ひがみの意味やねたみとの違い。ひがみっぽい人の特徴や対処法も

2021/9/29 11:00

「ひがみっぽい自分が嫌だな……」と思うことってありませんか?いったんひがむ気持ちが生まれると、恋愛も仕事も、お友達ともうまくいかなくなりがち。キラキラした誰かを見るたびに「どうせ自分なんて……」と思うばかりで、何をするにも自信が持てなくなってしまいます。そんなひがみから自由になるには、どうしたらいいのでしょうか。ひがみとはどんなことか、ひがんでしまうときだけでなくひがまれたときの対処について、東京中央カウンセリング代表、公認心理師・臨床心理士の塚越友子さんにお話を伺いました。

ひがみとは



ひがみとは

言葉の意味


ひがみとは、嫉妬やねたみが屈折した感情

どんな人でも対人関係の中で、「相手から愛されたい」「相手は自分を愛するべきだ」という自己愛的な欲求を持っています。それが満たされないとき、相手に不満や怒りを感じますが、それが屈折するとひがみになります。ひがみは軽い被害妄想ということもできます。

ひがみを理解するキーワードである「屈折」について考えてみましょう。屈折してしまう人は、自我が未成熟です。成熟した自我を持っている人は、自分をよく理解しています。自分は何が好きで何が嫌いか、何を求めているか自分らしい生き方を社会で実現している状態です。

自我は成長の過程で成熟していくものです。自我の成長が不十分だと、自分がどんな人間なのか、自分はどうしたらいいのかわからなくなり、他人に振り回されがちになります。すると他人は自分を理解してくれない、他人のせいで自分らしく生きられないと感じるようになります。

その結果、他人に幸せにしてもらおうと依頼心が強くなり、自分の不幸は他人のせいだと受け止めてしまうんですね。自我が未成熟な人は、例えば恋愛においてひたすら過度に彼からの愛情を求め、ささいなことで傷つきます。さらに傷つくことから逃げるために、問題は愛情を十分にくれない相手のせいだという被害感情(ひがみ)で自己を守るようになります。

「ひがみ」と「ねたみ」の違い

 
よく「ひがみ」と混同される言葉に「ねたみ」がありますが、両者の違いをみてみましょう。

嫉妬やねたみは相手が自分より優れた良い状態にあることをうらやましいと感じ、悔しく思う気持ちです。

自分が悔しいと感じるのがねたみ、相手のせいと感じるのがひがみといってもいいでしょう。

ひがみっぽい人の特徴



ひがみっぽい人の特徴

劣等感が強い


「自分はこういう人間だ」という自己イメージが曖昧だと、感情が不安定で劣等感が強くなります。

「Aちゃんの彼は誕生日にあんなことしてくれたのに、あなたは何もしてくれない。どうせ私なんか」と自己卑下をすることで、相手に責任転嫁し、劣等感から自分を守ります。

自己卑下で愛を確認しがち


自分が存在していることを、彼から愛されていることで確認したい気持ちが強いです。

「私なんか」と自己卑下し、彼から「そんなことないよ」と同情もしくは価値があるといってもらえるように仕向けます。

称賛されたい


ひがみっぽい人は、ひがみ単なる承認欲求だけでなく、称賛されたい気持ちが強い傾向があります。

自分だけに特別に優しくしてほしいという称賛欲求から、パートナーが他の女性にちょっと優しくするだけで、すねて不機嫌になってしまいます。

人が怖い


対人恐怖から他者に悪い印象を与えたり、弱点を知られたりすることを恐れています。また被害者意識から、周囲に受け入れられていないという疎外感が強くなります。

人が怖いと、彼とその友人たちとイベントに参加したときなど、引っ込み思案になって仲間に溶け込めず、早く帰りたいというそぶりを見せたりしがちです。そしてイベント後、彼にすねた態度を取ってしまいます。

自分が「ひがんでいる」と感じたときの対処法



自分が「ひがんでいる」と感じたときの対処法

人は人、自分は自分と唱える


ひがみっぽい人は自我が未成熟なため、他者と自己の区別がついていません。それ故、友達に自分の彼よりいいスペックの彼ができると、「私と大して変わらない友達に、私よりいいスペックの彼ができるのはおかしい」と怒りが湧いてきます。

自分と友達は違う人間であると、境界線を引いて冷静になりましょう。

嫉妬やねたみでとどめ、自己成長目標にする


嫉妬・ねたみは、相手の素晴らしい能力に対して生まれます。ひがみは嫉妬・ねたみが屈折している状態なので、まずは正しく嫉妬しましょう。

その第一歩は、悔しいと感じた素直な気持ちを認めるところから。大声で「あの人すごい!!くやしい!」と素直に叫んでみるのもいいかもしれません。その上で相手の素晴らしい点を自分の成長目標にするとよいでしょう。

勝ち負けにこだわらない


「あの人の方が優れていて悔しい」と思う感情を認めたら、それは勝ち負けではないと自分に言い聞かせ、落ち着きましょう。

恋愛において彼氏は比較して勝ち負けを争う存在ではないはず。あなたと彼の間で、あなたが彼を好きで、彼があなたを好きであればそれだけでいいんです。

自分で思う、自分のいいところ日記を付ける


ひがみっぽい人は、他者の評価で自己を評価しようとして、自尊心が下がってしまいがち。自尊心とは、自分で自分を良いと思うことです。

自己イメージに自信がない人は、自分の魅力を1日1つ、ノートに書き出していく時間を持ちましょう。地道な積み重ねは、たとえ他者と比較したとしても揺らがない自己を確立することに役立ちます。

自分が「ひがまれている」と感じたときの対処法



自分が「ひがまれている」と感じたときの対処法

スルーするもしくは距離を取る


ひがみは、ひがんでいる本人が自己の傷つきから守るためのものであり、ひがむ対象となった人には何ら関係のない感情です。

自分が誰かにひがまれていると感じたときは、平然とスルーすることが一番です。

ひがむ人を褒める


ひがみっぽい人は、過大な称賛欲求を持っているので、その人の素敵なところを見つけられるのであれば、褒めておくのも一つの手です。

とはいえ被害感情が強い人には、それすらも「上から目線でばかにしている」と屈折して受け取られる恐れがあるので注意しましょう。

情報を与えない


相手が自分と比較できないように、自分から情報を与えないというのも有効です。

しかし、ひがみっぽい人はいろいろなところからあなたをひがむネタを探してくるので、あまり現実的ではないかもしれません。結局スルーが一番です。

ひがみの感情とうまく付き合おう



ひがみの感情とうまく付き合おう

ひがんでいる自分を正面から意識するのは、なかなか難しいものです。もしひがんでいる自分に気付いたら、受け止めやすくするために「いじけ虫」「悲劇のヒロイン」など名前を付けてみましょう。外在化といって、自分の一部を外に出すことで、客観的に自己を見つめやすくなるといわれています。

自分の中の「いじけ虫」をどうなだめ、どう付き合っていくか想像するだけでも、少しはひがみ感情が楽になるはずです。

取材・文/ぱう

【監修】
塚越友子(つかこしともこ)
公認心理師・臨床心理士。文学修士(社会心理学)・教育学修士(臨床心理学)。東京中央カウンセリング代表。コミュニケーション論の研究から興味を持った広報PRの仕事に従事する中で過労から内臓疾患を発症・治療生活でうつ病を発症する。闘病生活中に、心理学を生かして銀座ホステスとしてNo.1となる。キャリアチェンジを余儀なくされた経験から、身体・精神の健康とキャリアのバランスを取ること、働く人のメンタルヘルスをサポートしようと東京中央カウンセリングを開業。理論と現実生活に根差したカウンセリングで人気。テレビ・雑誌などでも活躍中。水希名義で「銀座No.1ホステスの心をつかむ話し方」(だいわ文庫)など著書多数。
東京中央カウンセリング https://www.tc-counseling.com/


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