかげさまで祖父が米寿を迎えました。今後も変わらぬご指導ご鞭撻をお願いします。」

「これからもご指導ご鞭撻をよろしくね。」


ご指導ご鞭撻は別の言葉で言い換えられる?



ご指導ご鞭撻は別の言葉で言い換えられる?

「ご指導ご鞭撻」をあまり頻繁に使うのも……というときには、他の言葉や表現で言い換えられるといいですね。「ご指導ご鞭撻」に変わる例文をいくつかご紹介します。

お導き


何かを教えてもらいたいときの柔らかい表現で、謙虚さと品格のある言葉です。
「まだまだ至らぬ私でございますが、何とぞお導きのほどお願い申し上げます。」

ご指南


実際にどのようにしたらよいのか教えてもらいたいときに使います。
「恐れ入りますが、ご指南いただけたら大変助かります。」

ご教示


相手の予定や選択など、比較的簡単に答えられることを教えてほしいときに使います。
「どうぞ、いくつかご都合の良い日時をご教示いただけると助かります。」

ご教授


何か分からないことを教えてもらいたいときや指導を仰ぐときなどに使う、丁寧な言い方です。
「ご多用でいらっしゃるのは重々承知しておりますが、何とぞご教授いただきますようお願い申し上げます。」

シーンに合わせて上手に使ってみよう!


「ご指導ご鞭撻」は、あいさつや文章を締めくくる際に活躍するとても便利な言葉です。シーンや相手に合わせて上手に使うと、印象が良くなるはず!言葉の意味や使い方をマスターして、ぜひ使ってみてください。


取材・文/仲西なほ子


【監修】
江頭美鈴さん
NPO法人 日本サービスマナー協会認定マナー講師/M.E.プロダクション 代表/一般社団法人 エグゼクティブ・イメージ・コンサルタント 代表理事
大手映画会社のニューフェースとして女優業を経たのち、司会やアナウンサーなどの話す仕事に転身。現在は、MCの仕事の他、マナー講師や、企業での人材育成事業、交流分析士、心理カウンセラー、イメージ・コンサルタント、婚活講師、各種コンテストのトレーナーなど幅広く活動している。

公式HP:https://www.me-production.com/
インスタグラム:https://www.instagram.com/misuzubelle/
日本サービスマナー協会URL:https://www.japan-service.org/




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