妊娠前に知っておきたい 出産のお金のこと
出産に必要なお金はいくらか知っていますか?想像もつかないという人も多いのでは。出産直前でお金が足りない、という事態にならないように事前にチェック。また、手続きをすることで戻ってくるお金もあります。「もっと早く知っておけば」「知らずに損した」と後悔しないように、妊娠前に出産のお金を確認しておきましょう。
妊娠・出産は基本的に健康保険がきかないため、妊婦健診や出産費用などで大きなお金がかかります。でもありがたいことに、公的手当てや保険など、もらえるお金もいろいろ。もらい忘れがないようにしっかり理解しておきましょう。
出産費用は大きな出費。個人病院か総合病院か、私立か公立か、個室か大部屋か、さらに分娩方法(自然分娩、帝王切開、無痛分娩…)などによっても異なりますが、相場は自然分娩でだいたい30万~70万円ぐらい、平均45万~50万円ほど。医学的な必要性から帝王切開で出産した場合は健康保険が適用され、医療費の負担が3割になりますが、正常分娩では全額が自己負担となります。
この大きな費用をある程度補ってくれるのが「出産育児一時金」。健康保険か国民健康保険に加入していて、妊娠4カ月(85日)以上経過した人なら誰でももらえます。これまで35万円が一般的でしたが、2009年1月より産科医療補償制度(脳性まひの子が生まれた場合、妊産婦に補償金を支払う制度)が導入されることで、掛け金である3万円程度が分娩費用に加算されることが予想されるため、38万円に引き上げられることになりました。出産育児一時金をもらう手続きは、医師に必要事項を記入してもらった申請書を加入している保険の窓口に提出すればOK(子どもの父親と母親が違う保険に加入している場合、どちらで申請しても大丈夫)。2006年10月より、あらかじめ手続きをすれば、直接病院へ払い込んでもらうことも可能になりました。ただし、不足分は現金で支払う必要があるため、多少の出産費用は事前に用意が必要。
出産に至るまでの妊娠期間中に欠かせないのが、「妊婦健診」。病院や体調、妊娠週数などによっても異なるものの、月1回から臨月になると週1回のペースで通うため、妊婦健診は合計8~20回、平均10数回程度に。この健診も基本的には健康保険がきかないため1回数1,000円かかり、合計すると10万円くらいになることが多いよう。もし妊娠期間中に何か体のトラブルがあった場合は検査項目などが増え、その分費用もかかることに。
自治体によっては、健診の費用を一部補助する制度もあるため、一度確認を。また、1年間の医療費(健診費・出産費のほかにもかかった医療費など)が10万円を超えた場合、確定申告の医療費控除で税金が戻ってきます。レシートはまとめて保存し、妊婦健診のための電車・バス代などもメモをしておきましょう。
産前産後休暇を取り、仕事を続ける母親は、「出産手当金」や「育児休業給付金」がもらえます。
「出産手当金」とは、健康保険から産前産後のお休み中に、給料がわりにもらえるお金のこと。健康保険に1年以上加入している人が対象で、もらえる金額は、お給料の3分の2、出産の日以前42日と出産日後56日の98日間分。
「育児休業給付金」は、雇用保険に加入していて、育児休業開始前の2年間のうち、1ヶ月に11日以上働いた月が12ヶ月以上ある人が対象で、パートやアルバイトも含みます。育児休業中にもらえる「育児休業給付金」は給料の30%で、通常は子供が1歳未満の間に受け取れますが、保育園に空きがないなど所定の理由がある場合には、最長で子供が1歳6カ月になる前日まで延長して受け取れます。ほかにも、仕事に復帰して6カ月勤め続けた時に受け取ることができる「育児休業者職場復帰給付金」もあり、こちらは給料の20%が育児休暇の日数分、一時金でもらえます。「育児休業給付金」と合わせると、給料の約50%がもらえる計算に。
早産や子宮外妊娠、出産時の帝王切開の手術をした場合は、「医療保険」からお金が出る場合もあります。
例えば、帝王切開で10日間入院した場合、保険の契約内容に該当すれば、帝王切開の手術費用と入院の給付金が10日分出ることになります。手術の給付金は保険によって異なりますがおおよそ5~10万円くらい。入院給付日額5,000円のものに入っている場合は、5,000円×10日=50,000円という計算に。「女性疾病特約」をつけている場合、入院・手術給付金がさらに加算されます。医療保険からの給付金は、自分で申請する必要があるため、医療保険の重要事項説明書や約款などの確認を忘れずに。
ここで気をつけておきたいのが、妊娠後に新規で医療保険に加入する場合。妊娠がわかると入れなくなるか、加入できても子宮部位は保障しない部位不担保になるなど、制限があることが多いのです。
"妊娠・出産後"は、女性の体がハイリスクだとみなされるため、新しい医療保険に加入しようとすると制限されることがあります。妊娠中は、加入できない場合や、妊娠・出産による合併症は保障しないという条件つきの契約になる場合が多いようです。また、出産後に入ろうと思っても、帝王切開による出産になった場合は、数年間は保険に入れないこともあるので注意が必要。
結婚後、子どもがほしいと思っている場合は、妊娠前に医療保険をじっくり検討した上で、加入しておけば安心のはず。
文:西山 美紀 / 監修:豊田 眞弓






