寂しい時の原因って何? 対処法とおすすめの過ごし方も伝授!

ふとしたことで寂しいと思ったり、人と一緒にいるのに孤独を感じてしまったり……。誰しも、寂しい時を経験したことがあるのでは?

この「寂しい時」。本当に不安で、つらくて、苦しいと思います。どのようにしてこの気持ちに向き合えばいいのでしょうか。

今回は、寂しい時について、心理カウンセラーの高見綾さんにお話を伺いました。寂しいと感じる状況や根本的な原因、寂しい時の対処法、おすすめの過ごし方などを教えてもらいました。

どういう時に寂しいと感じるの?



どういう時に寂しいと感じるの?

周りの人との間に精神的な繋がりがない時


寂しいと感じる一番大きな原因が、人との繋がりが切れてしまっている時です。

物理的に一人でいる時の寂しさは分かりやすいですが、誰かと一緒にいる時でも寂しいと感じることがあります。例えば、友達と世間話をしていても一人ポツンとなってしまったり、職場に理解してくれる人がいなかったり、彼氏と一緒にいるのに相手の考えていることが分からなかったり。

人と一緒にいたら寂しくないと思われがちですが、近くに人がいるのに寂しいと感じると、「誰も自分のことを理解してくれない」とか、「自分のことに興味を持ってもらえない」と、寂しさが余計に際立ってしまうことがあります。

別れがあった時


実際に別れがあった時は、多くの人が寂しさを感じるでしょう。彼氏と別れた時、友達が引っ越してしまう時、同僚が退職する時。皆さん、寂しい思いを経験したことがあると思います。

記憶が呼び起こされた時


元彼と同じ名前を聞いた時や、昔よく聞いていた音楽をたまたま街で耳にした時など、当時の記憶や感情がよみがえってきて寂しさを感じることがあります。当時が楽しくて、今が寂しいと感じていると、より寂しさが大きくなってしまいますね。

「ほしい」気持ちが強くなっている時


かまってほしいとか、そばにいてほしいとか、愛してほしいとか、見てほしいとか。誰に何かしてほしいと思っている時は、心が満たされていないので寂しさを感じやすいです。反対に、自分が誰かを愛している時、もしくは誰かの役に立とうとしている時、自分から何かを与えようとしている時などは、寂しさを感じないことが多いです。

寂しい時の根本的な原因



寂しい時の根本的な原因

寂しいと感じる原因は、次のようなことが挙げられます。

自己肯定感が低い、自己否定が強い


人との距離が近づくと、自分のことが相手に知られるようになりますよね。自己肯定感が低い人や自己否定が強い人は、自分がダメだと思っている部分を見られて嫌われてしまうのではないかと思うので、距離を縮めることが怖くなります。人と親しくなれないと精神的な繋がりをつくることが難しくなり、寂しいと感じることが多くなります。

愛されたいという気持ちが強い


愛されたい、受け入れてもらいたい、認めてもらいたいという気持ちが強いと、自分が何かを「する」というよりも、人から「もらいたい」という気持ちが出てしまいます。でも、人は自分の都合のいいように動いてくれるものではありません。人から何かをしてもらいたいと願えば願うほど、思い通りにはいかず、寂しさを感じやすくなるものです。

感情を抑え込む癖がある


弱音を吐いたり甘えたりできない人や何かと我慢してしまう人は寂しいと感じやすいです。寂しい時は、その感情が自分の中にあることを認識して、受け入れていくことで消化されるものです。

「寂しいと思ってはいけない」とか、「こんな感情は恥ずかしくて人には言えない」といって自分の中で抑え込むと、寂しさが一瞬なくなったように感じますが、心の中にはずっと寂しいという気持ちが残ってしまいます。

心が通じる理解者がいない


1人でも本音で話せる人がいたり、心が通じる人がいたりすれば、寂しさは随分和らぎます。たった1人でも、絆の深い自分の理解者がいるかいないかでは、寂しさや孤独感を感じる上で大きな違いになると思います。

本音が話せない


素の自分を見せるのが苦手な人も、寂しいと感じやすいです。本音で話せないので、人と心が通うことがなく、うわべだけの付き合いになってしまいます。相手との間に壁ができてしまって、本当の自分を見せない限り距離は縮まらないので、一緒にいても寂しさを感じてしまうでしょう。

寂しい時の対処法



寂しい時の対処法

寂しいと感じることは、誰でも、いつでも、起こり得ること。寂しい時を乗り越える具体的な方法をお伝えします。

受け入れる


基本的に寂しいと感じると、嫌な感情だからできればなくしたいと思う人が多いでしょう。皆さん、「なんとかしよう」と思いがちです。ですが、それは逆効果です。寂しいと感じたら、まずその感情を受け入れましょう。

自分に自分が寄り添うイメージで、ただ静かに感じてあげる時間をつくってみてください。すると、安心感が出てきて、気持ちが晴れてきます。寂しさをただ受け入れるだけで、心が楽になってきます。

自分をねぎらう言葉を掛ける


寂しい時が長く続いたり、寂しいと頻繁に感じたりする時は、自分をねぎらう言葉を掛けてあげて、自分を抱き締めてあげるといいと思います。「今までずっと寂しかったね」とか、「一人で頑張ってきたね」、「偉いと思うよ」と、自分に言ってあげてください。

腕を胸の前でクロスして自分で自分を抱き締めたり、クッションを胸の前に置いてギュッと抱き締めてみたりすると、誰かにハグされている感覚を自分でも再現することができるので、ねぎらいの言葉と一緒にするとおすすめです。

人に話す


寂しいということを素直に人に話してみると、結構楽になるものです。隠そうとすると、なかなか自分の中から消えてなくならないので、話せる人に話してみましょう。

実は自分の気持ちを言葉にして言えたということが、とても大事なことなんです。これは、自分が言葉に出して表現したものと自分の内面が一致するということ。言葉と内面が繋がるだけで、随分気持ちが軽くなります。

この自分のことを話せる相手というのは、1人でも構いませんが、複数あるとなおよいと思います。いろんなところにいると依存先が分散されるので、1人の人に自分の全てを受け入れてもらおうとするよりは、相手にも余裕ができて対応してもらいやすくなります。

人に対して何かいいことをする


寂しい時は自分の内面に意識が向いているので、それを外側に向けてみましょう。自分が何かを「する」側になるとよいでしょう。例えば、人に何かいいことをしてみてください。

簡単なことでいえば、「人を褒めること」。褒めようとすると、相手のいいところを見たり、探したりしないといけないので、自分の寂しさに目がいかないものです。

また、褒めて相手に喜んでもらえると、いいことをした気分になって自己肯定感が高まります。あと、「誰かの役に立つことをする」や、「ちょっとしたいいことをする」も、外側に意識が向いて寂しさを感じずに済みます。そして、感謝をされるので、気分が上がって、寂しさや自己嫌悪も癒やされていきます。

寂しい時のおすすめの過ごし方



寂しい時のおすすめの過ごし方

最後に、私がおすすめする寂しい時の過ごし方4選をご紹介します。

好きなことをする


自分の気分がよくなることをやる。好きなことは人によって違うので、音楽が好きな人だったら音楽を聞いて気分転換してみたり、本が好きな人は本を読んで集中したりしてもいいです。私のおすすめは、自然に触れることです。散歩に行って、緑を見たり触れたりするだけで、自然から元気をもらえて気分が晴れますよ。

別のことに集中する


人は一人で考えるとネガティブな方に向かってしまうことが多いので、寂しい時はあまり考えない方がいいですね。それには、別のことに集中するのが一番いい方法です。運動を一生懸命するとか、好きなことをして集中するといった、他のことに意識を向けると、寂しいということを考えなくていいので楽になります。

運動はおすすめですよ。少しキツめの運動をすると、何も考えられなくなって、終わった頃には汗をかいてすっきりしています。

寝る


実は、寝てしまうことも効果的なんです。寂しい時って考えてしまって、夜更かしをしてしまいませんか?なんとかしようとしたり、余分なことを考えてしまったりする傾向がありますが、諦めて、さっさと寝てしまうこと。

何事も渦中にいる時は冷静にものが考えられない状態が多いので、何もしないという方がむしろいいです。また、睡眠には記憶を整理したり、一日起きたことの感情を整えたりする効果があるので、たくさん寝た方が気持ちの整理を自動的にすることができます。

寝ようと思っても寝られないという時は、祈るという方法があります。見ず知らずの人でも、身近な知り合いでも、誰かの幸せを祈ると、心が穏やかになって、入眠がスムーズにいきますよ。

植物のお世話をする


家に植物がある、もしくは家庭菜園をしているという人は、育てている植物のお世話をする。人は生き物をめでたり、世話をしていたりする時は、自分が与える側になっているので寂しいと感じないものです。植物がない人でも、花を買ってきて花瓶に生ければOK。水をあげるだけ、替えてあげるだけでもホッとして、心が満たされます。

寂しい気持ちは悪いことではない!



高見さんいわく、寂しいという気持ちは心持ち次第で、よくも悪くもなるようです。

解決しようとする発想が頭や心をもつれさせてしまう原因になるので、「解決しよう」「何とかしよう」と思わないことが重要とのこと。寂しいことを受け入れて、自分が何をできるかを考えて、やれることをやるというのが、一番簡単で、かつ効果的な解決策だそうです。

寂しいと思う感情も、時には必要です。寂しいと感じたからこそ、人と繋がりたいと思うし、そうでない時の楽しさや嬉しさも増します。もし周りに寂しいと感じている人がいたら手を差し伸べやすくなります。

寂しいことは、悪いことではないので、上手に適切に付き合っていけるといいですね。

取材・文/坂田圭永

【監修】
高見 綾さん
カウンセリングサービス所属。心理カウンセラー。ワークショップ講師。カウンセリングサービスの母体である神戸メンタルサービスにて臨床経験を積み、2013年からカウンセラーとして活動。豊富な臨床経験があり、心の世界で学んだことを現実に生かすアプローチに高い評価を得ている。「働く女性が才能や魅力を発揮し、自分らしく生きる」サポートが、最も得意なジャンル。著書に、『ゆずらない力』(すばる舎)があり、最近は雑誌や新聞、ウェブなどで記事を執筆するなど精力的に活動中。
オフィシャルブログ:http://blog.livedoor.jp/cs_aya_k/