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葬儀の服装・持ち物、香典のマナー
New Life Manual

葬儀参列の服装・持ち物・香典マナーについて

宗教にかかわらず、葬儀の席では悲しみの気持ちを表す喪服を着用し、故人をしのび、遺族に配慮したしめやかな態度で臨むのがマナーです。香典は、葬儀などで金銭的に負担のかかる遺族に「故人にささげるお香をお求めください」といたわりの気持ちを込めて包むお金のこと。4と9に関わる数字は避け、迷ったときは地域の習慣に従うと安心です。

#お悔やみの日の服装マナー

「喪服の準備は親族が元気なうちに」と、昔は結婚を機に喪服を用意するのが習慣でした。悲しみの知らせはいつ届くかわかりません。突然の訃報に慌てないためにも、喪服だけは前もって準備をし、故人を見送るときに礼を尽くすのが大人のエチケットです。

男性の喪服

男性の喪服

慶弔両方に着られる##s##ブラックスーツ##e##を用意するのがおすすめです。シングルでも、ダブルでもOK。##s##礼装用の白いシャツに黒無地のネクタイ##e##で、タイピン、ポケットチーフはなしが原則です。ブラックスーツは、夏用、冬用を揃えておくとベターです。

◆装身具

ベルトは必ず黒を用意します。時計やハンカチなども派手なものは避けましょう。##s##ゴールドの金具が付いたものはNG##e##です。
靴は黒い革靴で、靴下も黒を着用します。ブーツやサンダル、エナメルやバックスキンの靴はNGです。


女性の喪服

女性の喪服

黒のフォーマルスーツかワンピースで、##s##長袖が原則ですが、盛夏時はノースリーブ以外、七分袖程度なら可能##e##です。スカートは膝下丈のものを。
ジャケットとワンピースのセットを用意しておくと、四季を通じて着ることができます。
ストッキングは透けすぎや模様入りを避け、盛夏時は薄手を、真冬は防寒を優先に厚手の生地を選んでも問題ありません。

◆ヘアメイク

##s##全体的に控えめに##e##します。髪型に決まりはありませんが、華やかな雰囲気にならないように整えます。
香りのきつい香水や派手なネイル、派手な髪飾りはNGです。

◆アクセサリー

正式には結婚指輪以外はNGです。パールは涙の象徴とされることから、パールの一連ネックレスなら「着けてもいい」とされています。ただし、二連、三連のネックレスは不幸が重なるという意味になるので絶対にNGです。

◆バッグ

光沢のない黒いバッグを持参します。##s##布製が良いとされていますが、フォーマルな本革のバッグも可能##e##です。
ファー素材や爬虫類系の革は殺生を意味するので、本来はNG。弔事用として販売されているバッグは、小さめで実用性のないデザインのものも多いため、サブバッグを準備しておくと便利です。

◆靴

##s##黒靴が原則で、光沢のあるものは避けます##e##。靴は本革、合成皮革、布製、いずれも上品なデザインなら構いません。女性の場合、ヒールの音が会場内に響いてしまうケースがあるので、靴底に音防止のゴムを貼るなどの工夫も必要です。
ブーツやサンダル、エナメルやバックスキンの靴はNGです。

喪主・遺族が着用する弔事の正式喪服

最も格上の喪服は、和装なら男性は黒紋付きの羽織袴、女性は黒の五つ紋付きです。昔は喪主、遺族は和装が多かったのですが、現代では男性も女性も洋装が主流です。子どもは黒か紺の地味な服装、学生ならば学生服を着用します。

葬儀の服装と持ち物 Q&A

  • 黒のパンツスーツは喪服として通用する?
  • 光沢のある素材ではなく、金ボタンなどが付いていないオーソドックスな黒のパンツスーツなら、略式喪服として通用します。仕事先から通夜に向かう場合は、肌を見せないように襟の詰まった黒のインナーに着替えて出席を。

  • 夏でも喪服は長袖が正式?
  • 肌を露出するスタイルは、お悔やみの席にふさわしくありません。夏の喪服がない場合は、黒の長袖か七分袖シャツと、黒の膝下丈のスカートかパンツスタイルで。ミニスカートは避けた方が無難です。

  • 告別式の日に雨や雪が…。色柄ものの傘はNG?
  • 告別式では、出棺のときに外で故人を見送ります。派手な色柄の傘は避け、なければ透明なビニール傘を。また、冬はコートの色にも気配りを。出棺時はコートを脱いで故人を見送りますが、葬儀に行くときのコートは黒、紺、グレーなどの地味な色で。

  • 神式やキリスト教式の葬儀での服装は?
  • 喪服のマナーは宗教を問わず共通です。キリスト教式の葬儀でも、和装喪服で構いません。カトリック信者の女性は黒いベールをかぶりますが、これは信者に限られた装い。ファッションとして十字架やベールを着けるのは、失礼になるので注意して。

#揃えておきたい「ふくさ」と「数珠」

葬儀に参列するときに必要になるのが「ふくさ」と「数珠」です。喪服と同じように、さまざまなマナーがありますので、よく確認をしておきましょう。

ふくさ

ふくさ

##s##不祝儀袋などの金封はふくさに包んで持参するのがマナー##e##。慌てないために喪服と一緒に「ふくさ」を用意しておくのがおすすめです。
ふくさは地味な色であれば黒でなくてもOK。慶弔両用を選んでおくと便利です。

ふくさも格式によって種類がありますが、気軽に用いるなら香典など金封を挟み入れる「金封ふくさ(ポケットふくさ、挟みふくさ)」を用意しておくと良いでしょう。
香典を出すときは、ふくさを畳んでお盆に見立ててその上に置きます。差し出すときは、手渡しせずに先方のお盆の上に置きます。

数珠

数珠

自分の家の宗教が仏教であれば、お参りのときに用いる「数珠」も必需品です。葬儀だけでなく法要や墓参りなど出番が多く、また寺院巡りなど観光でも利用できますので、早めに用意しておくと重宝します。
##s##数珠は男性用、女性用で大きさが違います##e##。菩提樹(ぼだいじゅ)の実である菩提子(ぼだいし)、白檀(びゃくだん)や沈香などの香木、ヒスイやメノウなどの宝石類、水晶、真珠、さんごなど、さまざまな素材があります。

#香典のルール&マナー

宗教によって葬儀の形式が違うように、不祝儀袋の選び方や表書きも、宗教によって決まりがあります。##s##事前に宗教・宗派がわかっているようなら、それに沿った不祝儀袋を準備する##e##と良いでしょう。
しかし実際は事前に判明していないことも多く、「御霊前」を用いるケースが多くなっています。「結び切り」の水引で、「のし」なしの不祝儀袋が基本です。

包む金額は地方によって差はありますが、友人や会社の同僚の家族、近所の不幸の場合は3000~5000円程度。自分や夫の親の葬儀なら、夫婦で5万~10万円、兄妹姉妹は3万~5万円、親戚関係やお世話になっている恩師などには1万円程度を包むのが一般的です。

不祝儀袋の選び方

【仏式】の葬儀の場合

仏式の不祝儀袋

仏式の表書きは「御霊前」や「御香料」で、二度と繰り返さないという意味の##s##「結び切り」の水引で「のし」のないもの##e##を選びます。
少額にもかかわらず、袋だけ立派では失礼にあたるので、3000~5000円程度包む場合は、水引が印刷された不祝儀袋を用意します。1万円以上包む場合は、印刷ではなく「黒白」「双白」「双銀」の水引の付いた不祝儀袋を用意します。

【神式】の葬儀の場合

神式の不祝儀袋

神式は##s##「黒白」「双白」「双銀」で結び切りの水引##e##で、「玉串料」「御榊料(おんさかきりょう)」「御霊前」の表書きが一般的です。ハスの花の絵柄は仏式なのでタブーとされています。必ず無地の不祝儀袋を用意しましょう。

【キリスト教式】の葬儀の場合

キリスト教式の不祝儀袋

##s##十字架やユリの花の絵柄が付いているものがキリスト教式の不祝儀袋##e##です。表書きは「お花料」が一般的ですが、カトリックは「御ミサ料」、プロテスタントは「忌慰料」と表書きをする場合もあります。

不祝儀袋の表・中袋の書き方

◆表書きの書き方

表書きの書き方

##s##表書きは「涙で墨の色もにじむ」という意味から、薄墨(薄墨筆ペンが市販されています)で書く##e##とされています。「御霊前」などの文字が黒字で印刷されている場合でも、お悔やみの心を大切にして、名前は薄墨で記入しても良いでしょう。

連名の場合は右側が目上。上下関係があるなら右から地位の高い順に名前を。友人同士なら五十音順で。3人までがきれいです。会社や団体で香典を出す場合は、別紙に名前を記して中に入れて、「お返しは御遠慮いたします」の一文を。お返しの心配をさせない心配りも大切です。

◆中袋(中包み)の書き方

中袋(中包み)の書き方

中包みには住所、氏名を楷書で書き、金額は大字と呼ばれる漢字を使用して書きます。


漢数字の大字表記

入れる金額
数字の書き方
3000円
参仟円(参仟圓)
5000円
五仟円、伍仟円(五仟圓、伍仟圓)
1万円
壱萬円(壱萬圓)
2万円
弐萬円(弐萬圓)
3万円
参萬円(参萬圓)
5万円
五萬円、伍萬円(五萬圓、伍萬圓)
7万円
七萬円(七萬圓)
10万円
拾萬円(拾萬圓)

不祝儀袋の包み方

不祝儀袋の包み方

香典に包む紙幣は、用意していたような印象を与える新札はタブーとされてきました。最近はあまりこだわらなくなりましたが、気にする人もいるので##s##新札に軽く折り目を入れて包む##e##のが良い方法。
お札は慶事とは逆で、肖像がない裏面が前になるように入れた方が良いとする説と、さほどこだわる必要はないという考え方があります。上包みの裏側は「悲しみを流す」意味で下向きの折り返しを外側に重ねます。

香典のマナー Q&A

  • 不祝儀袋の「御霊前」と「御仏前」の違いは?
  • 仏式では、四十九日までは故人の霊がこの世にとどまっていると考え、通夜~告別式で霊前に供える香典は「御霊前」。四十九日の法要からは、故人は仏になったと考え「御仏前」。ただし浄土真宗では、故人はすぐに極楽浄土に往生するという考えから通夜~告別式でも「御仏前」。仏式のどの宗派かわからないときは「御香料」か「御霊前」で。

  • 仏式か、神式の葬儀なのか、宗教・宗派がわからないときは?
  • お寺で行われる葬儀なら仏式、教会ならキリスト教式とわかりますが、斎場で行われる場合は宗教・宗派がわからないことも。そんなときは、銀一色の結び切りの水引を掛けた無地の不祝儀袋を用意して「御霊前」とするケースが多く見られます。実際は、事前に宗教・宗派がわからず参列するケースも多く、違っていることはよくあります。
    表書きも大切ですが、不祝儀袋の扱い方、住所などがはっきりわかりやすく書かれているか、といった点に留意しましょう。

  • 香典の中身を、うっかり入れ忘れたときは?
  • あってはならないことなので、香典を持参するときは最後にもう一度確認を。通夜に渡した香典の中身を入れ忘れたのなら、告別式にもう一度伺い、受付で理由を話して再度香典を渡すようにします。告別式に入れ忘れた場合は、遺族に連絡をして自宅に伺うか、お詫びの手紙を添えて香典を郵送します。

  • 個人で香典を出したら、会社で連名の香典は失礼してもいい?
  • 香典は故人との付き合いの深さで出すものですが、会社の友人に不幸があったときに「○○部一同」「同期一同」など連名で香典を出すのが慣例になっている場合は、連名で香典を出し、さらに個人で包む方が無難です。連名が慣例ではないなら、「お付き合いが深かったので個人で出したい」と告げて、仲間から外してもらいましょう。ひと言声を掛けることを忘れずに。

お悔やみ事のマナー

監修者
監修

吉川美津子 終活・葬送ソーシャルワーカー

葬祭業者、仏壇墓石販売業者勤務を経て独立。葬儀ビジネス研究所主宰。終活・葬儀・お墓のコンサルティングなどを行いながら、現役で福祉職・介護職としても従事。生き方、逝き方、活き方をテーマに現場目線を大切にした終活・葬儀情報を発信している。

イラスト/pai 構成・文/小田真穂(編集部)

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