

スイスに生まれ、極薄の時計ムーブメントで名声を得たピアジェ。卓越した技術力に支えられたエレガントなジュエリー・ウオッチでも知られる。大胆で個性的、かつ優美なジュエリー・コレクションからも目が離せない。

スイスアルプスの北、スイスとフランスの国境に位置するジュラ山脈。その山あいにある小さな集落、ラ・コート・オ・フェに小さな時計工房が設立されたのは1874年のことだった。創業者はジョルジュ・エドワール・ピアジェ。これが、世界に冠たる高級時計・宝飾ブランド、ピアジェの始まりだ。
彼は時計ムーブメント(時計の機械部分)の製作に情熱を燃やし、その精密なつくりで次第に世に知られるようになる。有名な時計メーカーも彼にムーブメントの製作を依頼するようになり、その名声はジュラ山脈一帯に広がるようになった。自信を深めたピアジェは、1943年からムーブメントのみならず、時計も自社で製造販売するようになり、その名声は一層高まることとなった。
ピアジェの世界的な評価を確固たるものにしたのは極薄のムーブメントだ。1957年には厚さ2mmの手巻きムーブメント「キャリバー9P」を発表。1960年には厚さ2.3mmの自動巻きムーブメント「キャリバー12P」を世に出した。
いずれも手巻き、自動巻きの分野で当時最も薄いムーブメントで、時計業界にセンセーションを巻き起こした。ちなみに、「キャリバー12P」は、世界で最も薄い自動巻きムーブメントとして当時のギネスブックにも掲載。また、2010年には「キャリバー12P」の誕生50年を記念し、厚さ2.35mm、現市場にて最薄自動巻きムーブメント「キャリバー1208P」を発表している。

創業者のジョルジュ・エドワール・ピアジェ(2列目右から3人目)とその一家。会社の経営は、1911年に息子のティモテ・ピアジェに引き継がれた

「キャリバー12P」の後継ムーブメント「キャリバー1208P」。「常に必要以上に良いものを創る」という創業者のモットーを引き継いだ現代の名品

時計ムーブメントを極限まで薄くすることによって、何がもたらされたか。ムーブメントが薄く軽くなったことで、ジュエリーと時計を組み合わせたり、文字盤などに装飾を施すことが可能に。その結果、ピアジェの時計はよりエレガントに、ファッショナブルに進化することになった。
極薄ムーブメントにより、デザインの可能性を大幅に広げたピアジェでは、指輪やブローチ、カフリンクスなどに時計を組み込んだゴージャスかつエレガントなジュエリー・ウオッチを次々と生み出し、世界の注目の的となった。
ジュエリーと時計の融合に新たな創造性を見いだしたピアジェは、ジュネーブにジュエリー専門の工房を設立。1959年には初のブティックもオープンした。
1964年には、文字盤にラピスラズリやターコイズ、オニキス、タイガー・アイといった半貴石をあしらった時計を発表し、世界中のセレブたちの目を釘付けにした。続けて発表されたカフススタイルのブレスレット・ウオッチは、高級ジュエリー・ウオッチの代名詞として長く語り継がれることとなった。

1970年制作のカフウオッチ。ゴールドのカフと緑色の翡翠の文字盤の調和が見事。ピアジェのカフウオッチは高級ジュエリー・ウオッチの代名詞となった

ダイヤモンドがふんだんに施されたジュエリー・ウオッチ。ふたを開けるとトゥールビヨンが見えるというユニークなつくりも卓越した技術により可能に

エレガントかつゴージャスなジュエリー・ウオッチを世に送り出し、「時計界のジュエラー」と呼ばれるようになったピアジェでは、ジュエリー・コレクションにも力を入れるようになった。
ジュエリー工房には鑑定家によって厳選された貴石が運び込まれ、宝石職人により全て手作業で、カット、調整、セッティングが行われる。時計と同様、高い技術力と豊かな創造性に裏打ちされたジュエリー・コレクションは、世界のセレブたちにも愛され、ハリウッド女優を飾ることもしばしばだ。
なかでも、1990年に発表された「ポセション・コレクション」は愛をテーマにしたシリーズで、ピアジェを代表するコレクションとして知られる。ポセションとはフランス語で「所有」という意味。愛する人を所有し、所有されるという情熱的な想いが込められており、ウエディング・ジュエリーとしても人気が高い。
130年以上もの歴史を誇るピアジェ。伝統に裏打ちされた高い技術力と、大胆な発想から生まれる革新性にあふれたデザインは、いつの時代も人々に新鮮な驚きを与え、世界中の人々の羨望の的となり続けている。

全ての貴石が手作業で、カット、調整、セッティングされる。高い技術力があるからこそ、デザイン性の高い優美なジュエリーが生まれる

重なり合う2本のリングが回転するユニークなデザインが特徴のポセション・リング。自由だけれども、決して離れないふたりを表現