お見合いで交わす「釣書(つりしょ・つりがき)」とは?
Index
- #01 釣書とは?身上書や家族書、親族書と何が違う?
- #02 釣書の書き方・記載する項目の一例
- #03 釣書はいつ渡すもの?
- #04 いまどきのお見合いでも釣書は一般的?
- #05 恋愛結婚の場合でも釣書は必要?
- #06 釣書を準備する際のマナー
- #07 釣書は、自己紹介書。分かりやすさに考慮して
縁談で必要になることがある「釣書」とは、一体どのようなものなのでしょうか?釣書の読み方や意味、書き方に加えて、用紙や封筒を選ぶときのマナーについても解説します。さらにいまどきのお見合いや恋愛結婚の場合にも必要になるのかなど、「釣書」について詳しいお話を日本サービスマナー協会認定講師の江頭美鈴さんに聞きました。
まず、「釣書」とは何なのかについて見ていきましょう。また身上書や家族書、親族書との違いについてもご紹介します。
釣書とは、お見合いをするときに自分のことを事前に知ってもらうための自己紹介書で、「つりしょ」あるいは「つりがき」と読みます。
名前や生年月日、学歴、職歴、趣味、特技などを記すのが一般的で、基本的な書き方はあるものの決められたフォーマットはありません。仲介者を通してお互いにお見合い相手に渡す、いわゆる履歴書、プロフィールのようなものです。
初めて会ったときの第一印象が大切なのと同様に、釣書の印象も重要です。相手が読みやすいか、印象が良いかを意識して用意しましょう。また相手の家族が目にすることも想定しておきます。
関西エリアでは「釣書」、関東エリアでは「身上書(しんじょうしょ)」と呼ばれることが多いです。また結納の席などで交わされるのが「家族書」や「親族書」で、名前や続柄を記してそれぞれの家族や親族を紹介します。
「家族書」は父と母である一親等と、兄弟姉妹(同居の場合は兄弟姉妹の家族全員)、祖父母の二親等を記すのが一般的です。
「親族書」は、伯父伯母(叔父叔母)、同居していないおいやめいの三親等を中心として記します。結納で「家族書」「親族書」を交わすかどうかや書き方、内容などは事前に両家で話し合って決めましょう。
釣書に書く項目と、それぞれの書き方を見ていきましょう。かつては「手書き」かつ「縦書き」が基本でしたが、現代ではこの限りではありません。見やすくまとまっていればパソコンで作成した文書でも問題ありませんが、自分の親や先方の意向もあるので仲介者に確認してから作成するようにしましょう。
書き方や項目のバリエーションはいくつかありますが、ここでは記載する項目の一例を紹介します。
名前を書き、忘れずにふりがなを入れましょう。次に生年月日を書きます。和暦または西暦のどちらで記しても良く、年齢は必要ありません。
[書き方例]
平成○年○月○日生
または、生年月日は本文の一番始めに書いても問題ありません。後述の2.〜8.の項目内容が少ない場合は、見た目を良くするために、名前の横ではなく本文の最初に入れるのがおすすめ。その場合は「生年月日」という項目を立てて記載しましょう。
[書き方例]
生年月日 平成○年○月○日
本籍地は必ずしも記載する必要はなく、省略する場合もあります。読みにくい住所の場合は、ふりがなを添えましょう。
[書き方例]
本籍地 ○○県○○市●丁目●番地●号
現在の住所は必ず記載してください。集合住宅の場合は、建物名や部屋番号も明記します。
[書き方例]
現住所 東京都○○区●丁目●番地●号 ○○建物名 ●●●部屋番号
地元の場合は幼稚園や小学校を省略できます。基本的には中学校卒業以降を書きますが、こちらも省略可能で、高校卒業以降から書いても問題ありません。小中学校が私立校または海外での卒業の場合など、特徴の一つになり得るものは書くことをおすすめします。
[書き方例]
平成●年 ○○県立○○高等学校卒業
平成●年 ○○大学○○学部○○学科卒業
職歴は最終学歴に続いて記載し、現在の職場は必ず明記します。転職の回数が多く、あまり良いイメージを与えかねないと感じる場合、短期間のものは省略して良いでしょう。
結婚は経済力も重要なポイントになるため、年収を記載することもあります。ケースバイケースなので、仲介者がいる場合には相談をしてみましょう。
[書き方例]
平成●年 株式会社○○入社 営業部勤務現在に至る
資格や趣味、特技は、人となりや嗜好(しこう)、生活スタイルが垣間見えるので大切です。読書や音楽鑑賞などは具体的なジャンルを書くと、会ったときに会話が弾みやすくなります。
[書き方例]
趣味 旅行 読書(小説など)料理(和食)
「家族書」で簡略化されたものを付け加えるときに記載します。記載する場合は名前とふりがな、生年月日、最終学歴を二親等まで書きましょう。
この項目は、縁談の際に「釣書」で二親等までの情報を知りたいというケースと、結納の際に「家族書」を作成すれば良いというケースなど考え方はさまざまです。仲介者に相談して必要な場合は記載しましょう。
そのほか話題で触れたいことやアピールできることを書きます。ただし事細かく書きすぎると読みにくくなったり、自慢をしているように受け取られたりする可能性があります。あまり強くアピールし過ぎないように注意しましょう。
お見合いに釣書が必要な場合、実際にお相手と会う前に自己紹介として取り交わすのが一般的です。このとき、仲介をしてくれる人が、準備する期日を決めてくれることが多いようです。約束の期日を過ぎないように気を付けましょう。
昨今は、仲人を介したお見合いでは「釣書」ではなく「プロフィール」を用意するケースが増えています。
結婚相談所でのお見合いの場合は、すでに相談所でプロフィールを把握しているので、準備する必要はありません。結婚相談所を通して、事前に相手の情報も可能な範囲で教えてもらえます。
また知人からの紹介の場合は、フランクに会うケースが多いのでおおむね必要ないでしょう。事前に用意が必要かどうかは、紹介をしてくれる知人に確認すると良いです。
恋愛結婚の場合は、初対面から友人になり、恋愛に発展して結婚を意識するというプロセスがあります。その中でお互いのことを知っていくため、基本的に釣書は必要ないでしょう。
相手の家族から求められた場合は、お見合いのときと同様に作成し、なるべく早く渡します。結納の前に知っておきたいという親もいますし、結納当日のコミュニケーションにも一役買ってくれるでしょう。
釣書を用意するときのマナーをご紹介します。
用紙は、白無地が望ましいとされていますが、薄い色やシンプルなデザインは許容範囲です。紙質は上質紙や和紙を使用し、サイズはA4、B4、B5、便箋サイズのいずれかを用意します。手書きで縦書きをする場合は、罫線入りの用紙でも問題ありません。
もし封筒が必要な場合は、用紙に合った封筒をセットで用意しましょう。茶封筒や郵便番号枠があるものは避けます。封筒の表書きは「釣書」とし、用紙は取り出して最初に開けたところに題目が見えるよう、三つ折りに畳んで入れましょう。
用意した釣書は、仲介者を通して渡してもらいます。封筒に入れる場合は仲介者も確認できるように、封筒にのりやテープは貼らず開けたままにしておきましょう。
フォトスタジオで撮ったお見合い用写真1枚とスナップ写真を1〜2枚同封します。フォトスタジオで撮影する場合は、男性ならスーツにネクタイ、女性なら振り袖姿や清楚なワンピースなどのフォーマルなスタイルが良いです。
スナップ写真は親近感のある笑顔でナチュラルな雰囲気のものが好まれます。基本的には1人で写っているものがおすすめですが、家族写真もアットホームな印象で良いでしょう。友人との飲み会の写真や大勢写っているものなど、カジュアル過ぎる写真は避けます。
手書きで用意する場合、ボールペンではカジュアルな印象になってしまうため筆ペンか万年筆を使いましょう。自分で書くのが難しい場合は、達筆な人や代筆サービスに頼む方法もあります。
釣書は、縁談の際に自分のことを知ってもらうための自己紹介書です。準備が必要な場合には、相手への分かりやすさに考慮しながら作成しましょう。お見合い前にお互いのプロフィールを知っていると、お見合い当日の会話がしやすいという利点もありそうですね。前述のように今は、釣書を交わす習慣が減りつつありますが、必要となったときのためにマナーを知っておきましょう。
取材・文/高坂晴奈
【監修】
江頭 美鈴さん
NPO法人 日本サービスマナー協会認定講師/一般社団法人 エグゼクティブ・イメージ・コンサルタント代表理事/M.E.プロダクション代表
日本サービスマナー協会認定講師として、企業・団体から個人向けに、「ビジネスマナー研修」「傾聴スキル研修」など幅広く担当し、「和やかで明るく分かりやすい」と受講者から好評。マナー講師の仕事を中心に、自社事業の経営、企業などの人材育成に携わる。また、心理カウンセラーとして、モチベーションアップやメンタル強化のサポートをしている。
日本サービスマナー協会:https://www.japan-service.org/
公式HP:https://me-pro.biz/index.php
釣書とは?身上書や家族書、親族書と何が違う?
まず、「釣書」とは何なのかについて見ていきましょう。また身上書や家族書、親族書との違いについてもご紹介します。
釣書とは
釣書とは、お見合いをするときに自分のことを事前に知ってもらうための自己紹介書で、「つりしょ」あるいは「つりがき」と読みます。
名前や生年月日、学歴、職歴、趣味、特技などを記すのが一般的で、基本的な書き方はあるものの決められたフォーマットはありません。仲介者を通してお互いにお見合い相手に渡す、いわゆる履歴書、プロフィールのようなものです。
初めて会ったときの第一印象が大切なのと同様に、釣書の印象も重要です。相手が読みやすいか、印象が良いかを意識して用意しましょう。また相手の家族が目にすることも想定しておきます。
身上書、家族書、親族書とは
関西エリアでは「釣書」、関東エリアでは「身上書(しんじょうしょ)」と呼ばれることが多いです。また結納の席などで交わされるのが「家族書」や「親族書」で、名前や続柄を記してそれぞれの家族や親族を紹介します。
「家族書」は父と母である一親等と、兄弟姉妹(同居の場合は兄弟姉妹の家族全員)、祖父母の二親等を記すのが一般的です。
「親族書」は、伯父伯母(叔父叔母)、同居していないおいやめいの三親等を中心として記します。結納で「家族書」「親族書」を交わすかどうかや書き方、内容などは事前に両家で話し合って決めましょう。
釣書の書き方・記載する項目の一例
釣書に書く項目と、それぞれの書き方を見ていきましょう。かつては「手書き」かつ「縦書き」が基本でしたが、現代ではこの限りではありません。見やすくまとまっていればパソコンで作成した文書でも問題ありませんが、自分の親や先方の意向もあるので仲介者に確認してから作成するようにしましょう。
書き方や項目のバリエーションはいくつかありますが、ここでは記載する項目の一例を紹介します。
1.氏名(ふりがな)と生年月日
名前を書き、忘れずにふりがなを入れましょう。次に生年月日を書きます。和暦または西暦のどちらで記しても良く、年齢は必要ありません。
[書き方例]
平成○年○月○日生
または、生年月日は本文の一番始めに書いても問題ありません。後述の2.〜8.の項目内容が少ない場合は、見た目を良くするために、名前の横ではなく本文の最初に入れるのがおすすめ。その場合は「生年月日」という項目を立てて記載しましょう。
[書き方例]
生年月日 平成○年○月○日
2.本籍地
本籍地は必ずしも記載する必要はなく、省略する場合もあります。読みにくい住所の場合は、ふりがなを添えましょう。
[書き方例]
本籍地 ○○県○○市●丁目●番地●号
3.現住所
現在の住所は必ず記載してください。集合住宅の場合は、建物名や部屋番号も明記します。
[書き方例]
現住所 東京都○○区●丁目●番地●号 ○○建物名 ●●●部屋番号
4.学歴
地元の場合は幼稚園や小学校を省略できます。基本的には中学校卒業以降を書きますが、こちらも省略可能で、高校卒業以降から書いても問題ありません。小中学校が私立校または海外での卒業の場合など、特徴の一つになり得るものは書くことをおすすめします。
[書き方例]
平成●年 ○○県立○○高等学校卒業
平成●年 ○○大学○○学部○○学科卒業
5.職歴・勤務先
職歴は最終学歴に続いて記載し、現在の職場は必ず明記します。転職の回数が多く、あまり良いイメージを与えかねないと感じる場合、短期間のものは省略して良いでしょう。
結婚は経済力も重要なポイントになるため、年収を記載することもあります。ケースバイケースなので、仲介者がいる場合には相談をしてみましょう。
[書き方例]
平成●年 株式会社○○入社 営業部勤務現在に至る
6.資格・趣味・特技
資格や趣味、特技は、人となりや嗜好(しこう)、生活スタイルが垣間見えるので大切です。読書や音楽鑑賞などは具体的なジャンルを書くと、会ったときに会話が弾みやすくなります。
[書き方例]
趣味 旅行 読書(小説など)料理(和食)
7.家族(記載は自由)
「家族書」で簡略化されたものを付け加えるときに記載します。記載する場合は名前とふりがな、生年月日、最終学歴を二親等まで書きましょう。
この項目は、縁談の際に「釣書」で二親等までの情報を知りたいというケースと、結納の際に「家族書」を作成すれば良いというケースなど考え方はさまざまです。仲介者に相談して必要な場合は記載しましょう。
8.備考(記載は自由)
そのほか話題で触れたいことやアピールできることを書きます。ただし事細かく書きすぎると読みにくくなったり、自慢をしているように受け取られたりする可能性があります。あまり強くアピールし過ぎないように注意しましょう。
釣書はいつ渡すもの?
お見合いに釣書が必要な場合、実際にお相手と会う前に自己紹介として取り交わすのが一般的です。このとき、仲介をしてくれる人が、準備する期日を決めてくれることが多いようです。約束の期日を過ぎないように気を付けましょう。
いまどきのお見合いでも釣書は一般的?
昨今は、仲人を介したお見合いでは「釣書」ではなく「プロフィール」を用意するケースが増えています。
結婚相談所でのお見合いの場合は、すでに相談所でプロフィールを把握しているので、準備する必要はありません。結婚相談所を通して、事前に相手の情報も可能な範囲で教えてもらえます。
また知人からの紹介の場合は、フランクに会うケースが多いのでおおむね必要ないでしょう。事前に用意が必要かどうかは、紹介をしてくれる知人に確認すると良いです。
恋愛結婚の場合でも釣書は必要?
恋愛結婚の場合は、初対面から友人になり、恋愛に発展して結婚を意識するというプロセスがあります。その中でお互いのことを知っていくため、基本的に釣書は必要ないでしょう。
相手の家族から求められた場合は、お見合いのときと同様に作成し、なるべく早く渡します。結納の前に知っておきたいという親もいますし、結納当日のコミュニケーションにも一役買ってくれるでしょう。
釣書を準備する際のマナー
釣書を用意するときのマナーをご紹介します。
用紙
用紙は、白無地が望ましいとされていますが、薄い色やシンプルなデザインは許容範囲です。紙質は上質紙や和紙を使用し、サイズはA4、B4、B5、便箋サイズのいずれかを用意します。手書きで縦書きをする場合は、罫線入りの用紙でも問題ありません。
封筒
もし封筒が必要な場合は、用紙に合った封筒をセットで用意しましょう。茶封筒や郵便番号枠があるものは避けます。封筒の表書きは「釣書」とし、用紙は取り出して最初に開けたところに題目が見えるよう、三つ折りに畳んで入れましょう。
用意した釣書は、仲介者を通して渡してもらいます。封筒に入れる場合は仲介者も確認できるように、封筒にのりやテープは貼らず開けたままにしておきましょう。
写真
フォトスタジオで撮ったお見合い用写真1枚とスナップ写真を1〜2枚同封します。フォトスタジオで撮影する場合は、男性ならスーツにネクタイ、女性なら振り袖姿や清楚なワンピースなどのフォーマルなスタイルが良いです。
スナップ写真は親近感のある笑顔でナチュラルな雰囲気のものが好まれます。基本的には1人で写っているものがおすすめですが、家族写真もアットホームな印象で良いでしょう。友人との飲み会の写真や大勢写っているものなど、カジュアル過ぎる写真は避けます。
手書きの場合は、筆ペンまたは万年筆を使う
手書きで用意する場合、ボールペンではカジュアルな印象になってしまうため筆ペンか万年筆を使いましょう。自分で書くのが難しい場合は、達筆な人や代筆サービスに頼む方法もあります。
釣書は、自己紹介書。分かりやすさに考慮して
釣書は、縁談の際に自分のことを知ってもらうための自己紹介書です。準備が必要な場合には、相手への分かりやすさに考慮しながら作成しましょう。お見合い前にお互いのプロフィールを知っていると、お見合い当日の会話がしやすいという利点もありそうですね。前述のように今は、釣書を交わす習慣が減りつつありますが、必要となったときのためにマナーを知っておきましょう。
取材・文/高坂晴奈
【監修】
江頭 美鈴さん
NPO法人 日本サービスマナー協会認定講師/一般社団法人 エグゼクティブ・イメージ・コンサルタント代表理事/M.E.プロダクション代表
日本サービスマナー協会認定講師として、企業・団体から個人向けに、「ビジネスマナー研修」「傾聴スキル研修」など幅広く担当し、「和やかで明るく分かりやすい」と受講者から好評。マナー講師の仕事を中心に、自社事業の経営、企業などの人材育成に携わる。また、心理カウンセラーとして、モチベーションアップやメンタル強化のサポートをしている。
日本サービスマナー協会:https://www.japan-service.org/
公式HP:https://me-pro.biz/index.php