私だけのカメラマン

私が初めて結婚式に参加したのはたしか従兄弟のおねぇちゃんの時。

当時3歳。

断片的な記憶の中にあるのは、たくさんの親戚のおじさんとおばさんから
母が選んでくれたピンクのドレスを褒めらたってことぐらい。

年の離れた兄弟の中で育った私はお盆や正月、親戚が集まる時には
いつもお姫様のように扱われてたっけ。




彼との結婚が決まってプランナーさんに言われたのが
『思い出の写真を早めに集めておいてくださいね。
写真立てにいれて館内に飾ったり、
データ化してプロフィールムービーにしたり結婚式の場面ではかなり活躍しますから！』

その言葉を聞いてこの間、実家に帰ったときに押入れからアルバムを引っ張り出した。
背表紙に兄弟の名前が大きく書かれたアルバムを発見！
一番上のお兄ちゃんのアルバムは大きいのが１冊。
真ん中のお兄ちゃんのアルバムは薄いのが２冊。
私のアルバムは大きいのが２冊。（笑）


私の名前が大きく書かれたアルバムには
生まれたときの写真や入園式、学芸会やピアノの発表会の写真、
日常の何気ない家族の写真まで本当に細かく残されていた。
従兄弟のおねぇちゃんの結婚式の時の写真も花嫁と同じくらい私をたくさん撮ってくれていた。





やっと迎えた結婚式当日。


緊張するわたしと父の前を友達の子供が花を蒔いてくれている。
プランナーさんに小さい頃の話をしたらきっとお父様も喜んでくれるから！と
オススメされてフラワーガールをお願いした。

その子たちの姿を見て父が一言。


「お前の小さい頃を思い出すよ。」


きっとプランナーさんは父からこの一言が出てくるのをわかってたのかもしれない。


緊張しているせいで口数が減っているのかと思ってたけど
昨日の夜に母が言っていた「やっぱりお父さん寂しいのよ」という言葉を思い出した。


休みの度にいろいろなところに連れて行ってくれた父。

「お前が大きくなったら今日のこと忘れちゃうのかな。」
いつも寂しそうにつぶやいていた父の言葉は忘れない。


記憶はいつか新しい思い出で塗り替えられてしまうから
写真を残すことは大切なことなんだと教えてくれた父。



いつか生まれてくる子供には私と同じくらいのアルバムができるくらい
たくさん写真を残してあげよう。
私と彼で撮る写真だけではなくきっとカメラマン歴30年以上のベテランが
たくさん撮ってくれるはず.....