Vol.12 今月の音楽家「ショパン」(2)
ショパンのパリでの成功を支えたもの、それはマリアとの愛だった。ショパンが唯一「婚約」までした深い恋だった…。
フレデリック・フランソワ・ショパン
Frédéric François Chopin
(1810~1849)
ポーランド出身の前期ロマン派音楽を代表するピアニストで作曲家。さまざまな形式、美しい旋律などによってピアノの表現様式を拡大し、ピアノの詩人とも呼ばれる。ワルツやノクターンなどの作品はクラシック音楽ファン以外にもよく知られ、ピアノの演奏会で最も取り上げられることが多い作曲家の一人。
ウィーンへの留学
20歳の時、同じワルシャワ音楽院の学生だった「コンスタンツィア」に人知れず恋心を寄せていたショパンは、ウィーンへ留学するために、その恋心ともワルシャワとも別れを告げました。ショパンはワルシャワの街もコンスタンツィアも大好きだったので、その別れはとても悲しいものだったでしょう。
しかし、20歳のショパンにはまだ「若さ」という希望がありました。その希望は別れを乗り越えて単身外国へ乗り込んでいく勇気を与えてくれたのではないでしょうか。
ウィーンへの幻滅
とはいえ…。
ウィーンでショパンを待ち受けていたのは「伝統」という壁でした。そのころのウィーンでは「ワルツ」が大流行していて、ショパンの音楽はあまりウケなかったのです。
かつてモーツァルトやベートーヴェンが活躍した芸術の都は、もはやそこには無く、人々はワルツという「軽音楽」に日々明け暮れていました。
流行に乗ってショパンもワルツを弾いてはみるのですが、結果は惨敗。「伝統」を重んじるウィーンの人々には、外国人の弾くワルツに拒否感があったのです。ショパンはウィーンに幻滅し、すかさず拠点をパリへと移します。

パリの社交界
結果的にこの判断が正解でした。そのころのパリには社交界があり、芸術を深く理解し愛する上流階級の人々がいたのです。芸術的な美徳を持つ街には、必然的に優れた芸術家が集まりました。
リスト、バルザック、ドラクロワ……。彼らと芸術的な刺激を与え合い、ショパンは水を得た魚のように活き活きと創作活動を開始します。社交界の中には、後に「ショパンの最愛の恋人」と言われることになる「ジョルジュ・サンド」もいましたが、彼女とのことは最後の話にとっておきましょうか…。
絶頂期
21~26歳くらいまでの期間、ショパンはたくさんのリサイタルをパリで開催しています。ショパンがピアノを弾いた「プレイエルホール」や「エラールホール」はパリでも超一流のホールであり、それはショパンが超一流のピアニストだということを裏付けています。このころ、ショパンの人生は「絶頂」にあったと言えるでしょう。
そして、ショパンの恋も絶頂を迎えていました。「マリア」という女性とは婚約までするほど、深い愛で結ばれていたのです。ジョルジュ・サンドからの猛烈アタックを難なくかわし、ショパンはマリアと人生を共にする決意をします。

ロマンチックな奴
しかし、26歳になるとショパンの持病であった「結核」が悪化してきてしまいます。ショパンとマリアの婚約は、マリア側の家族からも歓迎されていたのですが、ショパンの抱えていた結核が悪化したことで、マリアとの婚約はマリアの父親によって破棄されてしまいます。
精神的にもへこんだショパンは、その後どんどん弱っていってしまいました。ショパンはマリアと別れた後もマリアがくれた手紙を大切に持っていました。彼の死後、遺品からマリアの手紙を一束にまとめたものが見つかります。リボンでていねいに結んだその束には、上から「僕の哀しみ」と書いてありました。
本当に繊細でセンチメンタルでロマンチックな奴ですね、ショパン君は。
(Vol.13へつづく)
信也'S Select ウエディングシーンにおすすめの名曲
- ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 Op.11 第2楽章「ロマンス」
「ショパン精選名曲集139 その1(CD5枚BOX Set)」より - マリア・ジョアン・ピリス(ピアノ)、モンテカル・フィルハーモニー管弦楽団、アルミン・ジョルダン(指揮)
- ワーナーミュージック・ジャパン
- WPCS-12394/98
ショパンのピアノ協奏曲は第1番と第2番が、出版の問題でひっくり返ってしまっています。実は第2番の方が先に作曲されていたのです。なので、この「第1番第2楽章」は「第2番第2楽章」よりも「ませている」感じがします。より大人っぽいロマンスを知ったショパンの音楽性はますます洗練されていったのですね。ロマンスというだけあって、とてもロマンチックで美しい曲なので、色々な場面で使える曲だと思います。
- 「幻想即興曲」 嬰ハ短調 作品66「フィギュア・スケートミュージック・セレクション'06-'08」より
- 清塚信也(ピアノ)
- ワーナーミュージック・ジャパン
- WPCS-12115
とても有名な曲ですが、実はショパンはこの曲が気に入らなかったらしいです。でも「ピアノの魅力」を最大に使ったこの即興曲は、ショパンらしさがとても強く表れていて、中間部でもショパンならではのノクターンのような美しいメロディが聴けるので、かなりの価値がある秀作だと思います。人気もあるしね。中間部の切ないところだけを使うのも良いし、全体を通してあるこの曲特有の情熱をBGMに、映像などを流すのも良いと思います。
