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ピアニスト清塚信也のクラシック・ラヴ・ストーリーズ

遂に最終回です!
1年間、読んでいただきまして、
ありがとうございました!

Vol.13 今月の音楽家「ショパン」(3)

写真:ショパン

ショパン最愛の恋人「ジョルジュ・サンド」。彼女との恋愛は最後までショパンらしいものでした。

フレデリック・フランソワ・ショパン
Frédéric François Chopin
(1810~1849)

ポーランド出身の前期ロマン派音楽を代表するピアニストで作曲家。さまざまな形式、美しい旋律などによってピアノの表現様式を拡大し、ピアノの詩人とも呼ばれる。ワルツやノクターンなどの作品はクラシック音楽ファン以外にもよく知られ、ピアノの演奏会で最も取り上げられることが多い作曲家の一人。

ジョルジュ・サンドとの出会い

ジョルジュ・サンドはショパンにひと目惚れだったようです。その透き通るように白い肌と謎めいたキャラクターにイチコロだったんですね。しかし、サンドとショパンが出会った時は、まだショパンにはマリアという恋人がいましたので、ショパンはサンドには見向きもしなかったようです。それどころか、男装をしているサンドのことを「あれでも女なのか」と軽蔑しています。

イラスト

最低なショパン

しかし、ショパンはマリアから婚約破棄されてすぐにサンドに急接近します。「あれでも女なのか」発言から1年で恋人にまでなってしまうのですから、周りの人たちも戸惑ったでしょうね。サンドとしてはそりゃうれしかったでしょうが、ショパンには本当の愛があったのでしょうか……?僕はそうは思いません。ショパンはポーランドという田舎から出て来たピアニストですし、まだそれほどパリで地位があったわけではないので、かなりお金に困っていたようなのです。ピアニストとして花咲くためには、まずは貴族やスポンサーになってくれそうな人への「コネ」がなくてはなりません。そこで、自分に好意を抱いていて、パリの社交界に精通しているサンドに近づいたのだと思います。

ふっきれたショパン

人気のある作曲家は結構「美化」されることも多いので、こういうことを書くと怒られそうですが、ショパンは結構「したたか」なところもあった、と僕は思ってます。したたかというか、頭が良いし、業界に入り込んでいくのもそこそこ上手だったのではないかと。26歳でマリアに婚約破棄されるまでは、「ポーランドへ帰りたい」と手紙にも記していましたが、婚約破棄後はどうやらふっきれた様子。「ええいやけくそだ、この際パリの社交界で天下とっちゃる!」みたいな感じになったのではないでしょうか。だから、サンドとつきあい始めたのも、きっとそういう「狙い」があったのだと思います。

イラスト

サンドの深い愛

サンドはそれから10年間、やり過ぎってくらいの愛でショパンを包みました。ショパンと一緒にいるって本当に大変だったと思います。だって、ショパンはめっちゃワガママ。その上「結核」という病気まで患っているので、看病の大変さだけでなく、自分にも結核が感染してしまう可能性が高いわけですから、かなりのリスクです。そう、サンドはショパンだけでなく、彼が抱えていた「死」をも受け入れたのです。でも、サンドがそこまでしてショパンと一緒にいた理由は、愛だけだったのでしょうか?

彼女自身、「女性解放」を主導し、女性の自由な権利を世の中に強く訴えた人だし、もしかしたら、ショパンというパリの紳士を代表する人をそばに付けて、しかも自分が「看病している」「生かしている」ということをステイタスに思っていたかもしれません。

しかし、それを差し引いたって、彼女のショパンへの愛はすごい。

最後までミステリアス

そんなふたりだったのですが、ショパンが36歳くらいのときに破局してしまいます。それまでの10年間が嘘だったかのように、愛は簡単に崩れ去ります。サンドは、それから3年後にショパンが死ぬまでプツリと関係を切ってしまいます。死後、葬式にさえ来ませんでした。

一体何があったのでしょうか…?

『ジョルジュ』という朗読劇でサンド役を演じられた音無美紀子さんに訊いたところ、サンドが葬式にも来なかったのは「ショパンのことが好き過ぎるから……」ということでした。

僕にはまだよく理解できませんが、心のどこかでは理解している気がします。ひとつ言えることは、自分のことを語りたがらない、謎めいたショパンが最後の最後まで(サンドとの恋でさえも)謎を残したことは、何ら不思議なことではないし、僕らには理解できない「サンドとショパンふたりだけの世界」があることは、むしろ「ショパン的」と言えるのではないでしょうか……。

ショパン……その人生は、音楽と愛、そして哀しみと謎に包まれた世界でした。

イラスト

信也'S Select ウエディングシーンにおすすめの名曲

ノクターン第2番 Op.9-2(ヴァイオリンバージョン)
「夜ノショパン」より
清塚信也(ピアノ)
ワーナーミュージック・ジャパン
WPCS-12404

有名なノクターンをヴァイオリンバージョンに編曲してみました。よりエレガントな曲調になったと思いますので、いろいろなシーンのBGMに是非お使いください。

英雄ポロネーズ
「夜ノショパン」より
清塚信也(ピアノ)
ワーナーミュージック・ジャパン
WPCS-12404

「勇ましいショパンの曲」というものはとても珍しく、技巧的にも派手なので、聴き甲斐があります。なんとなく「シーンの繋ぎ」に困ったら、使ってみては如何でしょ?