一瞬一瞬の思い出を

実家にあるアルバムには

どんな瞬間も写真に残っていた



寝返りをうった時


ハイハイをした時


初めて立った時


1歳の誕生日


幼稚園の入園式


小学校の入学式



どんな時もたくさんの写真が残っていた




でも


中学生くらいから


アルバムの写真が少しづつ減り


友達と撮るプリクラが増えていった




高校生くらいになると


アルバムの写真はぱったり増える事もなくなり


自分用のアルバムに友達との写真が増えていった





その時はアルバムの事なんて何とも思っていなかった






月日が流れ


結婚が決まった時


「結婚式は絶対にやりなさい！」と


今まで私のする事に反対したことがない母が


強い口調で言った





結婚式に全く興味のなかった私、、


渋々結婚式を挙げることになった





会場が決まって久々に実家に帰った時


高校生で止まったままのアルバムを眺める母の姿があった


母の手がめくっていたのは


写真が入っていない真っ白なページ


何度も何度も


そのページをめくっている母の背中を見た時


なぜか胸が苦しくなった





一人娘の私


母にとってそのアルバムがどんな存在だったか





母の表情を見て気づいた


アルバムは母と私が生きてきた証拠


その事に気づいた時


涙が止まらなくなった





私は母に何をしてあげられるだろう。。。


止めてしまったアルバム。。。


私に出来る事。。。







「写真を残す」






母が絶対にやりなさい！と言った「結婚式」


そこで私の写真、母との写真


一瞬一瞬の写真を残して


アルバムに入れていこう


そして、


そこからまた始める


結婚式のページから


私と母のアルバムがまた動き出す


今度は止めることなく


私の子どもまでずっと







一瞬一瞬を大切な思い出として


私たちが生きてきた証拠を


受け継いでいこう