シュールとは?言葉の意味や語源を解説!<使い方の例文付き>
2024/6/24 11:00
Index
- #01 「シュール」とはどういう意味?
- #02 「シュール」の語源はフランス語
- #03 「シュール」の使い方【例文あり】
- #04 「カオス」と「シュール」の違い
- #05 「シュール」の類義語
- #06 「シュール」の対義語
- #07 シュールという言葉で表現の幅を広げよう!
シュールという言葉の意味を知っていますか?聞いたことがあるけど使ったことはない、明確な意味は分からない、という人も多いのではないでしょうか。この記事では、シュールの意味や語源、使い方の例文や類義語・対義語を紹介します。また、似た意味合いだけれどニュアンスの異なるカオスとの違いも解説していますので、ぜひ参考にしてください。
シュールとは、超現実的な様子や不条理な様子、奇抜、難解、独創的な様子を表す言葉です。超現実的とは、法則や決まり事を超越した現実のことなので、「現実から超越している」「現実離れしている」「非日常的でありえない」という状態のことを指します。
芸術やエンターテインメントを評価する際によく使用されますが、現在は人や物、状況に対してもシュールという言葉が使われています。しかし、シュールという表現は人によって受け取る印象やニュアンスが異なることがあるので注意が必要です。
例えば、独特の個性や感性を持つ人に対してその世界観を褒める意味で「シュールですね」と言ったとしても、言われた本人は「個性が批判された」「皮肉として言われた」などとマイナスの意味にとらえてしまうこともあります。
さまざまなニュアンスを含むカタカナ語として多くの場面で使用されているので、どんな意図でシュールと表現しているのかを誤解されないように伝えることが大切です。
シュールはフランス語の「シュルレアリスム(surrealisme)」を略した和製カタカナ語です。語源である「シュルレアリスム」とは1920年代にフランスで起こった前衛芸術運動の名称で、日本語では「超現実主義」と訳されます。
シュルレアリスムでは、現実世界の制約から解放された夢や幻想を描き、枠組みを超えた表現を追求した芸術作品が数多く創作されました。画家のサルバドール・ダリなどが例に挙げられますが、人々に深い印象を与えるシュルレアリスムは絵画だけでなく、彫刻や映画、文学など多岐にわたる芸術分野に発展しました。
日本でシュルレアリスムが発展したのは1930年代以降で、「現実離れした奇抜で幻想的な芸術」という日本独自の「シュール」という概念が生まれたと言われています。さらに時代を経て、現代に生きる人々の心を表現する独特な意味を持つカタカナ語として、芸術だけでなくさまざまな場面で使われるようになりました。
現在ではシュールという言葉の意味から派生し、日常のあらゆるシーンでいろいろなニュアンスを含んで使用されています。その具体的な例を紹介します。
シュールの語源が前衛芸術運動なので、芸術やエンターテインメントを表現する際にはよく使われます。この場合「現実離れした」「奇抜な」「理解し難い」「幻想的」「不条理」という意味だけでなく、「高度な手法」「高度な芸術」という意味を含むこともあります。
<例文>
「時計がグニャグニャにゆがんでいるこの絵はとてもシュールだね」
「ブラックジョークが多くて、かなりシュールな映画だったね」
「彼らのコントはシュールすぎて、私には理解し難い」
意外性のある光景や理解しにくい様子、ありえない設定などに対してもシュールは使われます。
<例文>
「ハロウィーンの仮装をして礼儀正しく電車に乗っている人たちの姿は、とてもシュールな光景だ」
「あのふたりは全く話がかみ合っていないのにニコニコしてとても楽しそうにしている。ある意味シュールだ」
「ネコがサラリーマンなんて、なかなかシュールなゆるキャラだね」
独特な個性や世界観を持っているなど、人物に対してもシュールを使うときがあります。単に「現実離れした」「奇抜な」「理解し難い」という意味で使用したり、その個性を称賛する意味でも使用したりします。
<例文>
「彼はときどき、植物に話しかけるなどシュールな行動をする」
「あなたのその常識にとらわれない考え方はシュールだね」
「彼女は奇抜でシュールなセンスの持ち主だけど、個性があって魅力的だ」
シュールと同じく「理解し難い」などの意味合いでカオスという言葉も使われますが、元々の意味は異なります。カオスはギリシャ語の「カオス(khaos)」が語源で、ギリシア哲学の「宇宙発生以前の原始的な混沌(こんとん)とした状態」のこと。「混沌として」「無秩序な状態」という意味で使用されています。
シュールは「奇抜で現実離れしているから理解し難い」という場合に使用し、カオスは「無秩序で混沌としていて理解し難い」という場合に使用するのが適しています。
シュールを他の表現や日本語で言い換えたい場合に使える類義語を紹介します。
不条理とは、「物事の筋道が立たない」「道理に合わない」という意味の言葉です。シュールと同じく、法則や決まり事を超越した超現実の世界観や、現実では考えられない状況を表します。
現実離れとは、「現実に即していない」「世俗的な価値観や感覚からかけ離れている」という意味です。日常的ではない、非現実的、という意味ではシュールと共通しています。
奇抜には、「極めて風変わりで人の意表を突くこと」という意味の他に、「ひときわ優れている」という意味もあります。常識の枠を超えているという意味ではシュールと同じニュアンスで使用できます。
シュールの対義語となるのはどのような言葉があるのかも見てみましょう。
ありきたりとは、ありふれていて珍しくないことです。「ありきたりな光景」「ありきたりなシチュエーション」などは、シュールとは真逆の意味になります。
平凡とは、これといって優れた特色もなく、ごく当たり前という意味です。「平凡な作品」「平凡な表現」といわれるものは、シュールとは対極にあると言っていいでしょう。
常識的とは、極めて普通である様子や当たり前のことを指します。法則や決まり事を超越したシュールな世界観とは反対の意味になります。
非現実的な芸術やエンターテインメントを鑑賞したとき、奇妙なシチュエーションに遭遇したときなど、日常のさまざまなシーンでシュールという言葉は使用できます。シュール本来の意味や和製カタカナ語としての意味などを理解して使用すると、表現の幅や会話が広がるでしょう。
しかし、シュールと言われることに違和感やマイナスのイメージを持つ人もいるかもしれないので、「シュールで印象的な作品ですね」「シュールな部分に惹かれます」などと、理由や感想も一緒に伝えるのがおすすめです。
取材・文/仲西なほ子
「シュール」とはどういう意味?
シュールとは、超現実的な様子や不条理な様子、奇抜、難解、独創的な様子を表す言葉です。超現実的とは、法則や決まり事を超越した現実のことなので、「現実から超越している」「現実離れしている」「非日常的でありえない」という状態のことを指します。
芸術やエンターテインメントを評価する際によく使用されますが、現在は人や物、状況に対してもシュールという言葉が使われています。しかし、シュールという表現は人によって受け取る印象やニュアンスが異なることがあるので注意が必要です。
例えば、独特の個性や感性を持つ人に対してその世界観を褒める意味で「シュールですね」と言ったとしても、言われた本人は「個性が批判された」「皮肉として言われた」などとマイナスの意味にとらえてしまうこともあります。
さまざまなニュアンスを含むカタカナ語として多くの場面で使用されているので、どんな意図でシュールと表現しているのかを誤解されないように伝えることが大切です。
「シュール」の語源はフランス語
シュールはフランス語の「シュルレアリスム(surrealisme)」を略した和製カタカナ語です。語源である「シュルレアリスム」とは1920年代にフランスで起こった前衛芸術運動の名称で、日本語では「超現実主義」と訳されます。
シュルレアリスムでは、現実世界の制約から解放された夢や幻想を描き、枠組みを超えた表現を追求した芸術作品が数多く創作されました。画家のサルバドール・ダリなどが例に挙げられますが、人々に深い印象を与えるシュルレアリスムは絵画だけでなく、彫刻や映画、文学など多岐にわたる芸術分野に発展しました。
日本でシュルレアリスムが発展したのは1930年代以降で、「現実離れした奇抜で幻想的な芸術」という日本独自の「シュール」という概念が生まれたと言われています。さらに時代を経て、現代に生きる人々の心を表現する独特な意味を持つカタカナ語として、芸術だけでなくさまざまな場面で使われるようになりました。
「シュール」の使い方【例文あり】
現在ではシュールという言葉の意味から派生し、日常のあらゆるシーンでいろいろなニュアンスを含んで使用されています。その具体的な例を紹介します。
芸術などの表現に対して使うとき
シュールの語源が前衛芸術運動なので、芸術やエンターテインメントを表現する際にはよく使われます。この場合「現実離れした」「奇抜な」「理解し難い」「幻想的」「不条理」という意味だけでなく、「高度な手法」「高度な芸術」という意味を含むこともあります。
<例文>
「時計がグニャグニャにゆがんでいるこの絵はとてもシュールだね」
「ブラックジョークが多くて、かなりシュールな映画だったね」
「彼らのコントはシュールすぎて、私には理解し難い」
シチュエーションに対して使うとき
意外性のある光景や理解しにくい様子、ありえない設定などに対してもシュールは使われます。
<例文>
「ハロウィーンの仮装をして礼儀正しく電車に乗っている人たちの姿は、とてもシュールな光景だ」
「あのふたりは全く話がかみ合っていないのにニコニコしてとても楽しそうにしている。ある意味シュールだ」
「ネコがサラリーマンなんて、なかなかシュールなゆるキャラだね」
人に対して使うとき
独特な個性や世界観を持っているなど、人物に対してもシュールを使うときがあります。単に「現実離れした」「奇抜な」「理解し難い」という意味で使用したり、その個性を称賛する意味でも使用したりします。
<例文>
「彼はときどき、植物に話しかけるなどシュールな行動をする」
「あなたのその常識にとらわれない考え方はシュールだね」
「彼女は奇抜でシュールなセンスの持ち主だけど、個性があって魅力的だ」
「カオス」と「シュール」の違い
シュールと同じく「理解し難い」などの意味合いでカオスという言葉も使われますが、元々の意味は異なります。カオスはギリシャ語の「カオス(khaos)」が語源で、ギリシア哲学の「宇宙発生以前の原始的な混沌(こんとん)とした状態」のこと。「混沌として」「無秩序な状態」という意味で使用されています。
シュールは「奇抜で現実離れしているから理解し難い」という場合に使用し、カオスは「無秩序で混沌としていて理解し難い」という場合に使用するのが適しています。
「シュール」の類義語
シュールを他の表現や日本語で言い換えたい場合に使える類義語を紹介します。
不条理
不条理とは、「物事の筋道が立たない」「道理に合わない」という意味の言葉です。シュールと同じく、法則や決まり事を超越した超現実の世界観や、現実では考えられない状況を表します。
現実離れ
現実離れとは、「現実に即していない」「世俗的な価値観や感覚からかけ離れている」という意味です。日常的ではない、非現実的、という意味ではシュールと共通しています。
奇抜
奇抜には、「極めて風変わりで人の意表を突くこと」という意味の他に、「ひときわ優れている」という意味もあります。常識の枠を超えているという意味ではシュールと同じニュアンスで使用できます。
「シュール」の対義語
シュールの対義語となるのはどのような言葉があるのかも見てみましょう。
ありきたりな
ありきたりとは、ありふれていて珍しくないことです。「ありきたりな光景」「ありきたりなシチュエーション」などは、シュールとは真逆の意味になります。
平凡な
平凡とは、これといって優れた特色もなく、ごく当たり前という意味です。「平凡な作品」「平凡な表現」といわれるものは、シュールとは対極にあると言っていいでしょう。
常識的な
常識的とは、極めて普通である様子や当たり前のことを指します。法則や決まり事を超越したシュールな世界観とは反対の意味になります。
シュールという言葉で表現の幅を広げよう!
非現実的な芸術やエンターテインメントを鑑賞したとき、奇妙なシチュエーションに遭遇したときなど、日常のさまざまなシーンでシュールという言葉は使用できます。シュール本来の意味や和製カタカナ語としての意味などを理解して使用すると、表現の幅や会話が広がるでしょう。
しかし、シュールと言われることに違和感やマイナスのイメージを持つ人もいるかもしれないので、「シュールで印象的な作品ですね」「シュールな部分に惹かれます」などと、理由や感想も一緒に伝えるのがおすすめです。
取材・文/仲西なほ子