蛙化現象とは?言葉の由来と意味、蛙化する人の要因・特徴も解説
Index
- #01 蛙化現象とは?
- #02 蛙化現象という言葉の由来と意味
- #03 蛙化するケースの具体例
- #04 蛙化現象が起こる要因
- #05 蛙化現象が起こりやすい人の特徴
- #06 蛙化現象を体験したらどうすればいい?
- #07 蛙化現象も、大切な経験の一つ!
若者世代を中心にSNSなどで話題の「蛙化現象」、どんな意味か知っていますか?この記事では、恋愛における心理学を研究している精神科医のゆうきゆう先生監修の下、蛙化現象について、言葉の由来や意味などを紹介します。また、蛙化現象が起こる要因や蛙化現象が起こりやすい人の特徴、蛙化現象の対処法などの心理学的な解説もしているので、ぜひ参考にしてください。

蛙化現象とは、好きになった相手が振り向いてくれた途端、突然気持ちが冷めてしまい逆に嫌悪感を抱いてしまう現象のことです。
比較的、男性よりも女性に多く見られる傾向があり、中でも若い世代を中心に起こる心理現象とされています。

蛙化現象という言葉や意味は、グリム童話の『かえるの王さま』という物語に由来しています。ある王女様の前に、魔法で醜いかえるの姿にされてしまった王様が現れますが、王女様はかえるを毛嫌いします。しかし、魔法が解けて元の美しい王様の姿に戻ると王女様は王様に恋をしてしまう、というお話です。
童話は「かえる」が「王様」になり、「嫌い」が「好き」に転じるストーリですが、蛙化現象は「王様」が「かえる」になり、「好き」が「嫌い」に変化することをいいます。正反対ですが、相手への気持ちが真逆になるという意味では、同じ現象といえるでしょう。
本来は「好きな人が振り向いた途端に冷めてしまう」という意味で使われていましたが、最近では「付き合っている恋人に急に冷めてしまう」など、幅広い意味でも使われているようです。

では、どんなケースで蛙化現象が起こるのか、具体的な事例を見てみましょう。
相手の気持ちも自分に向いていることが分かった瞬間に「気持ちが冷めた」というのは、蛙化現象ではよくある事例とされています。
「好きです」「付き合ってください」と告白して、「俺も好きだよ」「いいよ、付き合おう」などとOKの返事がもらえたときなどが該当します。
好きな人と付き合い始め、比較的早い段階で気持ちが冷めてしまうケースもあります。「付き合ってみたら、ネガティブな部分が見えた」「手に入ったことで魅力的に見えなくなった」などという理由が挙げられます。
好きな人に振り向いてもらうために追いかけているときの楽しさや燃える気持ちがなくなってしまうのでしょう。
根本的に自分に自信がない人は、相手の好意を感じると「自分なんかを好きになるなんて」と相手に対してネガティブなイメージを持ってしまう傾向があるので、相手に否定的な感情や嫌悪感を抱いてしまう場合があります。

好きだったのに嫌いになる、という現象には理由があるはずです。いくつかの心理学的に考えられる要因について解説します。
リアクタンスとは抵抗という意味で、心理的リアクタンスとは逃げられると追いたくなり、追われると逃げたくなることをいいます。
相手がそんなに自分に興味を持っていない状態のときは強く追いかけますが、相手が自分に興味を示してくると逃げたくなる、好きではなくなってしまうという傾向は、この理論によるものでしょう。
蛙化現象は特に10代の女性に多く見られるといわれています。
若いときはまだ恋愛経験が浅いため、相手に対する許容範囲も狭いと考えられます。ちょっとした言動でも、思い描いていた理想通りでなければ、「思っていたのと違う」となり、一気に冷めてしまう可能性があります。
自分に自信がない場合、相手から好きだと言われても信じられず、逆に「どうして私なんかを好きなんだろう」と相手に不信感を抱き、「気持ち悪い」と思ってしまうことがあります。

誰にでも起こる可能性がありますが、特に蛙化現象になりやすい人の特徴を紹介します。
相手を追いかけることで恋する気持ちが燃え上がったり、追いかける努力に喜びを感じる人は、相手が振り向いた途端に気持ちが冷めやすい傾向があります。
常に自由を求める人は、恋愛においても、縛られずに誰とでも好きなときに恋をしたいという心理が働きます。そのため、誰かと特定の関係になった瞬間に窮屈さを感じ冷めてしまうことがあります。
自分に自信が持てない人は、自分のことを肯定することができません。そのため、自分のことを好きという人に対して「そんなはずはない」「ダマしているんじゃないか」と否定的に考えてしまう傾向があります。
自分がどんな立場にいるのかはっきり分からなかったり、逆にそれがはっきり決まってしまうことで不安を感じやすい人も、蛙化現象を起こしやすい傾向があります。
例えば、進学や就職が決まった瞬間「本当にこれでいいのかな?」と迷ってしまうタイプです。
この心理は恋愛でも同じように働き、相手との関係が明確になることで「本当にこの人でいいのかな?」という不安が湧き上がってきます。
何に対しても、「オール・オア・ナッシング」「ゼロか全てか」という考えで判断する傾向がある人は、恋愛でも相手の全てを受け入れるか・何も受け入れないか、という考えになってしまいます。
相手に完璧を求めてしまいがちなので、ちょっとでもイヤなことがあると一気に気持ちが冷めてしまうことがあるでしょう。

自分、もしくは恋人や好きな人に蛙化現象の兆しを感じたら、どのように対処すればよいのでしょうか?
1回や2回なら、あまり問題視しなくてよいでしょう。実際に付き合ってみたら思っていたのと違う、ということは多々あり得ることです。
しかし、3回以上続く、または何度恋愛しても毎回蛙化現象になってしまうなど、恋愛や結婚生活に支障があるとしたら問題です。
そのときは、「今すぐ別れよう」ではなく、「あと1カ月様子を見よう」など、少しだけ先延ばしにして、その間に相手のいいところを探してみたり、いつもと違うデートをしたりなど、相手とのさまざまな体験を積み重ねてみるのがおすすめです。
相手に完璧を求めず歩み寄ると、また「好き」という気持ちが湧き上がるかもしれません。
恋人の気持ちが冷めていると感じたときにも歩み寄ることが大切ですが、適度な距離感が必要です。急に距離が近づいたことで蛙化されている可能性もあるので、追いかけたり追い詰めたりしないこと。
相手の世界を尊重し、自由な時間を与え、見守ってみましょう。そうすればきっと、相手も冷静に自分の気持ちと向き合えるでしょう。

蛙化現象は誰にでも起こり得ること。好きだった気持ちが変化することは、自然な心理の一つなので、自分を責める必要はありません。大切なのは、その「冷めた」という気持ちを否定せず、ありのまま受け入れることです。そして、本当はどうしたいのか、どんな恋愛をしたいのかをじっくりと考えてみるといいですね。
また、蛙化現象になることを防ぎたいなら、いろいろな人とコミュニケーションを取りましょう。視野を広げて経験値を上げていけば、相手を受け入れ許せることも増えるので、蛙化現象を避けることにつながるはずです。
取材・文/仲西なほ子
【監修】
ゆうきゆう先生
ゆうメンタルクリニック 院長、精神科医。作家・漫画原作者。
東京大学理科III類(医学部)に現役入学。東京大学医学部医学科に進学し卒業。2008年よりゆうメンタルクリニックを開院。心理学・精神医学について執筆・情報発信も行っており、著作は250冊を超える。
公式サイト:https://yuik.net/
蛙化現象とは?

蛙化現象とは、好きになった相手が振り向いてくれた途端、突然気持ちが冷めてしまい逆に嫌悪感を抱いてしまう現象のことです。
比較的、男性よりも女性に多く見られる傾向があり、中でも若い世代を中心に起こる心理現象とされています。
蛙化現象という言葉の由来と意味

蛙化現象という言葉や意味は、グリム童話の『かえるの王さま』という物語に由来しています。ある王女様の前に、魔法で醜いかえるの姿にされてしまった王様が現れますが、王女様はかえるを毛嫌いします。しかし、魔法が解けて元の美しい王様の姿に戻ると王女様は王様に恋をしてしまう、というお話です。
童話は「かえる」が「王様」になり、「嫌い」が「好き」に転じるストーリですが、蛙化現象は「王様」が「かえる」になり、「好き」が「嫌い」に変化することをいいます。正反対ですが、相手への気持ちが真逆になるという意味では、同じ現象といえるでしょう。
本来は「好きな人が振り向いた途端に冷めてしまう」という意味で使われていましたが、最近では「付き合っている恋人に急に冷めてしまう」など、幅広い意味でも使われているようです。
蛙化するケースの具体例

では、どんなケースで蛙化現象が起こるのか、具体的な事例を見てみましょう。
告白を受け入れてもらった瞬間に冷める
相手の気持ちも自分に向いていることが分かった瞬間に「気持ちが冷めた」というのは、蛙化現象ではよくある事例とされています。
「好きです」「付き合ってください」と告白して、「俺も好きだよ」「いいよ、付き合おう」などとOKの返事がもらえたときなどが該当します。
付き合ってみたら冷めてしまう
好きな人と付き合い始め、比較的早い段階で気持ちが冷めてしまうケースもあります。「付き合ってみたら、ネガティブな部分が見えた」「手に入ったことで魅力的に見えなくなった」などという理由が挙げられます。
好きな人に振り向いてもらうために追いかけているときの楽しさや燃える気持ちがなくなってしまうのでしょう。
自分を好きになる人に否定的になってしまう
根本的に自分に自信がない人は、相手の好意を感じると「自分なんかを好きになるなんて」と相手に対してネガティブなイメージを持ってしまう傾向があるので、相手に否定的な感情や嫌悪感を抱いてしまう場合があります。
蛙化現象が起こる要因

好きだったのに嫌いになる、という現象には理由があるはずです。いくつかの心理学的に考えられる要因について解説します。
心理的リアクタンスが働く
リアクタンスとは抵抗という意味で、心理的リアクタンスとは逃げられると追いたくなり、追われると逃げたくなることをいいます。
相手がそんなに自分に興味を持っていない状態のときは強く追いかけますが、相手が自分に興味を示してくると逃げたくなる、好きではなくなってしまうという傾向は、この理論によるものでしょう。
恋愛経験が少ない
蛙化現象は特に10代の女性に多く見られるといわれています。
若いときはまだ恋愛経験が浅いため、相手に対する許容範囲も狭いと考えられます。ちょっとした言動でも、思い描いていた理想通りでなければ、「思っていたのと違う」となり、一気に冷めてしまう可能性があります。
自分に自信がない
自分に自信がない場合、相手から好きだと言われても信じられず、逆に「どうして私なんかを好きなんだろう」と相手に不信感を抱き、「気持ち悪い」と思ってしまうことがあります。
蛙化現象が起こりやすい人の特徴

誰にでも起こる可能性がありますが、特に蛙化現象になりやすい人の特徴を紹介します。
追いかけることが好きな人
相手を追いかけることで恋する気持ちが燃え上がったり、追いかける努力に喜びを感じる人は、相手が振り向いた途端に気持ちが冷めやすい傾向があります。
自由でいたい人
常に自由を求める人は、恋愛においても、縛られずに誰とでも好きなときに恋をしたいという心理が働きます。そのため、誰かと特定の関係になった瞬間に窮屈さを感じ冷めてしまうことがあります。
自分に自信がない人
自分に自信が持てない人は、自分のことを肯定することができません。そのため、自分のことを好きという人に対して「そんなはずはない」「ダマしているんじゃないか」と否定的に考えてしまう傾向があります。
自分の立ち位置に不安を抱く人
自分がどんな立場にいるのかはっきり分からなかったり、逆にそれがはっきり決まってしまうことで不安を感じやすい人も、蛙化現象を起こしやすい傾向があります。
例えば、進学や就職が決まった瞬間「本当にこれでいいのかな?」と迷ってしまうタイプです。
この心理は恋愛でも同じように働き、相手との関係が明確になることで「本当にこの人でいいのかな?」という不安が湧き上がってきます。
ゼロか全てか、という考えの人
何に対しても、「オール・オア・ナッシング」「ゼロか全てか」という考えで判断する傾向がある人は、恋愛でも相手の全てを受け入れるか・何も受け入れないか、という考えになってしまいます。
相手に完璧を求めてしまいがちなので、ちょっとでもイヤなことがあると一気に気持ちが冷めてしまうことがあるでしょう。
蛙化現象を体験したらどうすればいい?

自分、もしくは恋人や好きな人に蛙化現象の兆しを感じたら、どのように対処すればよいのでしょうか?
自分が蛙化していると感じたときの対処法
1回や2回なら、あまり問題視しなくてよいでしょう。実際に付き合ってみたら思っていたのと違う、ということは多々あり得ることです。
しかし、3回以上続く、または何度恋愛しても毎回蛙化現象になってしまうなど、恋愛や結婚生活に支障があるとしたら問題です。
そのときは、「今すぐ別れよう」ではなく、「あと1カ月様子を見よう」など、少しだけ先延ばしにして、その間に相手のいいところを探してみたり、いつもと違うデートをしたりなど、相手とのさまざまな体験を積み重ねてみるのがおすすめです。
相手に完璧を求めず歩み寄ると、また「好き」という気持ちが湧き上がるかもしれません。
恋人が蛙化していると感じたときの対処法
恋人の気持ちが冷めていると感じたときにも歩み寄ることが大切ですが、適度な距離感が必要です。急に距離が近づいたことで蛙化されている可能性もあるので、追いかけたり追い詰めたりしないこと。
相手の世界を尊重し、自由な時間を与え、見守ってみましょう。そうすればきっと、相手も冷静に自分の気持ちと向き合えるでしょう。
蛙化現象も、大切な経験の一つ!

蛙化現象は誰にでも起こり得ること。好きだった気持ちが変化することは、自然な心理の一つなので、自分を責める必要はありません。大切なのは、その「冷めた」という気持ちを否定せず、ありのまま受け入れることです。そして、本当はどうしたいのか、どんな恋愛をしたいのかをじっくりと考えてみるといいですね。
また、蛙化現象になることを防ぎたいなら、いろいろな人とコミュニケーションを取りましょう。視野を広げて経験値を上げていけば、相手を受け入れ許せることも増えるので、蛙化現象を避けることにつながるはずです。
取材・文/仲西なほ子
【監修】
ゆうきゆう先生
ゆうメンタルクリニック 院長、精神科医。作家・漫画原作者。
東京大学理科III類(医学部)に現役入学。東京大学医学部医学科に進学し卒業。2008年よりゆうメンタルクリニックを開院。心理学・精神医学について執筆・情報発信も行っており、著作は250冊を超える。
公式サイト:https://yuik.net/


