「ご自愛ください」の言葉の意味や正しい使い方を例文付きで解説

2023/9/12 11:00

季節の変わり目のあいさつやメールの結びなどに使用する、「ご自愛ください」の言葉の意味や正しい使い方について解説します!目上の相手に対して使う場合やビジネスメール、暑中見舞いなどのシーン別の例文をご紹介。また、よくある間違った用例や言い換える場合に適した表現など、「ご自愛ください」の言葉の意味や使い方について、日本サービスマナー協会認定講師の江頭美鈴さんに詳しくお聞きしました。

「ご自愛ください」の意味



「ご自愛ください」の意味

「ご自愛ください」とは、「ご自身の体を大切にしてください」「ご自分を大事にしてください」という、相手の健康や体調を気遣う言葉です。体と心、どちらに対しても思いやる言葉として使うことができます。

読み方は「ごじあいください」で、手紙やメールの結びの言葉として用いられ、ビジネスシーンでもプライベートでもよく使用される表現です。


「ご自愛ください」は目上の人にも使える言葉?



「ご自愛ください」は目上の人にも使える言葉?

「ご自愛ください」は、目上の人に対しても使うことができます。

「お(ご)〜ください」は、定型句として相手に依頼や要望をするときによく使われ、「自愛」に接頭語の「ご」をつけ、「ご自愛」にすることで尊敬語になります。そして補助動詞の「ください」は、「くださる」の命令形の「くだされ」が変化した言葉といわれています。

「ください」は指示・命令の際にも使われるため、もし抵抗を感じるようであれば、より丁寧な表現で使用すると良いでしょう。

<例文:より丁寧に表現する場合>
・ご自愛くださいませ。

・くれぐれもご自愛くださいませ。

・何卒(なにとぞ)ご自愛くださいますようお願い申し上げます。

・どうかご自愛のほどご祈念申し上げます。

・●●さまにおかれましては、どうぞご自愛のほどお祈り申し上げます。


「ご自愛ください」の使い方<例文あり>



「ご自愛ください」の使い方<例文あり>

具体的に、「ご自愛ください」はどのように使えば良いのでしょうか。ビジネスメール、暑中見舞い/残暑見舞い、年賀状/寒中見舞いの3つのシーンに分けて、「ご自愛ください」の使い方を例文付きでご紹介します。

ビジネスメール


「ご自愛ください」は、ビジネスシーンのメールや手紙、あいさつなどの結びの言葉として使われる言葉です。相手を思う気持ちを伝えることができ、気遣いを感じさせる良い印象を与えることができます。

<例文:季節に合わせて使える表現>
・御社の今後のさらなるご発展をご祈念申し上げます。時節柄、何卒(なにとぞ)ご自愛ください。

・何かとご教示いただき誠にありがとうございます。年末でご多用とは存じますが、どうぞご自愛ください。

<例文:一般的な結びの言葉として>
・ご自愛の上、より一層のご活躍をお祈りしております。

・またお目にかかれる機会を楽しみにしております。何卒(なにとぞ)ご自愛ください。

暑中見舞い/残暑見舞い


暑中見舞いや残暑見舞いの季節は、暑さで体調を崩しやすい時期です。元気なまま夏を乗り越えられるよう、相手への心配りを表現する言葉として「ご自愛ください」を使います。

<例文:暑中見舞い>
・暑さ厳しき折から、ご自愛のほどお祈りいたします。

・暑さ厳しい折柄、どうそご自愛の上、お過ごしください。

・炎暑酷暑のみぎり、皆さまのご健勝とご自愛をお祈り申し上げます。

・酷暑の折から、くれぐれもご自愛のほど、お祈り申し上げます。

・猛暑の折、ご自愛なさいますよう、お過ごしください。

<例文:残暑見舞い>
・秋の訪れは、もう少し先になりそうです。どうかくれぐれもご自愛ください。

・残暑厳しき折から、ご自愛のほどお祈りいたします。

・夏の疲れが出やすい頃でございます。どうぞご自愛の上、お過ごしください。

・気温差がある頃でございますので、風邪など召しませぬよう、何卒(なにとぞ)ご自愛ください。

年賀状/寒中見舞い


「寒さの厳しい季節のため、体調に気を付けてお過ごしください」という配慮の気持ちとして添えます。また、年賀状は句読点を付けないのがマナーのため、覚えておくようにしましょう。

<例文:年賀状/寒中見舞い>
・寒さ厳しき折ご自愛ください。

・寒さ厳しき折からくれぐれもご自愛をお祈り申し上げます。

・寒さはまだしばらく続きそうですが、どうぞご自愛ください。

・今年は特に厳しい寒さが続いております。何卒(なにとぞ)ご自愛ください。

・余寒も厳しい毎日ですが、お風邪を召されませんようご自愛ください。


「ご自愛ください」使い方のNG例



「ご自愛ください」使い方のNG例

ここでは、「ご自愛ください」を使用する場合にありがちな、間違った使い方について解説します。言葉を正しく使うためにもチェックしておきましょう。

重複しないように気を付ける


「ご自愛ください」を使う場合に、「お体ご自愛ください」にしてしまうと、二重表現に当たるため注意が必要です。

「自愛」の意味は、「病気などをしないように、自分の体や心を大切にすること」です。「お体ご自愛」は重複表現ですので、使用しないようにしましょう。

病気や体調を崩している相手には使わない


「ご自愛ください」は、「病気をしないように体や心をいたわってください」という意味なので、すでに相手が病気やケガをしていたり、体調を崩していたりする場合には使わないようにします。

その際に連絡をするなら、「どうぞお大事になさってください」「心よりご回復をお祈りしています」「一日も早く回復なさいますようご祈念申し上げます」などの表現がおすすめです。

「ご慈愛ください」を使わない


同じ「じあい」という言い方でも、「慈愛」は親が自分の子どもに対するような「いつくしみ深き愛」を意味します。「自分を大切にする」と言う意味はないので、「ご慈愛ください」という使い方はしません。漢字間違いに気をつけましょう。


「ご自愛ください」の言い換え表現



「ご自愛ください」の言い換え表現

「ご自愛ください」は、ほかの言葉で言い換えることもできます。状況に応じて使い分けられるように、ポイントを押さえておきましょう。

お体をお大事になさってください


「お大事になさってください」は、相手の健康状態を心配するときに使われます。相手が比較的軽い体調不良のときなどに使うことができる言葉です。

<例文>
・お忙しいとは思いますが、どうぞお体をお大事になさってください。

お体にはくれぐれもお気を付けください


相手の健康を願う意味があり、「ご自愛ください」と同じように使われます。すでに体調を崩している、健康状態が優れない相手に使うのは好ましくないため注意しましょう。

<例文>
・風邪などがはやっています。お体にはくれぐれもお気を付けください。

ご健康をお祈り申し上げます


病気やケガなどがないことを祈るときに使う言葉で、健康な相手に対して用いる表現です。

<例文>
・●●さまのご健康をお祈り申し上げます。

おいたわりください


体をいたわることを願う言葉で、「ご自愛ください」よりもさらに相手の健康を気遣う場合に使うと良いです。相手の健康状態が良好でない場合にも使うことができます。

<例文>
・お体おいたわりください。

おいといください


「おいといください」は、あまり耳慣れない言葉かもしれません。「いとう」には、「かばう」「いたわる」「大切にする」といった意味があり、「ご自愛ください」と同じように使うことができます。

<例文>
・時節柄おいといください。


「ご自愛ください」を英語で伝える場合



「ご自愛ください」を英語で伝える場合

ビジネスシーンでは、英語でのやりとりが必要になるケースも珍しくありません。「ご自愛ください」を英語で伝える場合の表現をご紹介します。

相手が体調を崩している場合や心身の健康を気遣う言葉として、メールの結びに以下の文章を使用しましょう。

Please take care of yourself.

Please take good of yourself.

Please take care of your health.

「Please take care」は「お大事に」という意味があり、そこに「of yourself」や「of your health」を付け加えることで、「ご自愛ください」を表現することができます。


「ご自愛ください」への返し方



「ご自愛ください」への返し方

続いて、先に相手から「ご自愛ください」と送られてきた場合には、どのように返事をすると良いのでしょうか。返し方について解説します。

「ご自愛ください」に返すときの例文


気遣ってくれた気持ちへの感謝と、相手に対しても体を大切にしてほしいという配慮の言葉を一緒に伝えると良いです。

<例文>
・お気遣いいただきありがとうございます。●●さまも、どうかお体にお気を付けくださいませ。

・温かいお言葉をありがとうございます。●●さまも、どうぞお体おいたわりください。


「ご自愛ください」で相手への気遣いを添えて



「ご自愛ください」で相手への気遣いを添えて

「ご自愛ください」という言葉を添えることで、自分を大事にしてほしいという相手の健康や体調を気遣う思いを伝えることができます。暑中見舞い、年賀状などのプライベートの手紙の結びとして加えてみてはいかがでしょうか。また、ビジネスシーンのあいさつとして使えば、業務的な内容のみのメールよりも優しい雰囲気になりますよ。

「お体にはくれぐれもお気を付けください」「おいたわりください」など、状況に応じて言い換えることもできますので、言葉の意味や正しい使い方を知って、相手への思いやりの気持ちを伝えてみましょう。


取材・文/高坂晴奈


【監修】
江頭美鈴さん
NPO法人 日本サービスマナー協会認定講師/一般社団法人 エグゼクティブ・イメージ・コンサルタント代表理事/M.E.プロダクション代表
日本サービスマナー協会認定講師として、企業・団体から個人向けに、「ビジネスマナー研修」「傾聴スキル研修」など幅広く担当し、「和やかで明るく分かりやすい」と受講者から好評。マナー講師の仕事を中心に、自社事業の経営、企業などの人材育成に携わる。また、心理カウンセラーとして、モチベーションアップやメンタル強化のサポートをしている。
日本サービスマナー協会:https://www.japan-service.org/
公式HP:https://me-pro.biz/index.php





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